【もうクリフジはいない】単勝を買わない理由

はじめに

 この記事では、馬券の買い方、買うレースの選び方について、私の個人的な見解を書きます。私自身は競馬歴も浅いですし、完全に買い方を徹底するようになったのはここ2か月程度です。それでもそれなりの時間をかけて改良を重ねた理論で、実際に購入してみても回収率が向上したので、思考の整理がてら執筆することとしました。また、この買い方はあくまで私と同じような予想の仕方をしている人向けです。特に過去レースの回顧を最重要視する人とは合わないと思いますし、その人の買い方や予想の方法が間違っているわけでもないはずです。以上をご理解のうえ、読み進めていただけると幸いです。

馬券は「連・複式」から

組み合わせを当てろ

 「馬券は『連・複式』から」というのは、私のtwitterのアカウント名にも組み込んでいるほど信念です。連・複式とはつまり、馬連・ワイド・三連複のこと。これらの正式名称はそれぞれ、普通馬番号二複式勝馬投票法、拡大馬番号二複式勝馬投票法、馬番号三複式勝馬投票法で、共通する太字の部分を抜き出して「連・複式」と勝手に呼んでいます。これを中心に買いましょう、という考え方が「馬券は『連・複式』から」なわけです。
 普段から馬券を買う人ならここまでの説明で、なぜ連・複式から買うべきかはさておき、この3種の共通点はわかっていると思います。が、万一競馬初心者の方がいる可能戦も考えて一応説明しておきます(わかっている人はこの段落を読み飛ばしてもらって構いません)。これらの馬券は、2or3着までに入る2or3頭の組み合わせを当てる馬券で、着順を問いません。馬連は2着までに入る2頭の組み合わせを当てればよく、1→2の順でゴールしても、2→1の順でゴールしても関係ありません。1-2の馬連を買っていれば、どっちでも的中なわけです。ちなみに組み合わせのみならず順番まであてる馬券としては例えば三連単などがありますが、これの正式名称は馬番号三単式勝馬投票法。順番も当てなければいけない馬券には複式ではなく単式とついているわけです。

勝ち馬なんか予測できない

 ではなぜ連・複式から馬券を買うべきなのか。その理由の最も大きなところが、この節題のとおり、勝ち馬、つまり1着馬なんかわからないからです。連・複式に含まれない馬券は、単勝、複勝、馬単、三連単の4種類(枠連、枠単、WIN5はややこしいので除いています)。このうち複勝以外は、すべて勝ち馬を当てる必要があります。それが無理だから、連・複式から買いましょうといっているわけです。
 「勝ち馬を当てるが予想の基本。だから馬券の基本も単勝だ」という予想家や馬券購入者も多いでしょう。さらに発展して「保険として複勝も買っておく、単複で勝負する」と考える人もいます。それも間違いではありません。例えば冒頭に書いた通り、回顧に重きを置く人は連・複式との相性はあまりよくありません。「3番の馬は前走で5着だったけど、レベルが高いメンバーと競走して、さらに詰まり気味だったの勝ち馬とは0.3秒差まで追い込んできた。今回の他のメンバーは、前走馬券内だったメンバーも多いけどレベルが低い競走で、3番が突き抜けてもおかしくない。それなのに他の馬が前走の着順だけで人気しているから、3番はオッズが美味しい。だから3番の単複を買おう」という考え方は至極正しいと思います。しかし私は、別の理由があって単勝を買うべきではないと考えています。

