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【小説】或る妄想、闇に沈み眠れ(1)

この小説は、
リスペクト・オマージュ・パロディの塊であり
私小説ではなく完全なるフィクション
…のはずである。
本気にしてはいけないよ!

はじめに:作者より注意喚起

わたしには、大好きな小説家がいる。

1992年……多感な小学生のころ、たまに買って読んでいた雑誌に、とあるショートショート作品が連載されていた。わたしは、普段、小説など読まない子供だったのだが、その作品だけは不思議と読むことができた。とても幻想的で、でも時に恐ろしく、目を背けたいような内容もあったが、刺激的なその世界に、心惹かれた。いつの間にか、その作品を目当てに雑誌を買うようになっていた。

ここに具体的な名前を出すことは差しさわりがあるので、その小説家については、以下 K/W先生 と呼ぶことする。

わたしは、 K/W先生 の作品に出合ってから、いろんな小説を読むようになった。そして、もちろん K/W先生 先生 の作品も追い続けた。思春期だったから、作品にかなり影響されて、夜な夜な小説を書いてみたり、 K/W先生 はどんな人なんだろうと想像したりもした。中学生のころ同人誌に自作小説を発表したりしたこともある。それなりに好評だったが、その文体は完全に K/W先生 の影響を受けていた(オハズカシイ)。

やがてわたしは成人し、社会人となり、仕事に追われる身となった。

そうなるとどうだろう?あれだけ好きだった小説を読む時間が無くなった。自作を拵えるなどもちろんできるわけもない。小説を買う経済的余裕はうまれたのに、時間がなくて本屋にすらいけない。

もともとわたしは小説の読了ペースが遅い。年に3冊読めたら御の字…そんな状況になったが、 K/W先生 の作品は追い続けていた。

K/W先生 は長編を手掛けたり、書下ろしをするようになり、最近は新刊刊行ペースが緩やかなのだ。まるでわたしに合わせてくれているようなペースなので助かっている(わたしの行き過ぎた妄想なので突っ込みは無用!)。

しかし、とある日  K/W先生 が現在インターネット上で過去の作品も新作もたくさん公開して、いろいろ活躍しているらしいという噂を聴いた。わたしは根っからのアナログ人間なので、パソコンはあまり得意でない。パソコンに触れたり、インターネットを使用するのは会社に出勤している時だけだった。なので、この情報を得た時には完全に周回遅れ……

わたしは自宅にパソコンを導入しインターネット回線を引くことにした。インターネット上で  K/W先生 の動向を知ることができるなら安いものだ。

それからというもの、インターネットを通じて様々な情報を得た。すっかりわたしはデジタル人間となった。夜な夜な  K/W先生 のファンと交流をしたり、ファンサイト・チャットなんかにも出入りした。もちろん  K/W先生 の公式サイト・出演動画コンテンツなどはくまなくチェックしまくって……その結果、なななななんと  K/W先生 ご本人とネット上で遭遇するという出来事も発生。わたしは狂喜乱舞したのである。インターネット凄いな。

そして、時は流れて、SNS全盛時代。

インターネットにアクセスするデバイスの主流は、スマートフォンになった。

作品を生み出すため常に最新の情報・コンテンツを試す  K/W先生 も例外ではなくSNS『X』のアカウントを取得し、発信を始めた。

ただし、  K/W先生 は『創作の糧として最も得難く最も重要なものは孤独』というお考えである。なので、SNSに張り付きファンとつねにやり取りしたりはしていない(エゴサーチは夕方とか早朝とか変な時間に都度している様子だけど……)。たまにタイムラインに降りてきてファンとの交流を楽しんでいるご様子であった。

そして、わたしといえば……SNSってなんとなく怖い……という印象があって最初しり込みしていた。SNSとのかかわり方を考えあぐね、最終的にちょっと遅れてSNS『X』のアカウントを取得した。

『X』の素晴らしいところは、ブロックされていない限り、相手を指定してコンタクトをとれるところにある。リプライまたはDMで憧れの人に自分の気持ちを伝えることができるというのは、凄いことだ。でも若干軽々しいきらいもある。今を生きる若い人たちにとっては、手軽さは当たり前で、凄さすら感じないのだろうけれど。あと、顔が出て無かったり匿名なのをいいことにアンチリプライや空リプを飛ばしたりするいじわるな人もいるが、それは若い人ではなくいい年こいた人たちだったりする。かまってほしいのか?人って良くわからない。

わたし個人の思いとしては、【  K/W先生 に嫌われたくない、粗相のないようにしたい】ということに尽きる。ちょっと拗らせてるファンだという自覚がある。ともかく、これまでもできるだけ迷惑のかからないように応援してきたつもり。あまり直接的なやり取りはわたしのほうがつぶれてしまいそうなので避けてきた。

しかし…『X』の場合、フォローすればフォロー通知が相手に飛ぶし、無言でフォローするのもなんとなく失礼なような気がして、直で挨拶のリプライを飛ばしたいと思っていた。かなり勇気がいることだったが、思い切って  K/W先生 に挨拶リプライをとばしてみたところ、昔、数回やり取りしたことを覚えてくださっていて、しかもリフォローしていただいた!やった!

それからというもの、わたしは  K/W先生 にちょこちょこリプライを送り、たまに  K/W先生 からもお返事があったりして、一昔前では考えられないような友好な関係を築いていた。変なヤカラに絡まれたらどうしようと思っていたSNS、思ったよりも平穏で楽しい。

そんなある日……突然、Xの「おすすめ」フィードに2011年に発信された、不気味なツイートが表示された。

記憶は、あなたの存在を保証しません。

この気味悪いポストなんだろう?
何を言っているのか?

(つづく)


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