【REPORT】看板俳句@柳ケ瀬OKBわくわくベースG
2023年12月9日、土曜日。
岐阜県岐阜市、柳ヶ瀬商店街にある素敵な空間で、句具の俳句体験ワークショップ「看板俳句」を開催しました!
柳ヶ瀬にできたばかりの、新ランドマーク、柳ヶ瀬グラッスルの一階にある「OKB岐阜中央プラザ わくわくベースG」さんと句具のコラボでの開催となりました。
「看板俳句」とは?
「看板俳句」は、このワークショップのための造語です。
普段、何気なく目にする看板や、まちなかに溢れている言葉を改めてじっくり観察をしながらまちを歩き、まちの様子はもちろん歴史や時代にも思いを馳せつつ、言葉遊びをしながら最終的に俳句にしてしまおう!という趣旨のワークショップ。
つまり、まちあるきをしながら俳句を楽しむ、句具の新しい俳句体験ワークショップです。
テーマは、「まちに溢れるあらゆることばを普段とは違う視点で採集して、自分だけの文学作品をつくってみよう」。
前回、FabCafe Nagoyaさんで開催したワークショップがとても好評で、今回はOKB大垣共立銀行さんからお声がけいただきまして、句具のお膝元である岐阜での開催となりました!
まずは「俳句とは?」をレクチャー
岐阜市内外から集まった17名で、看板俳句がスタートしました。
まずは、今日使う俳号を決めて、LINEのオープンチャットに俳号で参加します。
決まったら、俳句の基本について簡単にレクチャーしたあと、早速ワークに入っていきます。
五七五のうち、五音が歯抜けになっている12音のフレーズをいくつか用意。
好きなフレーズを選び、そこに季語をあてはめて、取り合わせの俳句をつくってみるワークを行いました。
「五音の俳句歳時記」をひらいて、その中から、フレーズに合いそうな、今の気分の季語を選んで当てはめます。
自分で組み合わせた俳句は、オープンチャットに送信してもらい、みんなで共有しました。
同じフレーズでも、取り合わせる季語によって雰囲気が全然変わってきますね。
数人に、その季語にした理由を問いかけて、お話もしてもらいました。
いよいよフィールドワーク!まちへ繰り出し、看板採集
季語パズルで俳句づくりを体験したら、いよいよ柳ヶ瀬商店街へ!
この日は12月にしては比較的暖かい日で、のんびりと散策を楽しめました。
柳ヶ瀬商店街や、お隣の西柳ヶ瀬、東の美殿町商店街の方まで足を伸ばしていた方も。
自由に歩いていろいろな看板を写真に撮って、LINEオープンチャットにどんどんアップしていきます。
30分ほどの短いフィールドワークでしたが、20名で集めた写真はなんと全部で250枚超え!(すごい!)
「俳句になりそう」「ならなさそう」といったことは一切考えず、まずは目についたものをどんどん撮影してきてください!と伝え、みなさんそれぞれ好きなように柳ヶ瀬をめぐってもらいました。
参加者からは、お店の看板から注意看板まで、新旧いろいろな看板が集まりました。
全員で共有したことで、
「あっ、この看板さっき見た」
「ここ通ったのに、こんな面白い看板あったんだ!?」
「こういう写真もアップしていいんだ!」
と、いろいろ発見もあったようでした。
戻ってきてから、しばしおやつタイム
わくわくベースGに戻ってきた人から、休憩タイム。
この日は 喫茶 星時さんのコーヒーと、岐阜高島屋の「御座候」をご用意。
今回は星時さんにお願いして、イベントのための出張コーヒーをお願いしました。
おいしいコーヒーを飲みながら、ほっとひと息です。
看板の言葉から、俳句をどうやって作ろう?
手元のスマホに集まった250枚の看板写真を眺めながら、じゃあここからどんなふうに俳句にしていこう?
…ということで、看板にある言葉からどう俳句にしていくか?について、簡単にレクチャーします。
先ほどの季語パズルで体験した「取り合わせ」の技法を使っていきます。
季語は最後に考えるとして、まずは看板から拝借したことばをきっかけにして、12音の言葉を整えていく作業から。
看板にある5音の言葉を拾ってそれを7音で描写するパターン。
看板にある7音の言葉を拾って、残りの5音を考えるパターン。
面白い言葉を見つけたらどうやって整えていこう?
