音信不通という別れを下してきた彼氏に、制裁を下した話 後編
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制裁
S司の家に到着し、車があることが確認できた。
部屋に行きM春がインターホンを鳴らす。
のぞき穴は指で塞ぎ私たち側を見えないようにした。
ドアを開けたS司。
M春はすかさずドアを足で抑えた。
M春「お前かS司って。なにしたか分かってんだろうなぁ」
S司は私の顔を冷めた目で見てすぐに目をそらした。
S司「は?なにかした?」
M春「くちくに謝罪しろや」
S司「なにもしてねーし、謝ることなんてねーよ」
M春「おい、くちく。こいつにいいように扱われて、騙されたんだよな?」
私「うん、騙された」
M春「じゃあ体裁は整ったな」
その瞬間M春とS太は部屋に乗り込み、M春がS司に殴りかかった。
部屋にはS司の男友達が1人いて
「なんだよお前らぁ!」
と言って参戦してきた。
S太が友達の方に殴りかかる。
S司と友達は反撃していたけど、2人の強さには及ばず一撃も喰らわせられていない。
M春とS太は地元で屈指の喧嘩の強さを誇っていたのだ。
私は2人が暴れているのを傍観するしかなかった。
むしろやることなかった。
S司が一方的にやられて、必死に抵抗している姿を見ていると…
〝この男に遊ばれて、悲しんでいた自分が恥ずかしい〟
と、瞬間急速冷凍のように秒で冷めていった。
むしろ、M春とS太の手を煩わす価値もなかったなと思った。
H美はS司たちの靴を外に投げ捨てていた。
H美のやっていることは可愛く見えた。
S太がキッチンにあったフライパンを手にとって殴ろうとしていて、
「それ死ぬって」
と言って冷静に止めた。
「そうか?大丈夫だと思うけど、まぁくちくが言うならやめとくか」
と笑いながらフライパンを置いてくれた。
S太のサイコパス感にゾッとした。
S司と友達が立てなくなり、M春が私を呼んだ。
M春「最後はくちくが締めろ」
私は倒れ込んでいるS司を見下ろした。
同情も悲しみもなにも感じない、〝無〟だった。
パァァン!
S司の頬をグーパンで思いっきり殴って、制裁は終わった。
部屋を出たら、隣の部屋の中年ヤクザがドアを開けて顔を覗かせていた。
「なにがあったんだ?」とニヤニヤしながら聞いてきた。
大体の察しはついているだろうに、わざとらしい。
M春とS太が
「なんでもないっすよ〜」と言うと、
「そうか、若いっていいな、元気やな」
と言ってドアを閉めた。
喧嘩があっても警察に通報しない…
というか、警察に通報される側の人が集まっているマンションなのは幸いだった。
後日談
S司から「警察に行って訴える」とメールがきた。
「うざっ」
でもマジで警察行かれたら面倒だな。
S司からの連絡をM春に言ったら、
「とりあえず話してみるか」
となった。
ジョイフルで話すことになり、私とM春、S司と一緒にボコられた友達と4人で会った。
S司は、
「暴行罪ですからね」
「診断書があるから訴えられるんで」
「慰謝料で示談を考えてもいいですけどね」
と、なぜか敬語で話をしてきた。
被害者ヅラするためか、タメ口を使うのが怖かったのか。
まぁ、1番の目的は慰謝料なんだろう。
私とM春はボイスレコーダーがあると思い、とにかくシラを切ることにした。
こっちの返答は、
「ふーん」
「そうなんだ」
「こっちはなにも犯罪犯してないけど」
「慰謝料も払う必要ないよね」
と、何食わぬ顔で返答していた。
噛み合わない話を続けること1時間経過。
私から
「用事あるからもう行くわ」
と切り出して店を出た。
その後、S司が訴えることはなかった。
もし訴えられたら、私のせいで友達に迷惑かかることが何よりも嫌だった。
訴えられなくてホッとしている自分がいた。
最後に
後にも先にも、遊ばれた男に制裁を下したのはこの一度だけ。
もう二度としようとも思わない。
S司は私を好きで付き合ったのではなく、セックスしたかっただけ。
私も後から冷静に考えると、
寂しかったし、セックスしたかっただけだった。
心の隙間を埋めたくて性欲を満たしたかっただけ。
なのに、好きだと勘違いしていたんだ。
私みたいに、気づかないまま関係を続けて、心が病んでしまう女が多いよな。
遊ばれてただけの男にフラれて、長く未練を引きずってしまうこともある。
どちらにしろ傷ついてしまうのは間違いない。
でも、長々と未練を引きずるのは時間がもったいなさ過ぎる。
クソ男に未練があるせいで、自分が楽しめる時間や充実する時間を削っているのだから。
S司のことは友達と制裁を下したことによって、ズルズル未練を引きずらなくて済んだ。
こうやって、目を覚ましてくれる存在は貴重だと思うんだ。
制裁を下したり復讐したりしなくてもいい。
自分の心情を理解してくれて、
冷静にハッキリと、
現状を分析してくれる人がいれば目が覚めるんだよ。
完全に終わっている関係なのに、中途半端に期待を持たせることを言われると、ツラい時間が長くなるだけ。
最後に2
早く吹っ切るときに必要なものがある。
適切な怒り
なのだ。
絶望の悲しみにいても、怒りが湧き上がると吹っ切れるの。
それは、冷静に現状を分析していくと気づくことが多い。
「なんで雑に扱われてたのに私が悪くなってるんだろ」
「なんで傷つくことばかり言われてたのに我慢してたんだろ」
「なんで自分を好きじゃない男にしがみついてたんだろ」
相手だけじゃなく自分にも怒りが湧いてくることもある。
腹が立って仕方なくなることもある。
そうしたら、落ち込むことがなくなっているんだよ。
「あーバカらしい、もう自分の好きなことだけしよ」
こうなれるのが、適切な怒りなの。
私は数多くの男と恋愛してきた。
フラれることもたくさん経験したわ。
その中で早く吹っ切れたときは、適切な怒りを持てたときなんだ。
ちなみに心理学的にも、冷静に分析して相手の嫌だったところを見るのは、有効だと言われてる。
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