YouTubeに蔓延るインスタント知識で心の隙間を埋める
私は知識欲が旺盛な方だと思う。
一般的な感覚と比べればという話なので実際の知識量はさほどでもないことは自分でも認識している。
ただ私のような人間は母数を全体にすれば少ないだろうが多いほうだとも思う。
そんな私のような人間が3度の飯より好むものこそがインスタント知識なのである。
3分でわかる、猿でもわかる、小学生でもわかる、触出しの種類は様々だがこういった類のコンテンツは溢れている。
YouTubeをつければこの手の動画がリコメンドされついつい手を伸ばしてしまうわけだが、ここで勘違いしてはいけないと思うのである。
確かに面白いし、体の底から溢れ出る知的好奇心をなだめるには甚だ申し分ないことは間違いないのだが、それらコンテンツを消費したことにより、自分が知性あふれる人間になったかと言われればそうではないのだ。
驕り高ぶることなかれという話である。
無論私も昔は、こんなに高尚なコンテンツを貪り享受する楽しみを知っているとはどんなに蓋世不抜な人間かと思っていた時期もあった。
実のところそんなことはちっともないわけだ。
「優れた 四字熟語」とググってそれらしい四字熟語を見つけ、普段から自身の語彙に関しては枚挙に暇がないような顔をし堂々と蓋世不抜なんて書いている人間が、蓋世不抜な人間であるわけもない。
だからといってインスタント知識を否定したいわけではない。
紛れもなく私の孤独を埋めてくれる存在であるからだ。
それだけではない、インスタント知識は知的好奇心すべての入口といっても過言ではない。
はじめから高尚なアカデミックの世界に入ろうとしてしまえば、誰もが道を閉ざされる。
物事には順序というものがあるのだから、それに従って進む必要がある。
無闇矢鱈、がむしゃらに突き進めば何事もうまくいくなんてことはないし、成功したものはおしなべて努力をしていることの逆が偽であるのと同じだ。
インスタント知識の優れている点は、まさにこの入口という性質、興味を惹くという性質にほかならない。
そんなことは100人いれば87人程度は認識しているだろうから、ここで強く言う気もさらさらない。
だからこそ私は思う。
インスタント知識を消費するだけの日常に不安をいだいている諸君、浅く広くの自分の知識に不満をいだいている諸君よ。
浅く広くでもいいではないか。
広さにすべて振り切れば、この世の全てに興味を持てるのだから。
そんな幸せなこと、他にはないんです。
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