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小説とかポエムっぽいもの

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創作小説・よみきりっぽいものまとめ。お時間あればどうぞ。
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2024年8月の記事一覧

侵蝕

太陽がぎらぎら暑い そんな日は あなたのことを考える あまり汗をかかなそうなあなたでも 流石に暑いのではないですか Tシャツを替えるあなたの 背筋の動きを妄想したりする 激しい雨が地面を叩き続ける そんな日は あなたのことを考える 突然の豪雨に出会ったあなたは 静かに困った顔をするでしょうね 濡れた前髪やまつ毛にしたたる 水の滴を妄想したりする つまるところ わたしは  あなたのことがあたまからはなれない 心配は、親愛に似ている 愛だの恋だの 形のないものを形にしたが

この夏ほしいもの

暑さで火照っているから 甘い香りのバニラアイスなんかを口に含みたい でも食べたらなくなってしまうよね 形に残るものが欲しいけれど 形に残るといつまでも含んでしまったりして 寂しくなるだけなのかもしれず だったらいっそ 形に残らないほうが幸せなのかも とも思う 気持ちが火照っているから 身体が溶け出しそうだから どうせなら 蕩けるほどのやさしさ  が欲しい ……なんて、言ったら ひとつ、いただけます?

あなたを知りたい

「漫画家……さん、なんですか?」 ぼくは、手元にあるプロフィールカードに目を落としながら言った。 「あまり有名ではないんですが」 目の前にいる女性・ユウコさんははにかみながら答える。 ◇  ◇  ◇ 今日は、いわゆる婚活パーティーってやつに参加している。 ぼくは10回目の参加。 結婚願望があり、もう適齢期はとっくに過ぎている。なかなか運命の人に出会えない。そろそろパーティへの参加を終わりにしたい…そう思っていたが、なかなかうまくはいかないもんだ。 ぼくは気になっ