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【マチアプ体験談】恋が分からぬまま付き合うことになった話
マッチングアプリを始めてからすっかり月日も経ち、私はある程度小慣れた感じでアプリを使えるようになっていた。
「いいね」ももらえるようになりマッチングもしやすくなった、デートにも行けるようになった。
しかし、そこ止まりであった。
出会ってから恋に発展させることが出来なかった。
その壁をぶち壊さなければいけないが私にはその術がわからなかった。
私の気持ちは次第に萎えていった。
そんな低空飛行男子ではデートもうまくいくはずがない。
というか「どうせまたダメなんだろうな」と気持ちが出てきてしまい2回目のデートに誘う気力も失われていた。
いかん、このままではいかん。諦めるなよ!
心の中の松岡修造に熱いエールを送られ、私は再び立ち上がることを決めた。
次会う女性とは先に進めるようアプローチしよう!
そう決心し、私は1人の女性とマッチングした。
今回の女性は2個下の女性。
顔がしっかりと写ってる写真がなかったので顔はよく分からない。
自己紹介も目立った点はなかった。
「カフェ巡りが趣味です」みたいなアプリをやっていたら5億回は見るであろうテンプレ内容(失礼)
ただ一つ気になったのがマイタグ(旧コミュニティ)
※マイタグとは自分の好みやライフスタイル等を簡潔に相手に伝えられる機能。
それを見ると彼女は「ホラー好き」ということがわかった。
私もホラー好きだし、周りでホラーが好きという女性がいなかったのでそこがポイントに。
こうして彼女とマッチングしやりとりを始めることになった。
やりとりはアプリ内メッセージで行っていたが、ここは特に特筆すべきことはない。
メッセージはお互いの確認事項のようなもの。
お互いに興味を持っているか。
会話はちゃんと出来ているか。
その辺りが理解し合えたと思える頃に私は彼女をデートに誘った。
初回はディナーデート。
「お酒の力でパワープレイかましちゃうぞ」なんて策略は無く、ただ相手の都合に合わせたらこうなった。
紳士たるもの待ち合わせ場所には女性より早く来るべし。
そんなセリフを聞いたことがあるような無いような気がしてるような気がするので、今回も早めに待ち合わせ場所に。
しばらくすると女性が到着。
あれ?なんかめちゃくちゃ美人じゃない?
よくネットでは「顔写真が無い人は容姿に自信がない人」など書かれているが、私においてはむしろ顔写真ない方が美人率が高い。
「こんな初っ端から幸運要素を使ってしまうから後々うまくいかないんじゃないか?」とすっかり捻くれ者になった私は神に愚痴を吐く。
皆様もネットの情報を鵜呑みにせず、顔写真が無い人にアプローチするのも手かもしれない。
知りませんが(逃げ)。責任もとりませんが(逃げ)。
脱線しました。
思いもよらぬ美人の登場。
昔の私なら緊張のあまり、恐れ慄き、膝から崩れ落ち、失禁しながら号泣していたことであろう。
しかし、今や私はマッチングアプリが生み出した愛を知らぬ悲しきモンスター。
そういったドキドキや緊張には慣れてしまっていた。
お店に着いてからもスムーズに会話が出来た。
とりとめもない会話が多かったが、相手からも話を振ってくれることが多く、楽しい時間を過ごすことが出来た。
今回の私のノルマは次に繋げること。
相手の反応を見ても私に悪い気は持ってなさそうなのでLINE交換を試みる。
これは見事成功。
その流れで次回の誘いもしてみる。
それもまた成功。
ここ最近は1回目のデートで終わることばかりだったが、久々に一歩踏み出すことができた。
2回目のデートはカフェデート。
彼女が行ってみたいカフェ、私が行ってみたいカフェをそれぞれ回ろうというものだった。
このデートも特に問題なく過ごせた。
雰囲気的にも悪い気はしない。
イケイケモードの私はそこで3回目のデートを約束した。
さて、ここから3回目のデート。
というところで彼女に違和感を抱く。
彼女の私への返信がめちゃくちゃ時間が掛かるようになったのだ。
そして素っ気ない。
親とやりとりしてる反抗期の自分を思い出したわ。
まぁ日々のやりとりをあまりしない人もいるのでそれは良い…
ただデートの予定決めの連絡ぐらいなんとかならないのだろうか。
翌日デートなのにまだ予定が固まっていない。
彼女が案を出さないから私が予約したり提案したりしているのに。
私はアナタのマネージャーじゃ、無いんだぜ。
そんな感じで若干のイライラを感じてしまったがもうデートは目の前。
行くしかねぇ!私はそう気合を入れるのであった。
これまでの経験から3回目のデートは重要な意味を持つものだとわかった。
何かしなければと考えた結果、私はホラー映画を観ることに決めた。
吊り橋効果を使いホラーのドキドキを恋愛のドキドキに変えてやるのだ。
なんという発想。天才ならではの閃き。
私は自分の頭脳に恐怖した。
そして彼女が観たいと言っていたホラー映画が今上映している。
まさにうってつけの作戦であった。
ホラー映画鑑賞後、私の感想は「怖くねぇ…つまらねぇ…」であった。
なんというか上記の感想が全てであった。
しかし、今回の目的はホラー映画を楽しむことではない。
恋の作戦のための鑑賞なのだ。
さぁ、恐れ慄け、彼女よ!
ケロッとしてました。
そりゃそうよな。ホラー好きなんだから別にビビることはないよな。
彼女がホラー好きという根本的なことを失念していたため、この作戦は何の意味もなさなかった。
お茶目な自分が愛おしい。
気を取り直してディナーに。
映画の話とか仕事の話とかカジュアルからプライベートな話題まで色々話した。
若干気になったのが彼女から話を振ってくるのが少なかったこと。
私が場をもたせていた。
食事も済み、今日予定していたデートは終わった。
後は帰るだけだが近くに行ってみたい場所があったから彼女を誘って行ってみることに。
さぁ、着いた。
と思ったらめちゃくちゃ綺麗で雰囲気が良い。
夜景が煌びやかで人も少ない。
あれ?この場所でこの雰囲気…
私、告白すべき?
そんな考えが頭をよぎる。
正直、課題としていた恋のドキドキはまだ感じていない。
しかし、ここは分岐点なのでは?
ここでの選択が彼女との今後を左右するのでは?
そして歩きながら考えに考えた結果…
「僕と付き合ってくれませんか?」
私は彼女に告白した。
突然の予定変更。これはきっと好機。
面舵いっぱい。急旋回である。
何も考えてないからヌルッとシンプルな告白を果たす。
それに対して彼女は…
「私で良ければお願いします」
私の心の中は「!!!」である。
自分の衝動的な行動に対して衝撃的な答えが返ってきたので面食らっていた。
告白した側が返事がきて慌てるとは意味不明である。
とにかく、その日その時、私に彼女が出来た。
告白しておいて非常に失礼なことだが、私は彼女に好意はあっても、未だ明確な恋心を抱いていない。
しかし、アプリとはこういうものという意見も多い。
付き合ってからお互いの関係を深めていくという。
そう考えると私の行動は間違ってなかった。
私はここからだ。
もう目の前に桃色世界へと誘う門扉は開かれている。
そこへ向かって彼女と突き進むのだ。
嗚呼、私に残されているのは楽園と快楽だけなのだ。
その考えがなんと愚かだったのか。
私は後ほど思い知ることになる。
続く…