もうクリフジはいない

 クリフジは戦前に生まれ、ダービー、オークス、菊花賞の変則三冠を達成しました牝馬です。菊花賞は至上唯一の大差勝ち、オークスでも10馬身差をつけ「1着はクリフジ。2着は見えません!」という名実況を生んだ最強馬でした。もしこんな馬が現代に再び現れたら、単勝1.1倍だろうと買い続ければ儲かります。しかしそれがほぼありえないことは、おそらく全員が分かっているでしょう。では、なぜそう思うのでしょうか。それを紐解いていくと、私が単勝を買いたくない理由につながります。(単勝を買うべきでない理由だけをさっと読みたい方は、この節の最終段落まで飛ばしてください)。
 クリフジの再来がありえない理由の最も大きなところは、技術の進歩です。それはジャパンカップの歴史をみれば明らかでしょう。第一回の81年の勝ち馬メアジードーツは、JC以外にGⅠ勝ち鞍はなし。海外ではせいぜい1.5流程度でしたが、東京競馬場のコースレコードを1秒縮める圧勝劇を見せました。90年の第10回までに勝った日本馬はシンボリルドルフとカツラギエースだけで、はっきり言って当時の日本競馬は、海外から見れば草野球ならぬ「草競馬」でした。しかし時とともに育成ノウハウが蓄積され、世界でも戦えるトップジョッキーが誕生し、さらにサンデーサイレンス旋風を含めて血統の淘汰が進んでいきます。そして05年のアルカセットを最後に、JCは日本馬が勝ち続けています。
 技術が進歩したということはすなわち、同じような能力の馬を安定して生産、育成し続けられるようになったということです。ダービーを勝つためにはディープインパクトやキングカメハメハの産駒に差す競馬を教えるのが最も効率がいいとわかり、ディープやキンカメの産駒は、その種付け料にもかかわらずそれぞれ1800頭以上に上ります。その結果、同じような血統で、同じような育成をされた馬を、同じような意識のジョッキーが、同じように乗ることになるわけです。もちろん全馬がダービーを勝つためだけに生産されているわけではないので、全馬に当てはまるわけではありませんが。
 このような状況では、とびぬけて強い馬が現れることはほぼないでしょう。このように技術の進歩とともにとびぬけた存在が現れなくなるのは、他の競技でも同じです。野球では福本豊の通算1065盗塁、バスケではウィルト・チェンバレンの1試合100得点など、いわゆる「アンタッチャブルレコード」は大半が2000年以前に打ち立てられています(古くに打ち立てられて長年やぶられないからアンタッチャブルレコードと呼ばれるわけですが)。記録がどんどん更新されていくのは、陸上や水泳など相手と直接対決しない競技や、シンクロナイズドスイミングなど審査員のいる競技ぐらいでしょう。陸上になぞらえるなら、競馬もレコードタイム自体は毎年のように更新されています。ただ、各サラブレッドの相対的な差がどんどん縮まってきているということです。
 すこし長くなりましたが、本題に戻ります。このように各馬の差が縮まっているということは、各馬にはちょっとした要素で着順がひっくり返る程度の実力差しかないということです。またクリフジの話に戻りますが、実はクリフジはダービーでとんでもない大出遅れをしています。それでも6馬身差をつけてちぎったわけですから、故障か落馬でもしない限り負けなかったでしょう。しかし現代ではどうでしょう。ゲートで顔をぶつけた、落鉄した、直線で進路が狭かった、発情した、砂を被ったなどなど。ほんのちょっとした不利で人気馬が惨敗するのは日常茶飯事です。そしてこれらの不利は予測できません。だから私は単勝を買わないのです。

不利も少しは予測できる

 このように書くと「そんなに絶対を追い求めていたら馬券なんか買えねーよ!」と思うのが普通でしょう。私もそう思います。100%確実な馬券なんかありません。どんな人気馬にも予想外の不利は起こりうるし、どんな人気薄にも予想外の有利は起こりえます。極論、18頭立てで1~15番人気が落馬すれば16~18番人気で決まるわけです。しかしそんな馬券が買えるわけもありません。
 ここまでに挙げた有利不利は、繰り返しになりますが予測できないものです。しかし、予測できる有利不利もあります。それが「バイアス」といわれるものです。バイアスとは直訳すると「傾向」。競馬ファンなら知っていると思いますが、一応説明しておきます。例えば東京競馬場について、JRAの公式HPから引用してみましょう。

