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FOMC声明とパウエル議長の発表があり、利下げは一時停止に!

1月30日にFOMCが行われました。そこで今後の政策金利についての発表がされましたので解説していきます。


1.FOMC(連邦公開市場委員会)とは

FOMC(F連邦公開市場委員会)は、米国の金融政策を決定する機関であり、米連邦準備制度(FRB)が実施する金融政策の方向性を決定します。

1-1. FOMCの役割

FOMCの主な役割は、金融政策の決定を通じて、米国経済の安定と成長を促進することです。特に以下の点に注力します。

  • 物価の安定(インフレ率の管理)

  • 雇用の最大化(失業率の管理)

  • 金融市場の安定維持

これらの目標を達成するために、政策金利(フェデラル・ファンド金利)を決定し、公開市場操作(Open Market Operations)を実施します。

1-2. FOMCの主な金融政策手段

FOMCが用いる主な金融政策手段は以下の通りです。

●政策金利(フェデラル・ファンド金利)の調整
FOMCは、フェデラル・ファンド金利(FFレート)を引き上げたり引き下げたりして金融市場をコントロールします。
・金利を引き上げる(利上げ) → インフレ抑制、景気の過熱を防ぐ
・金利を引き下げる(利下げ) → 景気刺激、企業や個人の借入コストを低下させる

1-3. FOMCの市場への影響

FOMCの決定は、金融市場や世界経済に大きな影響を与えます。
●株式市場
利上げ → 株価下落(企業の借入コスト増加、景気減速懸念)
利下げ → 株価上昇(資金調達コスト低下、企業活動の活発化)
為替市場
利上げ → 米ドル高(高金利による資金流入)
利下げ → 米ドル安(低金利で投資資金が他国へ流れる)
債券市場
利上げ → 債券価格下落(利回り上昇)
利下げ → 債券価格上昇(利回り低下)

2.FOMCの要点

2-1. FOMCの決定

  • 0.25%の利下げを決定(市場予想通り)。

  • 3会合連続の利下げ、政策金利は4.25-4.50%に。

  • ハマック総裁(クリーブランド連銀新任総裁)のみ反対票(金利据え置きを主張)。

2-2. 経済見通し(SEP)

  • インフレ見通しを引き上げ、2025年の利下げ回数予想を4回→2回に修正(タカ派寄り)

2-3. パウエル議長の発言

  • 「物価目標2%達成には1〜2年かかる可能性」

  • 「労働市場は冷え込んでいない」

  • 「2025年に利上げをすることはない」

  • 「米国債売却(QT)は継続する」

  • → SEPのタカ派寄り修正に対してバランスを取る発言

3.FOMCとパウエル議長の会見

米連邦準備制度理事会(FRB)は水曜日に、市場予想どおりに0.25%の利下げを決定しました。この決定にはハマック総裁を除いたメンバーが0.25%の利下げに賛成しました。
ハマック総裁は、利据え置きを主張しておりました。

3-1.FOMCの声明

FOMCの声明では、経済活動が引き続き堅調なペースで拡大していることを示唆している。失業率は低水準で安定しており、労働市場の状況は引き続き堅調であり、インフレ率はやや高い水準にとどまっていると判断している。
FRBは、長期雇用の最大化と2%のインフレ率を目指しており、政策金利を一時的に停止するようです。

3-2.パウエル議長の会見

パウエル議長は会見で利下げを急ぐ必要はないと発言し、当面の間金利を現状の水中に据え置くことを明らかにしました。

堅調な労働市場により、急いで政策金利を下げる必要はないとパウエル議長は考えているようです。

パウエル議長は会見の冒頭で「インフレ率は依然としてやや高止まりしているものの、2%という長期的な目標にかなり近づいている」と発言している。
12月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は予想を下回り、6カ月ぶりの低下となりました。このデータではインフレは下がっているように見えるが、インフレ率は高めであることから利下げは一時停止しました

また、トランプ大統領の移民、関税、財政政策、規制など米経済にどのような政策が実施され、米経済にどのような影響があるかは不透明であるため様子見をしております。トランプ政権を判断できる段階ではないようです。

3-2.まとめ

インフレ率は下がってきていたが高止まりしてしまったこともあり、利下げは一時停止しました。
ですが、大きな理由は現在のインフレ率ではなく、トランプ新政権だと思われます。

トランプ大統領は利下げ要求を始めていますが、パウエル議長は「コメントしない」と発言がありました。

トランプ大統領の移民、関税、財政政策、規制など米経済にどのような政策が経済への影響が不透明であることから、見極めが必要としています。
今後はトランプ政権の政策により、FRBは行動を変えるようになりそうです。

4.経済への影響

FOMCとパウエル議長の会見を終えて、アメリカ経済がどのようになったか解説します。

4-1.米国債

・米2年国債利回り:-0.09%(前日比)・4.189(1/30:11時現在)
・米5年国債利回り:-0.32%(前日比)・4.318(1/30:11時現在)
・米10年国債利回り:-0.46%(前日比)・4.521(1/30:11時現在)

米10年国債利回り

インフレ抑制進展に関する文言を削除したことで一時的に米国債利回りが上昇時ましたが、パウエル議長はそのことを重要視していない姿勢を示したことにより、米国債利回りは下落しました。
アメリカ経済は底堅い経済・雇用と根強いインフレを示すデータになっています。また、トランプ新政権がどのようにするかでアメリカ経済は動きますので、米国債利回りは読みづらくなっています。

4-2.米国株

  • NYダウ :-0.31%(前日比)・44,713(終値)

  • NASDAQ:-0.51%(前日比)・19,632(終値)

  • S&P500 :-0.47%(前日比)・6,039(終値)

S&P500

29日の米国株式市場は、S&P500が-0.5%、ナスダック100指数が-0.2%、ダウ平均が-0.3%となり、主要3指数がそろって下落した。FOMC声明発表後、市場では米金融当局がインフレへの警戒を強めているとの懸念が広がり、一時はS&P500が1%近く下げる場面もあった。しかし、パウエルFRB議長の発言が警戒感を和らげたことで、相場は下げ幅を縮小した。

また、ハイテク大手は決算発表を控えて軟調な展開となった。引け後に決算を発表したマイクロソフトはクラウド収入が市場予想を下回り、時間外取引で一時5.5%下落。テスラとメタ・プラットフォームズも決算後に下落したが、その後持ち直した。

4-3.為替(ドル円)

FOMCの声明発表後からドル高に動いており、現在は154円台を推移しています。

為替(ドル円)

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