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十三機兵防衛圏.感想

終わったーーーーー!!!!いや〜〜〜、面白かった!!!!!!!!SFというジャンルに精通しているわけでもなく、また最近になってようやく"ゲーム"の楽しみ方がわかってきた私が面白がれるかどうか一抹の不安がありましたが、なんともすごい体験をさせてもらった。
特に中盤〜終盤にかけての体感は今まで感じたことのない、とても新鮮な体感だった!!!!以下感想!


1.序盤

面白かった!!!!!!のは紛れもなく事実なのだが、序盤は戸惑いも多かった。特に追想編。

感想アカウントの十三機兵防衛圏ツイートスレッドより

このツイートは冬坂のチャートを進めている時かな?チャート自体が回想である("追想"編だからね)のにその中でさらに回想をする、そして次のチャートでは同じ時間をタイムリープしているように見せかけて前回のチャートで回想した記憶が保持された状態で違う行動も選択できるようになっている。この仕組みにまず戸惑った。もちろん時系列を組み替えていることは意図された描写であり、この情報の出し方こそが追想編の肝であることは重々承知しているのだが、状況を正確に把握しようと情報の整合性を図ろうとする自分の無意識の癖のせいで序盤はかなり惑った。

またこの無意識の癖を意識的にする、物語を推理するにはあまりに情報が散乱的でかつ大胆であったと思う。"今"について何もわかっていないのにすごく重要なことを提示されてしまう、それに対する怯えが気づけば芽生えていた。(プレイし終わった今ならその"すごく重要なこと"すら真実までの前提にしかすぎないのだけど、プレイ中はそんなんわからん)
起こった殺人事件の概要も知らないのに凶器は知ってしまった、みたいな感覚。その凶器からは犯人が連想できてしまうのに、その犯人がどうして殺したのか、そもそも殺人事件はどこでどうやって起こってしまったのかはわからない、というような心持ち。
この情報……知っちゃってていいの!?!?って心境になることが序盤は多くて、純粋にプレイしているだけなのにまるでネタバレを踏んでしまったような気持ちになるのが残念に思えて、それに日和っちまった、、、、、。

それと引き換えに、と言ってはなんだけど、崩壊編がめっちゃ面白かった!!!!!!!!!
自分はもともとゲームの"戦闘"を面白がることが得意ではなく、ゲームの(もちろん戦闘も含めて)楽しみ方がわかってきたとはいえまだ定着しきってはいないこの未熟な観念が、このゲームの戦闘にどこまで適応できるか少し心配だった。でもねーーーー面白かったんですよ!!!!!!ターン制じゃないリアルタイムの攻撃、敵がどこに出現するかもわからない状態で陣形を組み立てて迎え撃つ。緊張感があって、そのドキドキが楽しいって感情にすぐ紐付いた!!シールドの中で接近戦させてノーダメでタコ殴りしてる時とか、ある地点に怪獣を引きつけてからまとめて倒せたときとか、迫り来る怪獣に対して自分の策略がはまった時めっちゃ楽しーーーーー!!!ってなった!追想編で躓いたことも相俟っていたのかもしれない。目の前にいる怪獣を倒すというシンプルさに安心して没入できた!もしかしたら難解に思える追想編とバランスをとっていたのかもしれない。後述するが、このゲームはとことん計算し、考え尽くされたゲームだと思う。

ただ躓いたとは言いつつも、あるタイミングで追想編も楽しめるようになった。それがこれ。

上のツイートから30分後のツイート

前チャートで確かに契約を断ったはずなのに、次のチャートでは契約は交わされたことになっていて、薬師寺は契約のままに搭乗者たちをひたすら撃ちまくる。気づいたらめちゃくちゃになってるこの感じが変に面白くて、良いなってなったんですよ。それからは見たものをそのまま受け入れて処理できる(情報と時間に空白があり、それらを繋げる要素はまだ提示されていない、という気持ちを保持できた)ようになって追想編も完全に没入できた。
サンキュー薬師寺!!!

2.中盤

即オチ

このあたりから、「同一であると思われる人間に"今の名前とは違う名前を名乗り、過ごしていた時間"があること」が明確に提示され始めるんですけど、この情報の出し方ね〜〜〜〜〜〜めちゃくちゃ上手かったと思います。マジ巧みでした。
例えば画像の如月兎美と"今"の如月兎美が別人であることは名乗るまでもなく見るに明らかではあるんですけど、そうでない可能性があるってことをこの画像の前のチャートでちゃんと提示しているんですよ。添付している感想アカウントの十三機兵防衛圏ツイートスレッドは実況に近いスタイルで呟いているんですけど、「あみとみかわいい」ってツイートは網口くんの回想で、如月兎美とめちゃくちゃいい関係になり始めた時に呟いたんです。良いな〜と思っていたら網口くんが「井田哲也だ」と名乗って、私は鞍部チャートを既にプレイしていて、和泉十郎(2周前)が網口くん(前周)を撃ったときに網口くんのことを井田と呼んでいたの知っていたので、ここが繋がるのかーーーーーー!ってすごいテンション上がりました。

