【EDH】メムナークの残滓、ウルテトのススメ【デッキ解説】
EDH+1/+1カウンター学会 (会員数1) へようこそ。前回『【EDH】歩く墓場、髑髏茨のススメ【デッキ解説】』では1体の統率者を強化し続けて勝つタイプのデッキを紹介した。今回は横並びしたクリーチャーを強化して盤面を滅茶苦茶にするタイプのデッキを紹介したい。
今回取り上げる統率者は《メムナークの残滓、ウルテト/Urtet, Remnant of Memnarch》である。ファイレクシア:完全なる統一に収録された伝説のマイアとなる。
なお、この解説はあくまでカジュアルなEDH向けのものであり、デッキは100枚厳選してガチガチに組んでいるわけではない。なのでデッキの基本方針と役に立つカードを大まかに解説することを目的とする。
統率者の紹介
メムナークの残滓、ウルテト/Urtet, Remnant of Memnarch
いろいろ書いてあるが、効果は大別して3つである。
①マイア・呪文を唱えると1/1のマイア・トークンが出る
この誘発でマイアが倍に。もちろん後述する効果で+1/+1カウンターも乗る。なお誘発忘れに注意(よくやる)。
②自ターンの戦闘開始時にマイアがアンタップする
戦闘開始時なので疑似警戒にはならないが、戦闘前メインフェイズでマナを出したマイアでも戦えるようになる。もちろん倍のマナを使ってもよい。
③5色マナ+タップでマイアに+1/+1カウンターを3つ置く
想像以上にべらぼうな速度で育っていく。さっさと勝負が決まる競技的なゲームはまだしも、カジュアルなゲームではターンがかさみやすいのでいつの間にかおかしな盤面になっていることも。カウンターはウルテト自身にも置かれ、6回起動すれば20/20になる計算である。
ウルテトの何が嬉しいのか
ウルテト最大の魅力は、マイア部族デッキ唯一無二の統率者であるという点だ。一応、マイア絡みの統率者には《テルカーの技師、ブルーディクラッド/Brudiclad, Telchor Engineer》もいるが、重い上に青赤の2色しかない。一方、ウルテトは無色のクリーチャーだが効果に5色のマナシンボルを含むため、固有色は5色である。
5色の統率者でありながら、自身は無色の3マナで戦場に出ることができるのも魅力である。マイアそのものがマナを出しやすい部族であることも相まって、多色土地が不足していても意外と5色揃えることは難しくない。
雑に横並びしてクリーチャーが大きくなっていくわちゃわちゃした楽しさは、1体を巨大にして手が付けられなくなる類の統率者とはまた違った魅力がある。ウルテト1体が除去されても、既に育ち切ったクリーチャーが残っていれば問題ないのも心強い。
ウルテトで気を付けるべきこと
ウルテトはアーティファクト・クリーチャーであることが最大の欠点である。雑におまけでついてくるアーティファクト破壊で死ぬし、《汚損破/Vandalblast》を超過で撃たれた日には自分の戦場だけ更地である。アーティファクト土地も含めて。
加えて、効果が意外とややこしい。マイア呪文を唱えたときに誘発、自ターンの戦闘開始前に誘発、タップ能力はインスタントタイミングで起動可能だが自ターンにしか使えないなど細かい注意点が多い。戦場にマイアが大量に並ぶので1枚だけアンタップし忘れるとマナを捻ったのか起こし忘れたのか区別がつかなくなる。プレイングは慎重に。
クリーチャーのサイズの管理も重要である。戦場に出たタイミングが異なれば、上に乗っているカウンターの数も異なる。後述する《光明の火砲/Lux Artillery》などがあると、そもそもいくつか+1/+1カウンターが乗って戦場に出てくるし、トークンの基本スタッツをダイスで管理していたりするとカウンターを管理しているダイスと混ざりかねない。マイア・トークンは基本的には1/1だが、《テルカーの技師、ブルーディクラッド/Brudiclad, Telchor Engineer》から出てくるトークンは違う。《内にいる獣/Beast Within》を撃たれることだってある。
とにもかくにも、広いテーブルでゆったりとしたプレイを心がけたい統率者だ。
デッキ解説
積極採用マイア
マイア部族デッキであり、マイアの数は限られているので手あたり次第採用したってかまわない。が、特に優先して採用したいマイアもいる
マナが出るマイア全部
《金のマイア/Gold Myr》など、タップでマナが出るマイアは全部入れたい。ウルテトの効果で戦闘前にアンタップされるので、単純に倍のマナを出せる。ウルテトの起動型能力のための色マナを補う機能も期待できるので全部入れよう。
《胆液爪のマイア/Ichorclaw Myr》
