🇺🇸雇用統計は堅調であり、金利の据え置きを後押し（25年1月分）

kuga：米国株・日本株などに関する情報提供

2025年2月8日 12:55

日本時間2月8日（金）22時30分に25年1月の米雇用統計が発表されました。米国雇用市場は鈍化しつつも堅調を維持しております。
米雇用市場を含め今後の利下げに関しても解説しますので、ご参考いただけましたら幸いです。

◆そもそも雇用統計とは・・・
労働市場の状況を示す重要な経済指標の一つで、政府や統計機関が発表するデータです。これにより、失業率や雇用者数、労働市場の参加状況などが分かり、経済全体の健康状態や成長の勢いを評価するのに役立ちます。

米国雇用市場は鈍化

非農業部門雇用者数は、14万3000人と市場予想の17万2000人よりも2万9000人ほど下回りましたが、ネガティブになるような結果ではなく依然として米雇用市場は堅調であることがわかりました。

・非農業部門雇用者数：14万3000人(結果)・17万2000人(予想)・30万7000人

前回の大きく上振れたこともあり、市場の期待感が強まった影響で市場予想は高まったものの14万3000人は月平均と同等程度で雇用市場は堅調です。

ヘルスケア分野：ヘルスケア分野の雇用は44,000人増加した。特に、病院（+14,000人）、看護・居住型介護施設（+13,000人）、在宅介護サービス（+11,000人）での雇用増加が顕著だった。2024年の医療費は月平均57,000ドルに達する見込みであり、ヘルスケア分野の需要が引き続き高いことを示している。
小売業：1月の小売業の雇用は34,000人増加した。商品小売業者（+31,000人）や家具・家庭用品小売業者（+5,000人）での雇用が増えた一方、電気・電化製品小売業では7,000人の雇用が失われた。2024年を通じて、小売業全体の雇用の純増減はほぼ横ばいの見通しとなっている。
社会扶助分野：1月に22,000人の雇用が増加した。特に個人および家族向けサービス（+20,000人）での雇用増加が顕著であり、コミュニティの食料・住宅支援、緊急救援活動（+4,000人）も増加した。2024年の月間平均増加数は20,000人となっており、安定した成長を続けている。
政府雇用：1月の政府雇用は32,000人増加し、2024年の月間平均（+38,000人）とほぼ同水準を維持した。公共部門の雇用は安定した増加傾向を示している。
鉱業・採石業・石油・ガス採掘業：鉱業・採石業・石油・ガス採掘業の雇用は1月に8,000人減少した。特に鉱業支援活動（-8,000人）での雇用減少が目立つ。2024年を通じて大きな変動はなかったものの、1月は雇用減少が集中する形となった。
その他の主要産業：建設業、製造業、卸売業、運輸・倉庫業、情報産業、金融活動、専門・ビジネスサービス、レジャー・ホスピタリティ、その他サービスの雇用は、1月にはほぼ変化が見られなかった。

失業率は好調

1月の失業率は4.0%と前回の4.1%からよくなり、鈍化傾向にあります。失業者数は680万人で月間で変化はほとんどありませんでした。

ただし、人種別失業率を見ると景気の影響を受けやすい黒人・アフリカ系は若干悪化しております。失業率は改善されていますが、来月以降も悪化するようであれば、トランプ氏の政策で移民取り締まりもあり、雇用情勢は悪化する可能性があります。

雇用の堅調が金利を据え置きに

雇用統計を踏まえて改めてアメリカの雇用市場が堅調であることがわかりました。雇用の増加は鈍化が見られましたが、失業率や新規失業保険申請件数も低下しており、米雇用は堅調であることが窺えます。非白人の雇用は弱くなってきてはおりますが、それがアメリカ全体の雇用が弱いの判断にはなりません。

堅調な雇用があるため、連邦準備制度理事会（FRB）は急いで利下げをする必要もなくなってきました。トランプ大統領が推進する関税により、インフレが再熱する恐れがあるなどアメリカ経済は不透明な部分があります。そのためFRBは急いで利下げをしないで、トランプ大統領の動きやそれに応じた経済の動きを見てから、政策金利に対しては行動を起こすようになるでしょう。

ミネアポリス連邦準備銀行のカシュカリ総裁は、インフレ率は2％の目標に向けて引き続き低下しているが、金利の引き下げは緩やかになると予想していると発言がありました。

カシュカリ総裁は、「関税、移民、税金の面でより多くの情報が得られるまで、我々はただここでじっと待つのに非常に良い状況にある」と発言しており、トランプ大統領の行動があるまで確実なことはわからなそうではありますが、「年末にはフェデラルファンド金利が若干低下すると予想している」との発言もありました。

トランプ政権の移民制限、関税、減税などどのように経済にインフレの影響を与えるか不確実性があります。雇用が堅調であることもあり、金利はしばらく据え置かれるようになるでしょう。

以上からもわかる通りしばらく金利は据え置かれるようになるでしょう。FOMCにてパウエル議長も利下げは急いていないと発言があり、FRBで利下げを急がないことを決めているようです。

米雇用情勢が大きく悪化しなければ、利下げには踏み込まない可能性が高いです。もちろん金利はトランプ大統領の政策によって変わってくるかと思います。

ここまで読んでいただきまして誠にありがとうございます。今後もアメリカの経済に関わるニュースを投稿していきます。皆様の生活の力になれれば嬉しいです。