UNSNUFFが4年ぶりにライブをした回
2023年11月5日(日)、西荻窪FLATにてAoi Yumi企画「BLUE ENCODER vol.4.5」が開催されました。
unsnuffというのは僕がソロでやっている音楽プロジェクトですが、unsnuffがライブをするのは2019年の11月7日以来、ちょうど4年ぶりとなりました。
元々2023年5月にA To Fade InのEPリリースイベントにお呼ばれしていて、そこで4年(正確には3年半)ぶりのライブ出演を果たす予定でしたが、直前に身内の不幸があり、出演を見送ることになりました。
自分としても企画者のA To Fade Inとしても、必ずリベンジしようという気持ちがあり、A To Fade InのサポートベーシストでありMichiganizedとしてソロでも活動しているAoi Yumiさんの企画という形で、今回のイベントでの出演が実現しました。
unsnuffは元々、2019年のライブ、2020年の「アストマタス」というシングルのリリースをもって、もう活動を終了しようと考えていました。そのときのお気持ち文章は過去noteに綴っています。
そんな中、A To Fade Inはその事情を把握したうえで出演オファーをくれました。A To Fade Inの活動の歴史が詰まった作品リリースのイベントなので、同時期に活動を共にしたunsnuffにはぜひ出てほしいと熱いオファーをいただき、自分としてももしunsnuffが止まった時間を動かすとしたらこの機会しか無いだろうと思い、出演を決意しました。
その出演は流れてしまったものの、今回リベンジとして叶ってよかったと思います。
イベント自体もとても楽しくて、共演者とも親和性を感じられてよい出会いに恵まれた日でした。共演者の感想も書きたいところですが、長くなりすぎてしまうので今回は割愛させてください。あくまでこのnoteは、再び僕がunsnuffの音楽と向き合った感情の記録としたいです。カッコつけた言い方をしましたが要は気持ちよく自分語りがしたいのです。オタクは自分語りがだ~いすき。
まず、今回のライブでunsnuffは新曲を披露いたしました。
これはたまたま生まれたわけではなく、5月のライブへの出演を決めた時点で、新曲を作るということは心に決めていました。unsnuffの止まっていた時間を再び動かすにあたって、今回のライブは「当時の再現」ではなく「アップデート」されたものにしたい。というより、しなければ再びライブをやる意味が無いと思いました。
それは新曲に限ったことではなく、これまで演奏してきた楽曲においてもアレンジ面などで更に進化させました。メインで使用していたルーパーもLINE6 DL4からBOSS RC-500に変更しています。
RC500の導入によってループで作れるアイデアは無限に広がりましたが、対照的に音色は過剰にリバーブをかけたりせず引き算の方向に持っていくなども意識して細かいところでアレンジを突き詰めました。
しかし、新曲については簡単に作れたわけではありません。とてつもなく苦労しました。
実は、5月の出演の際に披露する予定だった新曲と、実際に11月に演奏した新曲は、全くの別物です。
歌詞のコンセプトは同じなので流用していますが、ループのアイデアもコード進行もメロディも何もかも違う曲になりました。
その理由は当然、5月時点で作った新曲の出来に満足できなかったからです。
新曲を作るにあたって、明確に「センスの劣化」を感じました。以前はギターを弾いていれば面白いアイディアが浮かんできて、自由な発想で楽曲デザインができていたように思いますが、今では何も降りてこない、いろんな曲を聴いて参考にしても上手く行かない、「以前のように作曲ができなくなった」という事実に打ちのめされていました。
これは言い訳にすぎませんが、5月に予定していたライブでは自分がA To Fade Inのフィジカルリリースやイベントフライヤーのアートワーク周りも担当していて、思ったより時間がありませんでした。今までの感覚ではもっと簡単に曲が作れると思っていたため、これが完全な誤算になりました。正直に言えば5月にやる予定だった曲は「なんとか新曲をやるために間に合わせたもの」と言ってもよかったかもしれません。
ライブ出演が流れて11月のリベンジが決定してから、再度この新曲をリビルドしようとしましたが、もちろんそれも簡単にはいきません。イチから全く別の曲を作ろうともしましたが、それも全然ダメ。「新曲をやらない」という選択肢すら、実を言えばライブが目前に迫ったギリギリまでありました。
しかし、新曲のリビルドと、イチから新たに作ろうとした新曲のボツ案などを少しずつブラッシュアップしたりアイディアを融合させたりするうちに、気づけば満足できる新曲が出来上がっていました。
今まではフッと一つのアイディアが降りてきて勢いで完成させていたので、苦労して一進一退しながら組み上げていく今回の作曲方法は初めての体験といえるかもしれません。
曲がある程度完成したのはライブ当日の一週間前で、アレンジが完全に固まるのはライブ前日までかかりました。
5月時点での曲名はサビの歌詞をそのまま取って『おぼえた魔法』としていましたが、大きく変わった曲調と、5月時点にはなかった歌詞の内容から、ライブ直前に曲名を『SAVE』に変更しています。
自分ではそんなつもりは無かったのですが、奇しくも新曲の歌詞が、unsnuffを再び動かすことについて歌っているように受け取ってくださった方が何人かいたのは面白かったです。実際のコンセプトは全く違うのですが、4年ぶりに演奏するということが少なからず歌詞に影響したことはあり得ると思います。
今回のライブは動画も撮影していただいていたのですが、新曲はまだクオリティ面に自信がなかったので(ミスる可能性も高かったので)、昔からやり慣れているmagicant in nightmareを撮っていただきました。「SAVE」はまたいつかどこかで披露できればと思います。
unsnuffのライブを終え、多くの方から「感動した」と感想をいただき、とても光栄に思います。
しかし自分自身はというと、「unsnuffはまだまだこんなもんじゃない」という気持ちでいっぱいです。作曲も練習もヒィヒィ言いながらギリギリ間に合わせておいて一体どこからその自信が出てくるのか、自分でも本当に不思議です。
しかし、自分にとってunsnuffとして鳴らせる理想の音楽には程遠く、そこに近づく余地はまだまだ残っている、と思えて仕方がありません。
今回久しぶりに作曲・演奏をして改めて思い出したのは、unsnuffは「発想の音楽」であるということです。
自分はギターも下手くそで音楽理論の知識も何も無い人間ですが、唯一ひとより優れている点は聴いている音楽の幅広さと、そこからくる発想力だと自負しています。
今回、作曲には相当苦労させられましたが、さまざまなアイデアを考え、練って、組み上げていき完成させたことに手応えを感じられました。この発想力からunsnuffが試せることはまだまだあり、進化できる余地が残っているという実感があります。
unsnuffの今後については、今回のライブを皮切りに完全復活!!!というわけではありません。
元々が「気が向いたらまたやります」というようなスタンスで、強い意志で活動休止していたわけでもないですし。そのスタンスは今後も変わらず、精力的に活動を再開するという予定は今のところありません。
しかし、unsnuffという自分の内面・承認欲求と向き合うことへの恐怖心は今回のライブで和らぎ、理想の音楽に対する野心のようなものも芽生えた今は、unsnuffの音楽に対して「気が向いている」状態といえるのかな、と思っています。
今回のライブにご来場くださった方や、陰ながら応援してくださった方、みなさんありがとうございました。
またunsnuffの音楽を皆さんに届けられる日が来たら、そのときまたお会いしましょう。