見出し画像

跳び出さない茹でガエルには脳がなかった!?『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』の面白みをひたすら語る

ども!りょーやです!

大衆について論じる時なんかによく茹でガエルの比喩が使われますよね。

そんな茹でガエルの例えが『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』で出てきて注釈の方まで読んだら、もっと痛烈な皮肉があってとんでもなく面白かったので紹介します。

はじめての試みですが、本当はもっと強烈に皮肉な茹でガエルの比喩の説明までを無料部分にしてそれ以降は有料にしてみようかと思います。有料部分では『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』の面白さを徹底的に語ろうと思います。

というわけで、実はもっと皮肉な茹でガエルの話をしていきます。

とその前にですね、やっぱりこの本をちらっと紹介させてくださいよ。

『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』は冒頭から面白い

もうね、読み出すと止まらない面白さなんですよこれが。

題名の通り、いかにアメリカがファンタジーランド(お花畑と言ってもいいのかな)なのかをいろいろな資料を織り交ぜながら説明してくれるんですが、超絶に面白いです。僕の中ではアメリカ版岡田斗司夫みたいなイメージ。

狂気じみたファンタジー国家アメリカはいかにして生まれたのか、いつからお花畑なのかをなんと500年も遡って分析していくぞというのが出だしでなのですが、まずここで爆笑してしまいました。

だって、アメリカには当然500年も歴史はないわけです。

人間でいうなら「あいつがどうも変な理由を理解するにはもっと昔、曽祖父母の代からルーツを辿らなくてはなりません」みたいなことなことを言っているわけです。

めちゃめちゃ面白い。

冒頭の方になりますが、著者のアンダーセンさんはアメリカの現在の有様を見てこんなことを考えたそうなんです。

やがて私は、アメリカのこの厄介な傾向が、数十年どころか、数世紀にわたって形成されてきたことに気づいた。あらゆるタイプの幻想を好むこの国民性を理解するには、もっと遠い昔、アメリカそのものの始まりまで時代をさかのぼる必要がある。                       『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』上より

そしてこうです。

アメリカの歴史は、知的自由という啓蒙主義的概念を初めて具体化する実験の歴史でもあった。誰にでも、好きなことを信じる自由がある。だが、その考え方が手に負えなくなるほど力を持ってしまった。わが国が奉じる超個人主義は最初から、壮大な夢、あるいは壮大な幻想と結びついていた。アメリカ人はみな、自分にふさわしいユートピアを建設するべく神に選ばれた人間であり、それぞれが想像力と意志とで自由に自分を作り変えられるという幻想である。つまり、啓蒙主義の刺激的な部分が、合理的で経験主義的な部分を打ち負かしてしまったのだ。

なんとなく、テレビでよく見るアメリカのおバカ映像を思い出してしまいました。この本自体が壮大なのがまた面白いですよね。

あとでもっと詳しくアメリカ人の愉快な幻想について紹介していきます。

さて。

これでようやく、茹でガエルの話ができます。

今から無料部分でお伝えしますが、第1章の注釈の話だけでこれだけ面白いんですから、ぜひ中身を読んでいただきたい。もしくはこのnoteの有料部分を見ていただきたい、そう思います笑

NO!脳!茹でガエルの話

知らない方のために、茹でガエルの比喩のおさらいです。

カエルが入っている冷たい水を火にかけ、水温を徐々に上げていくと、カエルは温度変化に気づかず逃げ出さないため、最後は熱湯でゆで上がって死んでしまう。という寓話から、ゆっくりと進む環境変化や危機に対応する難しさや大切さを説く言葉として使われるようになったのがこの言葉です。

実際、カエルは熱湯から逃げ出さないのでしょうか?

そんなわけはなくてですね、実際のカエルはちゃんと鍋の水が熱くなる前に飛んで逃げていきます。

それを押さえた上で、『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』の注釈を一緒に見てみましょう。

実際のカエルは、鍋の水が熱くなる前に跳び出す。しかし、カエルにまつわるこの決まり文句が生まれるきっかけになったとされる19世紀の実験では、カエルは茹だって死んでしまう。それもそのはずで、この実験では、カエルの苦しみを最小限にするため、カエルの脳を事前に摘出していたという。現代のアメリカ人も、合理的な思考ができないという点で、このカエルのようなものである。

注釈を読んでこんなに笑ったのは初めてかもしれません。アメリカ人は脳みそが小さいというジョークは聞いたことがあったのですが、さすがに脳を摘出されたカエルと喩えるのは皮肉がきつすぎて不謹慎で、面白くて仕方がありませんでした。僕が不謹慎ですよね、はい、すみません。

なぜ不謹慎なのに面白いのか?

さっきの茹でガエルの注釈がこの本の一発目の注釈なんです。すごくないですか?

本当に皮肉がきつくて、でも最高に教養高くて、高度に面白いんです。ぜひ買って読んでみてください。

しかし、どうしてこんなに面白いのでしょうか?

やはり他国民ごとだからというのが大きいかと思います。悲しいことに、他国についての痛烈な皮肉は面白く感じやすいもの。

とはいえ、日本についてこんなに強烈に書かれたらさすがにムカっとするかもなあと思うので上手くバランスをとりつつあくまで娯楽として面白がって読むつもりでした。

ところがですね、この本実はアメリカで話題のベストセラーになっているそうなんです。マジかよ!

こうなってくると、もうそんなバランスなんて意識せずに思う存分楽しもうと思えちゃいます。面白がりのリミッターにブレーキがなくなる!


そんなわけで今回は文字数を気にせず、『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史・上』について僕の面白がりポイントを書き連ねようと思います。


それでは有料パートに切り替えます。無料部分の方はここまで読んでいただきありがとうございました!



ここから先は

15,753字

¥ 500

サポートいただいたお金は、僕自身を作家に育てるため(書籍の購入・新しいことを体験する事など)に使わせていただきます。より良い作品を生み出すことでお返しして参ります。