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無意味になる夜【エッセイ】
無意味になる夜がある。
誰かの言葉、目に映るもの全てが淡白で、無色の世界にいるような気分になる。
何かもが馬鹿馬鹿しく、どうでもよく感じる。
そんな夜があるのだ。
理想の自分になれたとして、
手に入れたいものを手に入れたとして、
守りたいものができたとして、
その先に必ず待ち受ける黄泉の国。
何一つ持って行くことなどできないのに、なぜ欲張るのだろう。
無数の欲望が絡み合うこの世界に、疲れてしまう。
お香から立ち登る煙をひたすらに眺めながら、熱いお茶を飲んでいる。
形を留めず、フラフラと現れたかと思えば、スッと消えるその姿は、僕の心を投影しているようだ。
たまには、そんな夜もあって良いだろう。