網口くんのチャートの解放条件が何だったのか覚えていないので、もしかしたら鞍部チャートのここまでの進捗が必須だったのかもしれないんですけど、これプレイする順番が逆でも成立する面白さなのがすごいっすよね。先に網口チャートをプレイしていると、後に鞍部チャートで和泉十郎(2周前)が井田と呼んだ時ハッッとする。井田哲也と名乗る網口くんは本当に網口くんなのか?この二人は同じ容姿をしているが、本当は別人なのではないか?それこそ如月兎美のように。そういう考えが自然と視野に入って、シナリオの見方が全然変わるんですよ。これ面白かった!!!!!!!!!! しかも如月兎美は薬師寺チャートで一度「因幡」の名前を出しているんですよ!!!因幡を名乗る如月兎美と井田を名乗る網口くん、「名前」は、同一人物を別人に認識させる"記号"なんだってこの二人を始点にわかっていったのが面白かったーーーーー!!!!!!!

芝Q、男子で一番好き

3.終盤

今まで点と点だった情報たちが繋がり始め、一本の線になり始めるのだけど、その結び方がこのゲームは本当にすごかった!前述した名前の話もそうなんだけど、真相の断片が見えたとき、その真相の軸となる要素をプレイヤーは既に"知っている"ことがすごく不思議な体感だった!!

例えば、同じ地点にあると考えられていた5つのセクター(世界)は実際には分立して存在しているんだけど、分つ要素が時代であり、時間は過去と未来を繋げるものであるという先入観から、セクターは共通しているというイメージが無意識に植え込まれていた。もちろんそれは個人の持つ先入観だけでなく、ミスリードによってそう意識するよう助長されている。三浦慶太郎はセクター間の移動を"時間旅行"と称し、時代を逆行した人物らは自らを"未来人"、"未来から来た"と名乗る。これらは同じ地点上の垂直な縦の線を上下に遡っているような描写なのだが、実際には別の地点(セクター)へ移動しているのである。

気づきを得る
感心している


また、半径15kmから先は外壁が立ち塞ぐ街、そしてその下には直径30kmの円盤が埋まっている=円盤の範囲が世界である、まではかなり早い段階でわかることなのだが、円盤の範囲だけの世界を"現実"に落とし込もうとすると、今までに提示された情報が制限をかけ始める。
外界との繋がりが切断されている=1945年時に戦っていた米軍は"どこ"から来る?セクターはユニバーサルコントロールによって管理されている=管理とは?そもそもこの円盤=世界であるならば、この世界は作られた世界なんじゃないか?円盤は、現実世界において"どこ"にある?
そうした明確な疑問が立ち上がると、"ループ"、"リセット"、"リセットの影響を受けない避難領域"などの単語が意味を持ち、繋がり始めるのである。

気づきを得る
楽しんでいる

何が言いたいかというと、真相が一本の線だとして、それを構成する点と点は最初から提示されている、真相とは違う認識で。これが面白かったし、その真相と違う認識、つまり誤認は登場人物たちの認識として与えてくるのがマッッジで上手いな!!!!!と思った!すごすぎ
(追想編自体が搭乗者が体験した時間を追体験するような視点で構成されてのも、この仕掛けをより効果的にするためなのかもしれない。だとしたらやべーーすげーーーー)
セクター間の移動を"時間旅行"と表記すること、"未来から来た"と説明させること、これらって決して嘘ではないんですよ。5つのセクターは実際に時代設定が違い、セクターを"場所"として認識していない登場人物たちがその移動を"時間"の移動だと認識することは理にかなった必然なんです。でも5つのセクターがそれぞれに独立した居住区だと認識できると、それは時間という流動の移動ではないとわかる。この「真相とは違う認識も、制限された情報の中では事実に違いない」という描写の上手さがね〜〜〜!舌を巻く。

今初めて明かされた真相はずなのに私………"知っている"!!!!!!この解き明かしが独特で、このゲームならではの面白さだったのではないだろうか。叙述トリックに近いんだけど、時系列を軸にした仕掛けの中で、さらに"時間"というモチーフそのものにも仕掛けを施していて、多重に計算された構成が面白かった!!!!!

追想編のことばかり書いてしまったが、崩壊編も面白かった!最後の区画から露骨に敵が強くなってビビったけれど、そのおかげで今までバランス良く使っていた機兵の中から私が考える最強の布陣を作れたのが楽しかった!!!!!!なりふり構ってられないという状況は選択を生むので。
あと最終戦以前までは怪獣の全滅がクリア条件に含まれていたのに対し、最終戦は「規定の時間まで無制限に湧く怪獣からターミナルを守り切るだ」けがクリア条件で、本当の"防衛戦"をできたのが楽しかったーーー!!

4.究明編

追想編、崩壊編のことを主に書いてきたけれど、正直究明編の存在もめちゃくちゃ大きいんですよね。その時点での情報をちゃんと確認できる、そして新たな情報が加わると更新される。この更新っていうのが登場人物たちの認識から導き出される"プレイヤー向けに整備された情報"なのが色々考えながら楽しんでいた私にとってはすごいありがたかった!!!認識というものを上手く扱ったシナリオだからこそ、この更新すらも登場人物たちの視点を元にされると正直究明編は破綻してしまっていたのではないかと思う(ミスリードと真相の差が曖昧になる)情報が得られた際に、その時点で説明できる背景を含めた客観的な情報を載せてくれるの良かった!!

