音楽のタイムカプセル【エッセイ】
ラジオから流れた久々に聴くあの曲。
その瞬間に全てがフラッシュバックし吐き気を催した。
僕は、はまった曲があると鬼のようにヘビロテをしてしまう人間である。
単純にその曲を聴くとテンションがあがるという理由もあるが、主に『今のこの瞬間』を自分の中に刻むためである。
だからしばらくすると、その曲を聴かなくなる。
新しい記憶が上書きされてしまうのを防ぐために。
青春時代に聴いていた曲を久々に聴くと、友人達とくだらないことで笑い合っていた風景や言葉が鮮明に蘇ってくる。
苦しい時に聞いていた曲を聴くと、「そんな時もあったな」と感傷に浸る。
まるで昔の写真を見返した時のような。
僕の中には思い出と共に音楽が存在する。
ただ30年生きていると、もう2度と開けたくないパンドラの箱が存在する。
ふとした瞬間に、開けてはいけないその箱を、音楽がいとも簡単に開けてしまうのだ。
一度開けてしまうと、しばらくはどん底に落ちる。
逆に開き直りどん底に落ちまくってやろうと思って、その曲をヘビロテしてしまう。
そうすると頭がおかしくなってくる。
そしてまたヘビロテする。
更に頭がおかしくなる。
それでもヘビロテする。
そして開き直る。
そんな人生を生きている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?