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2024年は『黒博物館』の年だったという振り返り

2024年を振り返ると、『黒博物館』とのご縁をいただいた年でした。


2月『黒博物館 図録』に年表寄稿

2024年2月刊行の『黒博物館 図録』に『黒博物館』シリーズを網羅する年表を寄稿しました。こちらは史実と作品内の時間両方を載せたものとして制作しました。

 『スプリンガルド』『ゴーストアンドレディ』『三日月よ、怪物と踊れ』3作それぞれの、日々の創作の跡を辿れる貴重な直筆考察ノートや原画を満載。さらに著者と担当編集者との対談や、『三日月』で描かれる回転剣術-月動-(ベグーシャヤ・ルナー)の生みの親で、舞踏設定・振り付けを担当したTAKAHIRO、『ゴーストアンドレディ』『三日月』で軍事・風俗考証を担当した磯野圭作、両氏のインタビューやコラムをあわせて収録。綿密な歴史考証と、縦横無尽のアイデアで紡ぎ出す藤田ワールドの秘密がわかる贅沢な一冊です! シリーズ唯一の単行本未収録作品『キャンディケイン』収録!

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3月藤田先生にお会いする(2回目)

3月に、藤田和日郎先生のスタジオを訪問し、ご挨拶する機会をいただきました。藤田先生と直接お会いするのは2回目で、1回目は前年のコミティア参加時に、サークルスペースまでお越しいただきました。

『黒博物館 館報』の執筆時は、藤田先生が『三日月よ、怪物と踊れ』を週刊連載中であり、当時はまだ2巻までしか出ていませんでした。そうした大変お忙しい中だったため、基本的には先生への直接確認はなく、こちらで原作を読み込み、私の担当編集の方と原稿を詰めながら、それを藤田先生の担当編集である寺内氏、そして藤田先生の確認を経るという形で進みました。

戻しはなかったように思います。それ以上に、こちら側での編集・削除が非常に多かったので、確認にご迷惑をおかけした点も。

なお、このような状況だったので、作品の巻末にある参考文献一覧がありつつも、どの資料を最重要視していたのかもわからず、半ばリバースエンジニアリングの形で総当たりしながら掘り下げを行う形でもありました。

そうして仕上がったのが、『黒博物館 館報 ヴィクトリア朝・闇のアーカイヴ』でした。

連載を終えてようやく時間ができた藤田先生にご挨拶をできたのが、2024年3月のことでした。

個人的な機会でもあり、詳細は書きませんが、『館報』と『図録』にサインをいただきました。以下は、『図録』にいただいたサインとなります。

5月劇団四季『ゴースト&レディ』観劇

そして5月、劇団四季『ゴースト&レディ』開演です。初日のチケットが取れなかったので2日目を確保した後に、藤田先生のご好意で別日にチケットをいただけたので、 5月に2回観劇しました。その後、10月にも知人が上京するに際して観劇するとのことで、それにあわせて3回目となりました。

感想や詳細はこちらに。

6月劇団四季の会報『ラ・アルプ』に寄稿

そうして観劇を終えた5月後半ぐらいに、劇団四季の広報の方から「感想を会報に寄稿してほしい」との原稿依頼をいただきました。大変ありがたいのですぐに依頼を引き受け、寄稿しました。

そしてこの過程で広報の方から、私が書いた『黒博物館 館報』やnoteに公開してきたナイチンゲール関連のテキストを、舞台の参考資料として用いていただいたことをうかがいました。期せずして、舞台に微量ながらも参加させていただいていたのです。

こちらはウェブ公開もされています。

内容については、私の経験を反映しました。

たまたま私はその前年に、劇場に取り憑いた幽霊(シアターーゴースト)であるグレイがいた英国ロンドンの王立ドルーリー・レーン劇場を見学(バックステージツアー)していました(以下に記載)。

この時、王立ドルーリー・レーン劇場で公演していた『アナと雪の女王』が、『ゴースト&レディ』公演のすぐ隣の劇団四季の劇場で公演していることから、「王立ドルーリー・レーン劇場で『ゴースト&レディ』が公演されたら、グレイは『凱旋帰国』になるのでは?」「そういう未来は見たい」と思い、感想に書きました。

10月旧尾崎テオドラ邸原画展鑑賞+年表追加

そうした中、10月から旧尾崎テオドラ邸で、「藤田和日郎 黒博物館シリーズ 原画展」と題した原画展の開催があり、そこに『黒博物館図録』掲載の年表を展示したいとの話をいただきました。

年表については『黒博物館』の漫画原作内で言及された時間軸を中心としており、その後の人生が劇的に長いナイチンゲールについては、かなり割愛していました。ただ、年表になると空白が目立つことと、劇団四季『ゴースト&レディ』でフローの長い人生に興味を持つ人が増えていることもあり、展示用に年表の空白を埋めることにしました。

そうして、実際に展示が始まると見に行ってきました。

年表については藤田先生がペンを入れ、かつ年表の中に旧尾崎テオドラ邸が建築された時期を追記するなど、粋なはからいも見られました。先生とまたコラボする形となって、嬉しかったです。

11月のライブ配信に向けたテキスト諸々

劇団四季『ゴースト&レディ』がとても素晴らしい劇だったのですが、評判が評判を呼び、期中の早い段階で千穐楽まで完売しました。そこに、劇団四季として初となる「千穐楽前日」と「千穐楽」の2日を「ライブ配信」し、かつその後も「見逃し配信」することになりました。

私は時間の都合で「千穐楽前日」のライブ配信を見て、実況をしていたのですが、その中でたまたま呟いた投稿が思いがけず「いいね」をいただいたことから、「もしかして、フロー以外のほとんどのキャラクターが実在の人物だと知られていないのでは?」と思い至りました(私の投稿は #配信でゴーストアンドレディ で検索)。

その後、ライブ配信期間は終わったのですが、公式から11/18(月)20時から同時視聴をしようとの企画があり、もちろん乗っかりました。

ただ、その前に「せっかくなので、実在の登場人物を紹介しよう」と、記事を書きました。

そして多くいいねをいただきました。

これはまったく仕事でもなく、趣味なだけですが、「人に伝わるのは楽しい」とモチベーション高く書くことができました。

この時、たまたまナイチンゲールの多面性を伝える本人コラムを見つけていたので翻訳し、配信記念で一時的に無償公開しました。

現在

『黒博物館』についての関わりは、この後は予定されていません。

個人としては『黒博物館 館報』執筆を通じてフロレンス・ナイチンゲール研究にハマり、クリミア戦争中心に研究することに取り組み、いろいろと文章を書いています。

そこに星海社から声がかかり、新書の出版準備にも取り組んでいます。

その途中経過として、出版では書くことができないディテールとして、冬コミで同人誌を作りました。

2025年となる今年前半に、商業出版を完了したいと思います。

藤田和日郎先生の作品を解説する本を作ることを通じて、人生が豊かになる機会をいただけたことを幸いに思います。

また、2025年の『ゴースト&レディ』名古屋公演にも、抽選に受かれば、観劇に行くつもりであり、「舞台の楽しさ」を教わった1年でした。



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久我真樹
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