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教会もマーケティングに学ぶと良いかも

疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。

新約聖書 マタイによる福音書 11章28節 (新共同訳)

こんにちは、くどちんです。キリスト教学校で聖書科を担当している、牧師です。

私がお世話になった「はたぼう塾」で、非常に印象的だった学びについてご紹介します。

某コンビニのフローズンドリンクのポップ写真を先生から見せられまして。「美味しそうですね~。さてくどうちゃん、これ買いたいな~と思ったら、どこに行けばいいと思いますか?」

よく見たけれど、そのポップに売り場は書いていません。

「氷やアイスクリームが置いてある棚……?」「ぶー。残念、ハズレです」

答えは「レジで申し出る」でした。そんなん書いてないし分からんやん……。しかし不正解で落ち込むなかれ、これは「買って欲しいなら、買いやすいようにせよ」というありがたい教えなのであります。

「買って欲しい」と思ってポップを飾っているのに、買い方が分からない。「今回は分からなかったけど、次こそ探し当てて買うぞーっ!」と購買意欲を保ち続けてくれるお方がいれば良いですが、大抵の人は探しあぐねている間に「もういいか……」と去ってしまうことでしょう。もったいない。

そこで教わったのが「タケ〇トピアノ」の法則。 「みんなまあるく」のアレです。

「ピアノ売ってちょうだい」「電話してちょうだい」。CMを見た人に「どうして欲しいのか」がこれ以上無いくらい明確。むしろ「どうして欲しいのか」しか言ってない。「お客さんとのハッピーな関係にはこれを目指すべし」ということでありました。なるほど~。そんな風にあのCMを見たことなかった。

そこで牧師のくどちんは思いました。「キリスト教会も同じじゃないの?」

教会も宣教という使命からいえば、「伝えたいことをアピールする」に留まらず、「それを知った人にどうして欲しいのか」を明確に示した方が良いはずです。教会の場合なら、「ピアノ売ってちょうだい」ではなく「教会に来てみてちょうだい」ではないでしょうか。

聖書科の授業の一環で、生徒に教会の礼拝参加を促すことがあります。生徒さんたちの教会に対するイメージは、概ねすごく良いんです。多くの生徒が「教会の人はみんな親切、いい人」なんて言っています。理由は割と些細で、「聖書讃美歌を貸してくれた」とか「式次第が分からずまごまごしていたら教えてくれた」という程度なのですが、彼らの中に「キリスト教徒は優しい親切な人たち」というある種のバイアスもあるようです。これって教会にとってはめちゃくちゃありがたいことです。

それなのに多くの教会は「若い人があまり教会に来ない」と悩んでおられます。なぜでしょう。「部活や塾で忙しい」などの理由は一旦措いておいて、教会側に帰する理由としてはもっぱら「教会ってよく分からない」というものだと思います。

かつてある生徒が「教会って、行くまでは特に『謎100%』なんですよね~」と教えてくれました。「謎100%」。謎しかない。教会側の人にとっては当たり前過ぎて疑問の対象になるとも思えないことが、彼らにとっては「分からなさ」というハードルになっているんですね。

そこで「タ〇モトピアノ」ですよ。「〇〇してちょうだい」を明確に!

まず「教会に来てみてね」と言われても、どこにあるかが分からない。お寺や神社は、お祭りや初詣や法事なんかで行ったことがある。けれども、教会にはほとんど馴染みが無いんです。結婚式はたいてい式場やホテルで行われますしね。地元に詳しいタクシー運転手さんでも教会はご存じないことが多いです。「隣に保育園があります」なんて付け足すと「ああ、あそこですね」と分かっていただけたりします。「教会」は認識されていないんですね。そこで「教会に行きたいけど、どこにあるの?」と思った時、今時の調査手段といったら「スマホで検索」です。ネット検索でヒットしない教会は、多くの人にとって「無い」ことと同じ。ですから教会がネット上で「ここに来てちょうだい」と情報を用意することは大切です。スマホ対応だとなお良し。SNSでもいいかもしれませんね。

場所が分かったら次は「いついつに来てちょうだい」を示しましょう。生徒がよく口にするのは「礼拝の種類が分からない」という疑問です。「各種集会案内」として、祈祷会、入門講座、聖書研究会、教会学校……などと並べて「主日礼拝」と書かれていても、「どれに行けばいいんだ?」と思われてしまいます。でも「主日礼拝:毎週日曜日に捧げる、教会の最も基本となる集まりです。初めてお越しの方はまずこの礼拝にご参加ください」などと一言添えてあれば、「あ、これに行けばいいのか」と分かる。

あとは、時間について。生徒たちも忙しくて、「午後からはクラブの練習がある」「教会に行った後、13時からの塾の模試に間に合うかな」なんてケースは多いです。「10時半~12時」など、「これくらいの時間的余裕を持って来てちょうだい」と提示していれば、安心して訪問できます。関連して、最寄駅からの道順、所要時間なども書いておいて欲しいところ。近頃はみんな駅前の「周辺地図」より地図アプリに頼りますから、いっそグーグ〇マップのリンクを張っておくのも効果的ですね。所要時間まで検出されるし。

「なになにを持って来てちょうだい」の情報もぜひ。「聖書讃美歌は貸してもらえるのか」とか、よく尋ねられます。献金については、「え、お金要るん?!」と戸惑われることも多いです。自明のこととして献金を集めるのではなく、「礼拝の中で献金を集めますが、これは礼拝に参加できた恵みを感謝して神さまにささげるものです。額に決まりはありません。ご用意が無くても構いません」とあらかじめ告知されていれば、不安が無くなります。

そしてこれら全て、丁寧に細かく書く必要はありません。ぱっと見て分かるよう各1行程度に収めた方が良いと思います。長い文章よりも、初めての人には「分かりやすさ」が一番親切です。

「教会に行ってみたいな」と思われた方が、不安なく良い出会いを経験してくださるよう、願ってやみません。ぜひ日曜日の礼拝に行ってみてちょうだい~♪

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