Adult
数日前、秋の海へ行きたいと友人から連絡がきた。
職種の違いから私と友人の休日の曜日が合わない。だから普段なら、お互いに何か話したい気分になったら仕事が終わってから飲みに行こうという選択をする。
だけど、せっかくなら昼の海へ行きたいなぁと思った私は、突発的に「明日なんか予定ある?金銭的に余裕があるならランチがてら海行かない?」と友人へLINEを送った。数分後、友人から届いた返信を見てから職場の人に「明日、私用で有給休暇を取得します」という旨を伝え、次の日海へ行くことにした。
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平日の海は閑散としていて、強い陽射しに反して風は冷たかった。服装に困るねと言い合い、陽射しを遮ってくれる場所でそれぞれレモンスカッシュとピーチネクターを飲みながら、最近のことやこれからのこととか、他愛もない話を潮風で髪の毛がガサガサになるまで話した。ふと、来月で26歳を迎える友人が「昔は26歳って、もっと大人だと思ってた」と零した。
たしかに、歳を重ねれば勝手に『大人』になるもんだと私も思っていた。ただ、よくよく考えれば『大人』とはなんだろう。
きちんと仕事しているとか、生活ができているとか、自立出来ているとか、そういう経済面のことか。いや、多分友人の言う『大人』はそれだけじゃない。精神面か、思考力か、知識か、振る舞い方か。
わからないけど、一つだけわかるのは、私と友人は互いに互いをこの先一生『大人』だとは思わないだろうということ。
どんなに経済的に良くなろうが、どんなに精神的に強くなろうが、どんなに知識が豊富になろうが、どちらかがよほど不誠実なことをしない限りは続く『友人』というそれ以上でも以下でもない関係。
何を優先にするかなんてものは、生きていて変化していけば勝手に変わる。こうやって突発的に女2人で昼間に海を見に行くことも、あと数年もしたら出来なくなるかもしれない。
それでも、主語が抜けても会話が成立する緩さとか、お互いの欠点を知った上で付き合える心地よさだとか、そういうものは変わらないと思うし、変わらないでいて欲しいとも思う。
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