感動を左右するセカンダリードミナントの使い方を実際の曲でみてみる
音楽を作るならば、やはり感動するようなグッとくる曲を作りたいですよね。
感動や興奮の要因は、リズムやメロディーにもあるとは思いますが、J-POPやアニソンの場合、その要因の多くはコードによるものでしょう。
理論書を開けば、ダイアトニックコードというものを最初に学ぶと思います。
Key=Cであれば、五線譜ドレミファソラシのそれぞれに、団子状に3つ音を重ねたものがそれです。
コードネームとしては、
CMaj7 Dm7 Em7 FMaj7 G7 Am7 Bm7♭5
Imaj7 IIm7 IIIm7 IVMaj7 V7 VIm7 VIIm7♭5
となります。
巷の多くの曲はこれをベースに作られてはいますが、これ以外のコードもたくさん出てきます。
その多くは他の調から借りてきたコードなわけですが、その調性外のコードから元の調のコードに戻ってくる際に、5度進行するものをセカンダリードミナントといいます。
セカンダリードミナントの詳細についてはこちらで記事にしました。
今日は具体的に、巷のアニソンでどのように使われているかみてみたいと思います。
ゆるキャン△2期OP「Seize The Day」
この曲では、イントロの7、8小節でFm(IIm)に解決するために、
IIIm-VIsus4-VI-IImという動きをします。
VIはダイアトニックであればVImとなるために、調性外のコードとなります。
この部分はFmキーに部分転調しているといえるでしょう。
ひげを剃る。そして女子高生を拾う。OP「おもいでしりとり」
この曲の調はG♭ですが、12小節目で調性外のB♭7が出てきますが、これもその後に続くE♭m解決するセカンダリードミナントです。
ここだけ、E♭m調に転調していることになります。
またサビでは、11小節目から、B♭m-B♭-E♭m-E♭-A♭mという動きも出てきます。
B♭-E♭m=E♭mに部分転調
E♭-A♭m=A♭mに部分転調
しているということになりますね。
ダイの大冒険OP「生きるをする」
次は少し応用ですが。
この曲のサビの15小節目から、D♭-Ddim-E♭mという進行をします。このdimはセカンダリードミナントの派生だと個人的に解釈しています。
D♭-B♭7-E♭mでも構わないということです。一音しか変わらないし。
そうするとここもE♭mキーに部分転調しているということになりますね。
東京リベンジャーズOP「Cry Baby」
今とっても人気のある髭男と東京リベンジャーズ。
このサビはKey=Dですが。(すぐにD♭に下がりますが)
2小節目のC#m7♭5-F#-Bmという進行の部分でBm調に部分転調しています。マイナーのツーファイブですね。
イジらないで、長瀞さんED「カラフルキャンバス」
この曲のKey=Aですが、イントロの2小節目からいきなり部分転調します。C#-F#mという動きですね。
Key=Aならば普通のダイアトニックでC#m-F#mという進行になりますが、ここをC#にすることでよりF#mに解決する力が強くなり、感動するんですよね。
ここだけF#mキーに部分転調しています。
またAメロの5小節目。
F#m-B-Dという進行をしますが、これもセカンダリードミナントの応用ですね。
最後はEmに解決せずにDに偽終始していますが、このBコードはEm調に転調していると言えるでしょう。
白い砂のアクアトープOP「たゆたえ、七色」
この曲のAメロの終わりが、D(VI)で終わっています。それに対しBメロの最初がGm(IIm)です。
つまりここおGmキーに部分転調しているということになります。
またサビで、3小節目からD-D#dim-Emという動きもありますが、
D#dimをB7と捉えるとEmキーに転調していることになりますね。
小林さんちのメイドラゴンOP「愛のシュプリーム」
サビ冒頭からB♭-A-Dm-Cm-F-B♭という進行をします。
IV-III-VIm-Vm-I-IVですね。
A-DmのところでDmキーに転調
Cm-F-B♭のところでB♭キーに転調
していますね。
かげきしょうじょOP「星のオーケストラ」
この曲のイントロ。ドラムが入ってくるタイミング。
B♭-E♭mという進行があり、やはりE♭mキーに転調していますね。