ふとんがふっとばされた
毎日がなにかしらの「◯◯の日」に制定されている。
こういう「◯◯の日」の中には由来にかなり無理のあるものも多くて、見た瞬間に「あ、これは覚えられないな」というものもあれば「無理がありすぎて逆に覚えてしまいそうだな」なんてものもある。
さて、これを書いている今日は10月10日である。
「目の愛護デー」。
10を横に倒すと眉毛と目のように見えて、それが二つ並んでいるからだそうだ。これはなかなかわかりやすい。
「銭湯の日」。
1010で「せんとう」。なるほど、こういう読ませ方もあるのか。いつかの10月10日に「そういえばせんとうの日だったなあ」と思い出して戦闘を始める人が現れないことを祈るばかりである。
「お片付けの日」。
10(と)10(と)のうから。ううん、これはどうだろう。別に10(と)10(と)のわない場合もいけてしまうではないか。大事なところが可変なのは少し弱い気がする。それにそろそろ「サウナの日」に取って代わられることを心配してしまう。
「転倒予防の日」。
10(テン)10(とう)だから。語呂合わせはわかりやすいものの、これはむしろ「転倒の日」っぽくないか。予防するならばこの日を除く全ての日を制定したほうがおもしろい(おもしろさではない)。
「ふとんの日」。
ふたつの10(とん)だから。いやいや、これは絶対に2月10日であるべきだろう。……と思ったらなんと2月10日も「ふとんの日」なんだそうだ。そんなのありなのか。クリスマスですら一年に一回なのに、二回もふとんに思いを馳せる日が必要なのか僕たちには。
さて、その理屈が通るならば「豆腐の日」はどうなのだ。これまでの傾向として10月2日はまず堅い。あとは10がふたつで10月10日も「豆腐の日」に制定されていなければおかしい。別に豆腐の肩(というか角?)を持つわけではないが、なぜかふとんには負けてほしくはない。ふとんと豆腐、四角くて柔らかい同士の世紀の一戦である。調べてみる。
……「豆腐の日」は毎月12日なんだそうだ。あと10月2日。
一年に13回もやってくる。予想だにしない圧勝である。先ほどまで応援していた僕も引いてしまうほどの見境ないダーティプレー。白くてか弱いその姿からは想像もできない、勝ちにこだわる図太さがそこにはあった。もう「豆腐の角に頭ぶつけて死ね」なんて冗談で笑うことはできないかもしれない。ヤツらならやりかねないのだから。
話が1010(てんてん)として、1010(とうとう)豆腐の暴力性にまで辿り着いてしまった。ここは豆腐対策を1010(じゅうてん)的に行って、1010(じゅうじゅう)注意していきたい。