小説/黄昏時の金平糖。【タイムレコード0:07】#21 負けないように、ただいま
黎明わた 6月3日 金曜日 午後6時35分
愛知県 夏露町 弓道練習場
「─ありがとうございました!!」
一人しかいない練習場に向かって叫んだ。
「お疲れ様」
袴姿でやってきたのはあにい─灯籠真弓(とうろう まゆみ)だった。
「あにい!お疲れー」
兄(あに)と兄(にい)の呼び方が合わさってあにいになった。あとは、ここら辺の方言的なのもあるらしい。
「じっちゃんが白玉作ってくれたし一緒に食べよ」
「やったね、食べよー」
じっちゃんは弓道練習場の