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12月利下げを占う、米11月雇用統計は...?

12月6日(金)に11月の米雇用統計が発表されました。雇用統計にはいくつかの指標が含まれています。

◆そもそも雇用統計とは・・・

労働市場の状況を示す重要な経済指標の一つで、政府や統計機関が発表するデータです。これにより、失業率や雇用者数、労働市場の参加状況などが分かり、経済全体の健康状態や成長の勢いを評価するのに役立ちます。

●非農業部門雇用者数変化

・非農業部門雇用者数変化:22.7万人増(結果)・20.0万人増(予想)・3.6(前回)

非農業部門雇用者数変化

非農業部門雇用者数変化は、予想の20万人を超えて22.7万人増えました。前回は、ストライキやハリケーンの影響が大きく受けて3.6万人増とかなりの落ち込みでした。

今回の結果は、ストライキやハリケーンの影響がなくなり、雇用が安定化していることがわかります。ただし、ホリデーシーズンにも関わらず小売業の雇用は2.8万減少しているようです。
非農業部門雇用者数変化は、ヘルスケア関係・レジャー関係・政府部門が主に増加が見られました。

●雇用者数は減少傾向…

11月の雇用者数は、先月と比べると35.5万に減少、前回36.8万人減少していることから、2ヶ月連続で減少することとなりました。
労働参加率を見ると、11月は62.5となっており10月が62.6、9月が62.7で減少傾向にあります。

この2つを見ると労働意欲が下がってきており、働いている人の数も減少している傾向になり始めているように思われます。ですが、一般的に家計が苦しくなれば、働かざる得ない場合は労働参加率は上がります。現状では労働市場はそこまで悪くはないので、現状では心配することはなさそうです。

●失業率

11月の失業率は、4.2%と前回の4.1%と比べると悪化しましたが、市場の予想通りの結果でした。

失業率

前年の失業率が3.7%で、今年に入ってから失業率は悪化してきています。11月の失業者は710万人、前年は630万人で明らかに失業者が増えてきている現状です。
米連邦準備制度理事会(FRB)は今年10-12月期の失業率を4.4%と予測していることから、想像以上に悪化しているわけではないと思われます。

◆失業率の人種別失業率・・・

  • 白人:3.8%(結果)・3.8%(前回)

  • アジア系:3.8%(結果)・3.9%(前回)

  • 黒人・アフリカ系:6.4%(結果)・5.7%(前回)

人種別に失業率を見ると白人は3.8%と横ばい、アジア系は0.1%良くなっておりました。ですが、黒人・アフリカ系が前回5.7%から6.4%とかなり悪い結果となっております。
どうしても黒人・アフリカ系の数値は振り幅が大きくなりがちです。今後さらに悪化していくようであれば注意が必要になってくるでしょう。

●FOMCの利下げ予測

今回の結果は、非農業部門雇用者数変化はハリケーンやストライキの影響がなくなり好調、失業率は悪化の傾向でした。雇用市場は緩やかな減速をしており、これは市場が予測しているものでした。
そのため、FOMCが12月の利下げを行うとの予想も高まってきております。

12月の0.25%利下げ予想が雇用統計前では70%程度でしたが、85%となりました。

●まとめ

短期金利の目安となる米2年国債利回りは、雇用統計発表前の4.15%から一時4.2%を超えましたが、その後4.08%まで低下しました。長期金利の目安となる米10年国債利回りも同様に、発表前の4.18%から一時4.22%まで上昇後、4.14%まで低下しました。

今回の雇用統計はサプライズはなく市場予想を推移しておりました。そのため12月の利下げも行われるようになるのではないかと思われます。来年1月以降の利下げは不透明さが、依然とあるので要注意が必要です。雇用市場は緩やかに弱くなっていますので、今後もしインフレが加速してしまえば、アメリカ経済は弱くなる可能性があります。


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