5.総括

楽しかったーーーーーー!!!!!!!!幾度か既に記述しているけれど、このゲームならではの面白さがあって、その体感が新鮮でワクワクしたな〜〜!!!薦めてくれたフォロワーさんや親友が言及している設定資料集?やインタビューなどもこれから読んでいきたいですね!!十三機兵防衛圏、面白かったです!!

6.ゲームの存在(読まないでいい)


これはすごく個人的なことなんですけど、このゲームをプレイしてる期間、私生活がしんどかったんすよ。毎日つらくて、家に帰っても苦しさを無視できなくてずっと泣いてる。そんな日々があと何週間も続くのが既に決定していて、逃れられない現実を目の前に、八方塞がりになってしまったんです。何週間かが過ぎればその先はひとまず落ち着くとわかっていても、その未来は果てしなく遠くに感じられ、目の前にある絶望感を耐え抜く自信が私にはまるでありませんでした。
でもこのゲームを薦められて、いざプレイしてみると今まで自分が体感したことない不思議な面白さがありました。さらに面白いだけでなく、シナリオの内容が複雑だから自然と意識が集中するんです。すると、プレイしている時間は現実から気を逸らすことができて、私は本当に助かったんです。十三機兵防衛圏をプレイしている時間だけが心の拠り所でした。

私が十三機兵防衛圏を1ヶ月という短期間(私の水準ですが)でクリアできたのはこういった側面が大きく関係していると思います。従来の私であれば、クリアまで半年はかかっていたと思いますから。

それも、今までは"ゲームがしたいな!"って気持ちになった時だけゲームをプレイしていたからです。ゲームを構成する要素全てを楽しみ尽くしたかったし、そうやって全身全霊でプレイすることがゲーム、ひいてはそのゲームの製作者たちに対しての誠意だというか……ゲームは面白いからこそ、ゲームに対して真剣でありたかったんです。ゲームをプレイするって行為の中に全く関係ない動機を持ち込みたくなかった。
でもそれって気持ちに余裕がある時しかできないんですよ。「ゲームは面白い」ということを知っていても、瞬間的に気持ちを切り替えるにはゲームをプレイすることは自分にとってまだ身近ではなくて。それこそ絵を描いたりこういう文章を書くという行為に比べると、やるぞ!っていう意気込みが必要な遊びでした。だから十三機兵防衛圏をプレイし始めた時も、これはクリアするまでに時間がかかるだろうな〜と思いました。

実際にはそうならず、1ヶ月でクリアできたのですが、十三機兵防衛圏をプレイしている最中は動機に現実逃避という欲求が入り込んでいることに負い目がありました。プレイしたくてプレイする方が健全だし、ゲームも面白がれるだろうし、製作者も嬉しいだろーよ、、、、ってそういう申し訳なさが心の片隅にありました。

しかし、プレイし終わってみると、対私にとってこのゲームは短期間でクリアするべきゲームだったと思いますし、自分がそうできて本当に良かったと思っています!期間を開けながらプレイしていたら、情報の複雑さに置いてけぼりになってしまった気がします(実際に短期間でプレイしていても序盤にそうなりかけていますから)短期間でプレイしたからこそ私はこのゲームをたくさん面白がれたのではないかと思います。そして短期間でクリアできたのは、間違いなく動機に「現実逃避」が含まれていたおかげなんです。

こうした経験をして、今ではゲームをプレイする動機なんて、何でも良いのではないかと思います。動機が何であれプレイすることに価値があって、そこで感じることに意義があるのだと。振り返れば他の趣味だってそうです。絵を描きたいから描く、文章を書きたいから書く。そういった直接的な動機がベースにあるにしても、自分の持つ言説を体現させることだったり、その日のストレス発散だったり、目的がある時はあるのです。そしてそれらがどうであれ、最後に残るのは自分がその行為をした後に得られる結果への体感です。それこそが真に大事で、私がゲームに対して大切にしたがっている気持ちそのものなんじゃないかと思いました。

いやいや、良いんです。大義名分、大いに結構じゃないですか。ゲームに対して真剣でいたいって気持ちから時間がかかって、でも時間がかかったからこそその時間が価値になって、特等大切になったゲームももちろんあるんです!!だから今までの自分のプレイスタイルや考え方全部が悪かったと言っているわけでは決してないんです。ただ、自分が何かしらをする際の動機に是も非も無いのだと、十三機兵防衛圏のプレイを通して、そう思えたことが嬉しいです!!!絵を描くことや字を書くことと同じなんだという感覚は、ゲームをプレイすることをより身近に感じさせると思います。ゲームと自分の距離を縮められたこと、自分の人生の時間にゲームがより加わっていくであろうこと、それらがとても嬉しいです。

改めて十三機兵防衛圏の製作に携わった方々、そしてこのゲームを私に勧めてくれた二人、ありがとうございました!!!!



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