12音を超える言葉はどうやって短くする?
いろいろなパターンでレクチャーしつつ、「より俳句らしく完成させる」ために、12音をどう整えればいいか、その考え方やコツなどについてもほんの少しお話ししました。
それではいよいよ、俳句をつくっていきます。
自分が撮影した写真じゃなくても、誰かが撮った写真を使ってもOK。
あとから「どの看板からつくった?」と聞くこともないので、俳句を作る途中で看板の言葉が跡形もなく消えてしまっても、それはそれで大丈夫です。
看板の中にある言葉をきっかけにして、自由に12音を組み立てていき、12音を組み立てたら、季語を考えていきます。
作句時間はわずか30分。
「なんとか一句は形にする」ことを目標に、みなさん指折り数えながら俳句づくりにチャレンジしてくださいました。
ひとり一句、たくさんできた人は最大2句まで投句可能ということにしました。
集まった俳句は、全29句!
ここからはいよいよ、みなさんで作品を読み合っていきます。
推し句を見つけて褒め合う、句会のような鑑賞タイム
さあ、投句された俳句が出揃いました。
選句一覧をパッと見た時の印象は、「いい句がたくさんある!」という嬉しい驚き。
いい作品がたくさん集まりました!
いよいよここから、句会のスキームを使って、参加者それぞれの俳句を鑑賞していきます。
一覧表の中から好きな俳句を5句選び、特に好きな句(特選)をそのうち1句選びます。
全員の選が出揃ったら、みなさんそれぞれ、作品のどんなところが良かったのかを語り合っていきます。
たっぷり話したところで「ではこの句は、どなたの句でしょう?」と作者を明かします。
せっかくなので、作者からも一言コメントをいただきました。
看板が元ネタになっている句については、「この句はあの看板を元に作りました」と、その作った過程を披露してくださる方もいれば、
「もしかしてこの句って、あの看板かも…?」と予想をしながら鑑賞を楽しんでくださる方もいました。
対して、どんな看板が元になったかわからないけれど「作品として好き」という声も多く上がり、看板俳句の楽しみ方の広がりを感じました。
当日、投句された作品と作者はこちらです。
点が入ったすべての句に触れつつ、4時間の濃厚なワークショップは幕を閉じました。
「看板俳句」に参加してみて
初めて俳句に触れたという人からは、
「初めて参加したけれど、選んでもらえて嬉しかった」
「レクチャーの通りに作ってみたら、なんとか一句できて安心いた」
という感想も上がりました。
俳句経験者さんからは「看板から俳句ができるのがとても新鮮だったし、初心者さんの作品とかベテランの作品とか、わからないくらい、いい句がたくさんあった!」と楽しんでいただけました。
また、「自分が撮影してきた写真が、誰かの俳句のきっかけになったのがうれしかった」という声も挙がりました。
「看板俳句」という俳句の新しいつくりかた
今回はワークショップという形で、俳句をツールとして使いつつ、「吟行」や「句会」という、もともと俳句の文化の中にあるものをうまく活用しながら、はじめて俳句に触れる人にも楽しんでもらえるワークショップを目指して企画・運営しました。
実際「俳句をつくりましょう!」「句会をしましょう!」という流れというよりは、「まち歩きをしながら写真を撮る」「それをもとに、調べを五七五に整えてみる」「好きな句を選んで好きなところを言い合う」というかたちで、俳句に初めて触れる人にも楽しんでいただけるプログラムになるように…と組み立ててみました。
素材となる看板の写真は、リアルタイムでみんなでシェアすることで、俳句づくりの幅が少し広がったのではないかなと思いますし、こうして複数人が集まるからこそ楽しめるスタイルになったのかなと思います。
参加していただいた方に、少しでも「俳句って、なんか面白いね!」と感じてもらえていたら、とてもうれしいです。
参加してくださったみなさま、OKB大垣共立銀行の方々、OKB岐阜中央プラザ わくわくベースGの皆さん、本当にありがとうございました!