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Swimming

気温が徐々に高くなり汗ばむ季節。無性に泳ぎたくなる年もあれば、そうは思わず過ぎ去ってしまう年もあり、今年は前者だった。

いくつかある市営のプールの中で、少し遠いけどお気に入りの場所がある。大人1時間250円のチケットを購入して泳ぐのは30分程度。今年は屋外プールは開放していないせいか、休日でも人が少ない。私は屋内の50mずつ区切られたコースを利用するから関係ないのだけど、人混みが苦手なので空いていると居心地が良い。

日中だと、大きな窓から陽の光が差し込み、そのまま光が水中へ落ちる。両手で水を掻く度に気泡が生まれて消えていく。最初は冷たく感じる水も徐々に身体が熱ってちょうどよく感じるようになり、休憩しようと水中から上がると、忘れていた重力を思い出す。

私を何故スイミングスクールへ通わせるようになったのか。その理由を母に尋ねると「私は泳げないことが理由で小学校や中学校では恥ずかしい思いをしたけど、自分の子供にはそういう思いをして欲しくないって思ったのと、ピアノだったらいざって時に教えてあげられるけど、泳げない私はあなたに泳ぎは教えてあげられないから。」とのことだった。

幸い、私は水に対して抵抗は無かったらしく、自然と泳げるようになっていった。ただ『指定された泳ぎ方で、何秒以内に、何m泳げたら合格』をクリアして階級が上がる度に、自由気ままに泳げる時間は減っていった。それが嫌で最後の1年程度はスクールに行ったり行かなかったりしていた。親の転勤が決まって通っていたスクールから離れると分かった時、スイミングスクールに通うのもそれっきりにすることを決めた。

たまに泳ぐ度に、嫌いになった訳ではなかったんだよなと思う。あのまま続けていたらどうなっていただろうか、というようなちょっとした好奇心はあれど後悔は無いし、寧ろ、あの時水泳と距離を置いたからこそたまに泳ぎたくなる衝動に駆られて、わざわざ市営のプールへ足を運んで泳ぐことが出来ているのかもしれない。もし進むところまで進んでいたら、極端な私は生涯触れたくないリストの一部にしていたかもしれない。

熱しやすくて冷めやすいことは自分が一番分かっているからあまり期待はしていないのだけど、もし泳ぐことが習慣化したらAppleWatchの購入を検討してみようかなと、なんとなく続けたくなりそうな条件を課してみたりしてみる。

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