感染を持つマイア。ライフをすべて削るのはマイア軍団でも骨が折れるが、こいつはウルテトの効果を3回起動するだけで致死ダメージに達することができる。
《疫病のマイア/Plague Myr》
これはマナが出るうえに感染も持つ。絶対に入れよう。
《変わり身ののけ者/Changeling Outcast》
マイアである(強弁)。ブロックされないので、デカくなって一方的に攻撃できるのが嬉しい。
《雄牛のやっかいもの/Taurean Mauler》
マイアである(強弁)。対戦相手が呪文を唱えるたびに+1/+1カウンターが乗っていく。デカい。
《金属ミミック/Metallic Mimic》
どう考えてもマイアである(強弁)。ウルテトの能力でマイアがガンガン大きくなっていくので、全体を+1/+1修正するみたいなカードの価値は実は薄い。が、これに関しては+1/+1カウンターを乗せるので、ウルテト起動前でも後述するカウンターシナジーを有するサポートカードの恩恵を受けやすくなる利点がある。
同様のカードには《順応する自動機械/Adaptive Automaton》もある。こちらは+1/+1修正でウルテトの前には些細な強化でしかないが、マイア扱いできるアーティファクトクリーチャーなので変なマイアを入れるより強いと考えることもできる。
+1/+1カウンター持ちに回避能力を付ける
《牙守りの隊長/Tuskguard Captain》 など
前回も紹介したアブザンのカード。+1/+1カウンターが乗っているクリーチャーにトランプルを与える。同種のカードは前回の記事を参照。ただ、トランプルは回避能力としては微妙だし、5色デッキなので後述する他の回避能力付与カードを使いたい。
《アブザンの鷹匠/Abzan Falconer》
前出のカードと同様のアブザンのカード。こちらは飛行を与えるのでトランプルより嬉しい。
《秘滝の軍使/Herald of Secret Streams》
今回のオタクカード。なんと、+1/+1カウンターが乗ったクリーチャーはブロックされなくなる。完全回避である。出した途端全員の敵意がこちらに向くのでタイミングは考えること。私は最初から手札に持っていてずっと「笑うな……まだ笑うな……」と思いながらゲームをしたことがある。
アーティファクト・クリーチャーのサポート
今回は+1/+1カウンターシナジーとは別に、アーティファクトやアーティファクト・クリーチャーをサポートするカードも入れている。この手のカードは無限にありそうだが、入れすぎるとウルテトのコンセプトが薄まるので味付け程度に採用している。もっと詳しい人いそうだし。
《湖に潜む者、エムリー/Emry, Lurker of the Loch》
お馴染みのやつ。墓地からアーティファクトを唱えられるようになる。全除去後の立て直しに。
《機械細工の学者、ロシール/Losheel, Clockwork Scholar》
攻撃しているアーティファクト・クリーチャーが受けるダメージを軽減するため、雑に攻撃できるようになる。オンラインでEDHをやるときなどは盤面の整理に時間がかかるので、こういう雑さを許容してくれるカードは嬉しい。1ターンに1度だけだが、アーティファクト・クリーチャーが戦場に出ると1ドローできて後続も補充できる。
《祖神の使徒、テシャール/Teshar, Ancestor's Apostle》
歴史的な呪文を唱えるたびに墓地の3マナ以下のクリーチャーを手札に戻せる。つまり大半のマイアを呼び戻せる。
《古代の証人、アリボー/Alibou, Ancient Witness》
紹介しながら実は採用していない。なぜなら売ってるところが全然ないから。アーティファクト・クリーチャーが速攻を持ち、攻撃するたびにタップ状態のアーティファクトの数だけダメージを飛ばして占術もする。サブの火力にもなるし、こいつ自身を統率者にしても面白そうな予感。
《ミラディン包囲戦/Mirrodin Besieged》
モードを選んで置くエンチャント。大体はアーティファクトを唱えるたびにマイア・トークンが出てくるミラディン軍モードを選ぶことになるが、全除去で吹っ飛ばされた時には墓地に15枚以上アーティファクトがあると1人を敗北させられるファイレクシア軍モードにもチャンスがある。現在の私のウルテトデッキにはアーティファクトが45枚くらい入っているので、もっと徹底すれば……。
《有機体の絶滅/Organic Extinction》
アーティファクトではないクリーチャーを全除去。こちらは白。10マナと一見重いが即席を持っているので支払うのは容易だろう。
《彼らの名は死を意味する/Their Name Is Death》