新潟などのローカル場と違い、カーブの半径がゆったりしているため、コーナーでゴチャつく可能性も低い。さらに広々とした幅員をいかし、4つ(A、B、C、D)のコースを使い分けることによって、馬場の傷みの分散化が図られている。様々な面から“紛れ”の介在する余地が小さいわけで、馬の能力がストレートに反映されやすいコースと言える。
(https://www.jra.go.jp/facilities/race/tokyo/course/index.html)

 この「馬の能力がストレートに反映されやすいコース」というのも、バイアスの一つです。他にも東京競馬場に関していえば、ゴール前の3コーナーと4コーナーが緩やかなうえにつなぎ目が直線に近く、逃げ馬にとっては息を入れる間がなくてきつい形状なことも挙げられるでしょう。さらに競馬場の形態だけでなく、雨や風、開催の進行度、ペースなども絡んできます。雨が降ると時計がかかり、素軽いサンデー系よりダート血統や欧州血統が走りやすくなったり、向かい風が強いとハナを切る逃げ馬はしんどかったり、開幕週の極端な良馬場は前が止まらず差し馬が届かなかったり。これらの傾向が、過去10年単位のマクロの傾向と、当週や前週のミクロの傾向をしっかりと分析することである程度予想ができるのはお分かりいただけるでしょう。そしてこのバイアスを含む有利不利は、人気薄の激走や、人気馬の凡走を招きます。つまり、穴馬券をとるチャンスなわけです。なお、どのような条件でどのような馬が好走するかは、書き始めるときりがないので省略します。
 さて話を戻しますが、ここでやっと連・複式から買うべき理由に戻ってきます。バイアスが分かっているなら、そのバイアスに合う馬を買えばいい。そしてバイアスに合う馬が複数いるなら、それらが全部好走する可能性が高いのだから、連系で買えばいい。とはいえどの馬が勝つかは分からないのだから単式の馬券は買えない。だから連・複式を買う。これが、私が連・複式を推している理由になります。

買い目・見学or購入の基準について

絶対に当たる馬券と、絶対にトリガミしない馬券

 突然ですが、絶対に馬券を当てる方法と、絶対にトリガミしない方法は何でしょう。ある程度馬券理論を勉強した人や経験から学んだ人には、答えが分かってしまうでしょうか。
 ここでも念のため、「トリガミ」について解説しておきます。わかっている人はこの段落を読み飛ばしてください。トリガミとは、馬券が的中したものの、払戻金が購入金額に満たないことです。例えば、先日のフェブラリーステークスで考えてみましょう。このレースは1番人気→3番人気→4番人気で決着しました。的中した馬連7-15の馬券は9.7倍、100円買えば970円帰ってくる計算です。このときもし、7-2.3.4.5.6.9.10.11.13.15の10点を100円ずつ買っていたらどうでしょう。購入1000円に対し970円の払い戻しなので、的中したのに30円損しています。これをトリガミと呼びます。
 話を戻して、絶対に当てる方法と絶対にトリガミしない方法について、馬連で考えてみましょう。私も愛用している馬券ですが、人気どころと人気薄でオッズの開きが激しく、さらに購入額も多いのでトリガミしやすい馬券です。これを絶対に当てる、または絶対にトリガミしない方法はなんでしょうか。
 正解は「全頭ボックス買い」と「1点買い」です。すべての組み合わせを買えば絶対に一つは当たりますし、一つの組み合わせしか買わなければ、当たりさえすれば損をすることはあり得ません。
 屁理屈だと思ったでしょうか。ですが、この基本は馬券の買い方を考えるうえで非常に大事になってきます。「全頭ボックス買いはやめましょう!」とかそんな話ではありません。むしろ「1点買いしろ!」というのが、私の主張に近いところです。

