ありのままの自分なんて恥しかないじゃないか!
「人間失格」の最初はこの文章から始まる。
わたしの人生はこれとちょっと似ていて違う。
「恥の多い生涯を送っていますが、ひた隠しにしています。自分には、普通の生活というものが、見当がつかないのです。」
という風になると思う。
おおよそ、普通の人というのがわからない。見当がつかない。
今日も1時間待ち合わせの時間を間違えた。1時間早かったから相手には迷惑をかけていないのが救い。
仕事をすれば、必ず1か所ケアレスミスがある。そして心底反省するにもかかわらず、また、同じような失敗をする。そしてまたミスをし猛省する。
何もない道で転ぶ。階段を降りたら数段落ちる。
料理は焦がす。生焼けにする。
普通を擬態することの、なんと難しいことか!
ありのままの自分が世の中では素晴らしいと言われるが、ありのままの自分とは醜く不器用で、色々なことがままならなく、時として人に笑われる存在であり、ありのままを出せって正気ですか?としか思えない。
が、その恥の多い自分を認めた時。
もう恥の多い自分として生きていくしかないとあきらめた時。
少しだけ、自分の人生が以前よりも息を抜いても良いような気がした。
気を張っていても、気を張らなくても、どちらにしても恥ずかしい失敗をするならば、必要以上に気を張らなくてもいいのかもしれないと、ある時思えたような気がする。
ありのままの自分とは恥ずかしい存在である。
けど、そのまんまの自分を否定せず、一旦受け止めてみてもいいのかもしれない。
さ。待ち合わせに遅れる。今度こそ待ち合わせ場所に時間通りにいこう。