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【Wolfpack】5人で潜水艦を操作するゲームを布教したいんだ 7 AOBを考える
Wolfpack買え(鳴き声
さて、今回はpart2でお話しした魚雷の話の続きです。
魚雷発射に必要な諸元として「距離」「相手の速力」「AOB」という要素を挙げました。これら3つの数値から「現在の自艦と標的を結ぶ直線」「標的の針路」「今射って標的に命中する魚雷の針路」の3本の直線からなる三角形を作り、そこで正弦定理より「相手の速力」「AOB」を用いて魚雷を射つ方位を算出するわけです。
では「距離」はどこで使うのか、と言う疑問が生じます。魚雷は発射管から正面に飛び出して、ある程度進んでからあらかじめ設定した方位に曲がって直進します。この際生じる微妙な誤差を修正するために「距離」が使われるのです。
要するになにがいいたいのかというと、「距離は(少なくとも魚雷発射諸元としては)大雑把で大丈夫」「大事なのは速力とAOB」ということです。
ちょっとTDCを用いてそのあたりを確認してみましょう。速力5kt、距離3000m、AOB左舷70度の標的を想定します。この時魚雷は右舷11度に駛走します。
では速力を測り間違えて6ktにしてしまった場合を考えましょう。この時ジャイロアングルは9.2度、1.8度の誤差ですから3000*tan1.8°より3000m先では100m弱の差が生じます。一般的な商船の艦中央を狙ったとしたらおそらく外してしまうでしょう。
ではAOBを10度間違えて、左舷60度にしたらどうなるでしょう。この時のジャイロアングルは12度、1度の誤差は3000m先では52mのずれになります。この程度の誤差ならギリギリ艦首か艦尾に当たるかもしれません。
最後に距離を間違えた場合です。3000mの標的を5000mとしてしまいました。ですがこの場合の誤差はわずか0.1°、狙った場所から5mずれた場所に命中します。ほとんどずれていないと言えるでしょう。
で、この大事な大事な速力とAOB。速力はpart2に書いたとおり計算によってほぼ正確な値を出せるのですが、AOBに関しては「だいたいで」としか書いていません。Silent Hunterなど別ゲームのために解説されている別サイト等でもそういう感じです。ですが大抵の人類は見た目からAOBを算出する訓練を受けていないと思うので、ここらで一度そういう目安になるものを貼っておこうかと思うわけです。
このような艦を想定します。MMDです。真横にいるところから徐々に視点を艦首に移動させていきましょう。
80°、ほとんど変わらない印象を受けます。
このあたりからキングポスト(?)の左右舷側のやつが分かれて見えてきます。また艦橋の前面もそろそろ見えてきました。
そろそろ艦橋前面がしっかり見えてきました。
このあたりがちょうど斜め前方からの視点です。ここの雰囲気を覚えておくと15度刻みでおおよそのAOBが算出できる気がします。
ここで見かけの全長が本来の半分になります。でもこのくらいでもAOB45°と誤認してしまいそう。意外と前から見ているのです。
またこのあたりから艦首のラインが舳先ではなくて反対側の舷側になってきました。
30°を越えると急速に見かけの全長が小さくなっていきます。
右舷側がだんだんよく見えるようになってきました。
このあたりでやっと「前の方から見ている」という感じが出てきました。
でこれが正面。
もちろんこの艦はあくまで一例ですから、実戦では識別表と照らし合わせて全長、全高に合わせて考える必要があります。見るところとしては艦首のシルエットは舳先か舷側か、艦橋の前面が見えているか、キングポストなどの左右に生えている構造物のずれ、といったところです。もちろん後方から見ている場合はその逆です。
というわけでもはや潜水艦学校になる覚悟を決めたのでみんなWolfpack買ってください、なんなら教えられる範囲で教えるんで、マジで。
【使用させていただいたモデル】