買い目の基本

 馬券の買い方理論を説明するために、実際に私の基本的な買い目を書いてみます。
馬連  ◎-〇 1000円
ワイド ◎-〇▲ 各1600円
三連複 ◎-〇▲-印全 各100円(計500円ほど)
三連単 ◎-〇-印全 各100円(計300円ほど)
 以上、計5000円が基本です。△は1~3頭ほどに絞って、その数によってワイドの額が多少変わったり、三連単が◎-〇▲-印全になったりします。また、〇-▲が極端に人気薄のときは、ワイドでここも少額で抑えることもありますし、◎が大穴で〇が極端に人気しているときは、馬単がおいしいのでここをつまむこともしばしばです。
 いずれにしても、私の中で設けられたあるルールに沿った買い目です。それが「◎→〇→▲で決着した時に、三連単、三連複以外はすべての馬券が的中する」ということです。だから馬連は1点しか買わないし、ワイドは3点までで△以下は買い目に含まれない。よって私は基本的にトリガミしないし、的中した時はかなり大きな払い戻しを得られます。トリガミするのは、ワイドのオッズが直前投票で異常に下がった場合だけです。さすがに今まで一度も出くわしたことはありません。これは、私の予想方法の中で効率を追い求めた結果として行き着いた買い方なのです。

保険の役割は次のレースが担う

 先の節では、私の馬券の買い方のメリットを力説しました。しかし、買い目を広げるタイプの馬券購入者はこう反論するでしょう。「それは上位印3頭で決着したときの話であって、そこまでドンピシャが決まることは少ない。長期的にみれば、ハズレ馬券がかさんでいって回収率はかわらないだろう」。これは半分正解、半分不正解です。
 まず、そこまでドンピシャが決まることは少ないという指摘。これは正しい指摘です。しかしそれでも、私の買い方は理論上、回収率が上がります。
 買い目を絞るということは、一点あたりの賭け金を増やせるということです。だから払い戻しも大きくなり、的中率は低くとも回収率は同じ程度に収束する、というところまでは多くの人に納得してもらえると思います。
 しかし再三ですが、買い目を絞ると、回収率は上がります。なぜなら、例えば◎、○、▲、△、⭐︎のそれぞれに1頭ずつ、計5頭に印を回したとして、◎-△-⭐︎
で決着する確率よりも◎-○-▲で決着する可能性の方が高い
からです。もし前者の確率の方が有意に高いなら、それは根本的に予想が間違っています。買い目の工夫をする前に、まず予想の仕方から見直しましょう。

ギャン厨に見する勇気があるわけない

 「無駄なレースに手を出さないことが重要だ」というのが、馬券理論においてよく語られる定石です。私もこの点には異論ありません。
 しかし、そもそも回収率を気にするような馬券購入者はみんな揃ってギャンブル中毒です。資金と予想が追いつくのであれば全レース買いたい。そう思っている人が大半でしょう。そんな人間が、冷静に購入を見送る判断ができるでしょうか?答えは十中八九ノーです。
 そこで、オッズで明確な線引きをして、機械的に買う、買わないを判断します。例えば私なら、ワイド2点とも5倍つかない、または片方は5倍以上つくが、◎-〇馬連が7倍つかないときは買わないことにしています。こうでもしないと、結局いつまでも「このレースは買うべきじゃなかったなぁ…」と結果論で後悔し続けることになります。

おわりに

くぅ~疲れましたw これにて完結です!
実は、予想の的中報告をあげていたら買い目について聞かれたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←

完結ですと言いつつ、まだまだ書き足りないことはたくさんあります。「自信度とかいうやつ9割信用ならん」「馬連と馬単マルチどちらを買うべきか」「買い方に迷って単勝2点買いを試してみた話」などなど。あと要所要所に、効果的であることの証明として馬券自慢でも挟み込もうとしていましたが、すっかり忘れたまんま書き上げてしまったので、これは今後の課題とします。少しでもお役に立てれば、または読み物として楽しんでもらえれば、いいねなどいただけると嬉しいです!

本当の本当に終わり

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