紹介はしつつまだ買ってないので入れてないカード。アーティファクト以外のクリーチャー全除去。こちらは黒。なぜ買っていないかといえばこれがウォーハンマーのカードだから。6マナと一般的な全除去と遜色ないが、黒がトリプルシンボルなのがネック。
《碑の堕落/Monumental Corruption》
X枚ドローしてX点ライフを失う。Xは自分のコントロールしているアーティファクトの数。自分のリソースを回復するのがメインだが、ドローしてライフを失うプレイヤーは選べるので、場合によっては相手のライフを押し込める。
サブウェポンの勝筋
とはいえ、殴り勝つのは大変なときもある。そのため、コンバット以外の勝ち筋も用意しておきたい。
《完全なる統一/All Will Be One》
カウンターが乗るたびにその個数のダメージが飛ぶ。マイア2体いる状態でウルテトの能力を起動すれば3個が3体に乗るので、3点ダメージが3回飛ぶ。細かくクリーチャーを焼いてもいいし、全て対戦相手に叩きつけてもよい。マイアが14体いればウルテト1回起動で1人死ぬ計算だが、意外とそれぐらいはマイア・トークンが並んだりする。
《光明の火砲/Lux Artillery》
30個カウンターが乗っていれば、自分の終了ステップに各対戦相手に10点ダメージ。アーティファクト・クリーチャーが烈日を持つので純粋な強化にもなるが、ヘイトが向くので出すタイミングは考えなければならない。
《難問の細工箱/Vexing Puzzlebox》
《千年暦/The Millennium Calendar》
いずれも大量のカウンターを乗せるアーティファクト。前出のカードをサポートしてくれる。前者は1d20個の蓄積カウンターを出しながらマナを出す。後者はアンタップ・ステップにアンタップしたパーマネントの数だけ時間カウンターが乗り、2マナタップで数が倍になる。1000個あれば千年暦単独でも勝利できるので、一発逆転を狙うことも。
マナ基盤を整える
ウルテトの能力を起動するにはきっちり5色のマナが必要となる。高額な多色土地やフェッチランド、マナファクトをバンバン入れるには少々カジュアルすぎるデッキなので、安いカードでいい感じに誤魔化していきたい。
《世界樹/The World Tree》
《虹色の前兆/Prismatic Omen》
《彩色の灯籠/Chromatic Lantern》
いずれも土地から全色のマナが出るようになるカード。《世界樹/The World Tree》は土地なので《探検の地図/Expedition Map》から探せるが、6つ以上土地をコントロールしていないとダメ。《虹色の前兆/Prismatic Omen》はエンチャントで、土地がすべての基本土地タイプを持つように。《彩色の灯籠/Chromatic Lantern》はこれ自身がマナファクトなのでオススメ。
《野生造り、ジアン・ヤングー/Jiang Yanggu, Wildcrafter》
灯争大戦で登場したプレインズウォーカー。常在型能力で+1/+1カウンターを持つクリーチャーが好きな色を出せるマナクリと化す。ウルテトの能力でカウンターを乗せたマイアでビックアクションに繋げられるほか、自身の-1能力でカウンターを乗せることもできる。
《エルフの合唱/Elven Chorus》
全クリーチャーがマナクリと化し、デッキトップからクリーチャーを唱えることも出来るようになる。横並び戦略との噛み合いもいい。こちらは4マナで、マナクリ化の能力だけを持つ《謎の石の儀式/Cryptolith Rite》は2マナ。私は前者しか採用していないが、どっちがいいかは考え中。
《陰湿な根/Insidious Roots》
トークン限定だがクリーチャーがマナクリになる。2マナと軽いことと墓地からクリーチャーが離れるとトークンが追加されることがメリットであり、特にトークン追加は《湖に潜む者、エムリー/Emry, Lurker of the Loch》と組み合わせて使うこともできる。反面、黒緑2色が必要であることとトークン限定であることは明確にデメリット。トークンは大量に出そうだが、それがメインの戦術ではないのも事実なので安定はしないかも。採否は子のみが分かれるところか。
《魔力倉庫/Power Depot》
アーティファクト・土地。タップインではあるもののアーティファクト限定の5色土地。起動型能力の支払いにも充てられるのが嬉しい。ちゃんと限定のない無色マナも出る。
アーティファクト・土地はアーティファクトのカウントを増やすことができる一方、アーティファクト全破壊に巻き込まれてマナ基盤が終わるリスクもある。せっかくのアーティファクトデッキということで《囁きの大霊堂/Vault of Whispers》などアンタップインの土地は入れるが橋までは使わないという判断をしている。別になくてもいい気はする。