
【小説】或る妄想、闇に沈み眠れ(6)
この小説は、一部を除きフィクションである。
K/W先生 は、不思議な魅力をもつひとだ。
K/W先生 は自分自身の経験をいろんな情報を織り交ぜて語っていくことにより、いわゆる現実世界にいる K/W先生 とは異なる、キャラクターとしての K/W先生 を作り上げているんじゃないかと思うことがある。
小説家にとっての糧=孤独を維持するために、キャラクターとしての K/W先生 を作り上げ、そちらを『着ぐるみ』のように、消費者の、視聴者の、ファンのみんなに愛してもらう。そして本来、小説を書くために必要な核になる自分自身の姿については、ファンにはもちろん見せない、家族や友達はおろか、恋人にも見せない……自分以外の誰にも見せずに大切にしまってあるような、そんな雰囲気がある(ややファンの妄想が入っていてすまない)。
ストイックな作家。
素敵だ。
孤独を愛して、作品を書く。
わたしには真似できない。
そういうところが大好きだ。
しかし…
K/W先生 は、寂しくはないのか。
ふと、たまに、そんなことを思う。
(気持ち悪いファンだよね、まったく)
そんなことを思って、今日も違和感のある K/W先生 の『X』をぼんやり眺めていると、DM通知がきた。

見慣れぬアカウントからのメッセージリクエストだった。
この名前、このプロフィール……
わたしは胸がざわざわした。
(つづく)
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