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東京という街について

「東京でずっと働いているのはすごい」

亡くなった父が、関西から上京した私のことをそんな風に話していたらしい。
私は新卒で就職した会社から言い渡された配属先が東京だったから東京に来ただけで、夢を追いかけて東京にきて日々頑張っている、という訳ではない。

そこから転勤がなかったから東京に住み続けているだけで何がすごいのかわからないが、言われてみれば就職で時を同じくして上京した地元の友人達は多くが東京を離れてしまい、今では連絡を取る地元の友人は東京に1人もいない。
東京を離れた友人達は、それぞれ地元であったり、縁もゆかりもない地方へ移住したりしたが、みな「東京よりここがいい」と話す。

こういった話を聞くと、東京に長くいると嫌になる人が多いのかもしれない。かという私も東京に息苦しさを感じることがままあるし、地方の友人を訪れた時は東京より遥かに居心地よく感じた。

だが、転職時も東京で仕事を続けることを選択した。そこに大きな意味はないが、転職という節目を迎え、東京という街について振り返る。

東京に住んでいて良かったと思うのはこの2点だ。

①とにかく便利
②魅力的な店・施設が多い

①については、ショッピング・映画・カフェ・食事。。。どこに住んでいようが、自分が住んでいる街でやることなんてたかが知れている。所謂「栄えている街」というのは一人でも複数人でも時間をつぶすことができる街であり、東京だろうが地方だろうが大なり小なりそういった場所はある。(地方の場合は街でなく商業施設であったりするが)
地方ではその「栄えている街」までそれなりの距離がある場合もあるが、東京は「栄えている街」が乱立している。必然的に自宅の近くにもそういった場所があり、交通の便も優れているので、長い時間電車に乗ったり車を出したりせずとも用事を済ませることができる。

②については、東京には本当に店がたくさんある。ファッション誌で気になっていた服を見てみたくても、地元では店舗がないことが多かったが、東京にはほぼ実店舗があって実際にものを見て試すことができる。
服に限らず、人気店がひしめく商業施設や最近流行りのおしゃれなサウナ施設など、東京には新しく魅力的な施設が次々に現れる。
長く住んでいでもまだまだ行きたい場所がたくさんあるし、次々に新しいスポットができてきている。これは地方にない東京の大きな魅力であろう。

逆に東京に住んでいて嫌になるのは以下の2点だ。

①自然が少なく、人は多い。
②家賃が高い

①については、基本的に東京はコンクリートジャングルである。
緑が少ないし、高層ビル群からはあまり空が見えず窮屈さを感じる。
地元は自然豊かなわけではないし、自然が好きなわけでもなかった(むしろ都会的な場所に憧れていた)が、東京に来てから無性に自然豊かな場所に行きたい願望が強くなったし、東京を離れると街中でも空の広さ、開放感を感じる。
普段から意識しているわけではないが、無意識化でストレスは溜まっているのだろう。
そのくせ人だけはやたら多いので休日の街は人で溢れているし、毎朝の通勤電車は地獄である。地元でも満員電車は経験があったが、身体が浮いたり、駅員さんが乗客を無理やり車内に押し込んでいる光景を見るのは東京が初めてであった。

②についてはそのままであるが、家賃が高いということは、それなりの収入を得るようになるまでは狭い部屋や駅から遠い物件に住む必要性が出てくる。家賃の安い郊外や埼玉、千葉等に住むのも選択肢ではあるが、職場が東京であればその分通勤に時間を要することになる。そうすると毎日の通勤がより負担になってくる。
(昨今のリモートワーク普及により、通勤の必要性がなくなってきてはいるが)東京に住むのであれば、家賃以外の支出を節約するか、狭い部屋に住むか、長い通勤時間を許容するかといった選択をする必要性が出てくる。
私は東京での一人暮らしの経験しかなく、引っ越しもしていないので家賃相場に明るくはないが、地方であれば、今私が住んでいる1Kの賃料より3LDKの賃料の方が安かったりするようである。
部屋にどのくらいの広さを求めるかはひとそれぞれであろうが、安くて広い部屋に住めるのならそれにこしたことはないだろう。

結論として、個人的には東京よりいくらか落ち着いていて、家賃の安いところへ移り住みたい。転職によって今後リモートワークが活用できるのであれば、通勤時間も考慮不要なため、東京にこだわる必要もない。様子をみて引っ越しを考えたいところではあるが、何かにつけて飽きることのない街でなかったから孤独でもやってこれた部分もあるかしれない。

昔は東京への強い憧れがあったが、いざ住んでみればどうということもなかった。とはいえ、大嫌いにはなれない街である。

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