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東京のつらい場所 Part4 有楽町~東京駅

もりたが恋愛絡み・男絡みで手痛い思いをした場所を実際に巡りながら、つらい思い出を振り返っていく企画「東京のつらい場所」。今回は有楽町駅から出発。デートスポットだった無印良品を経由して、 “飯田橋の彼”にデートで3時間遅刻された事件が勃発した東京駅へ向かいます。
(2018年1月8日収録)

宝くじ売り場で待ち合わせ

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Ryota(以下R):さぁ、JRの有楽町駅前ですよ。有楽町には“飯田橋の彼”とよく来たの?

もりた(以下M):そう、飯田橋の彼。この前、クソつまんない男とも待ち合わせしたけど。

R:ははは(笑)。

M:よく待ち合わせ場所にしてたのは、そこの宝くじ売り場。向こうが遅刻してくるときは、暇つぶしにスクラッチくじを1枚だけ買ったりしてた。

R:彼が遅刻したらスクラッチ…、もりたが遅刻して、彼を待たせることはないの?

M:あんまりないね。

R:ちゃんともりたは来るんだ。

M:その時はちゃんと相手のこと好きだったから、遅刻したことはほとんどなかったの…。有楽町には、特に何か用事があるから来るってわけじゃなかったけど、無印良品にはよく行ってたね。彼は無印良品大好き人間で、自宅がもう無印良品の部屋みたいな感じ。

R:無印良品のモデルルーム的な。

M:そうそう。だから、宝くじ売り場で待ち合わせて、そのまま無印良品に行って、っていうお散歩をよくしていた気がします。それももう5年以上前…? キツイな、5年前か。5年前の恋愛を引きずってるってちょっとさぁ、痛くない?

R:うん、痛いっすよ。その痛さを見せる企画だから。

M:まぁね…(笑)。

もりた、無印良品で吠える

M:はい、来ましたよ、思い出の無印良品。

R:無印には結構な頻度で来てたの?

M:ここだけじゃなくて、デート中に割と色々なところの無印良品に行ってた。お互い目的もなく商品を見るのが好きだったから、フラっと来ることが多かったね。昔はここの1階がLOFTだったわけですよ。で、最初のペアリングはそこで買ったなぁ。THE KISSっていう、LOFTには大体入ってるジュエリーブランドのやつ。「指輪買っちゃう?」ってノリでさらっと買ったよ。

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R:おっ、この辺りはモデルルームっぽくなってるね。

M:彼の部屋はここまで広くなかったけど、これっぽい感じだった。

R:これの縮小版みたいな。

M:そう、こういう感じの…あ、多分ヤツが使ってたベッド、これだ! このベッドで2人で寝てたわけですよ。あー、絶対そうだ! あいつ寝具これだったもん。

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R:このベッドの上に、こっちの黒白ストライプのシーツの布団がかかってたんだ。

M:そう。で、掛布団のシーツはあっちの青いやつ。枕カバーはこだわりがあって白って決めてる人だったの。

R:あえて柄を揃えないっていう、彼のこだわりなのね。

M:うわー、思い出したらぞわぞわしてきたー! アイボリーと茶色の感じの部屋なんですよ。ちょっと木を使った感じの上質な暮らしをしてたんですよ、ヤツは。うわっ、この辺のタオルもあったし、収納ケースもこういうのがあって、ここに自分の服が入ってて、私の寝巻きが奥の方にこっそり入ってるっていう感じで暮らしてたんですよ…。うぉ~っ。

R:吠えてる(笑)。

M:だってあの黒い収納ケースもあいつの家にあったもん。あれにCDとかめっちゃ入ってたんだよ! ミスチル!

R:ミスチル入ってたんだ(笑)。

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M:で、ごみ箱もあの木のやつでしょ…。うわー、ここ、あいつの家じゃん…。

R:ははは(笑)、あいつんちだ!

M:本とかもああいう感じで収納してたんだよ…。

R:商品見るだけでそんな風になっちゃうなら、今後、無印良品来れなくない?

M:いや、来るよ。私も無印好きだもん。

R:でも思い出しちゃうでしょ?

M:いや、思い出しはするけど…。うわ、これもそうだよ、こういう感じだったよ、あいつの部屋…。

R:あの頃の飯田橋の部屋が脳内に再現され始めている…!

M:こういう机にMacProが置いてあるんですよー。

R:そういうヤツはMac使ってるんだろうな。

M:よし、じゃあ次はヤツの服装を見に行くか。似ている服装のマネキン見つけたいなー。あいつは、「絶対ダウンは着ない」って言ってて、タートルネックも嫌いな男だったから、強いて言うならあっちのマネキンに近いかな。

R:これ?

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M:そう。そういう感じに近いかな、普段着ていた感じは。シャツで言うとね…。白ワイシャツが一番多い。あっ、この辺! この辺ばっかり着てた!

R:特に白?

M:白と紺! あと、紺地に白い水玉のやつ! そう、そういうヤツだったんだよ!!!

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R:無印良品でこんなに怒ってるトーンの人いないよ(笑)。

M:腹立つけど私も無印好きだから、まぁまぁ同じもの使ってるんだよな。ふつふつと怒りが湧いてきたよ。「私も無印良品使うけど、お前のとは違うから!」みたいな。

R:「お前の無印良品好きと、私の無印良品好きを一緒にするんじゃねぇ!」ってことか(笑)。

M:あー、あのディフューザーもあいつの家にあった! 私も正直欲しいと思ってる!

R:あいつの家にあってムカつくから、欲しくても買わないんだ。

M:そう、「ムカつくし、そんなに家にも居ないんだから要らない!」って。でもいいよなぁ…。

R:欲しくなっちゃった?

M:欲しいなぁ。「夜中にこれで上質な眠りが取れるんだったらアリなんじゃないの?」って思っちゃう。

R:でも、あいつを思い出しちゃうから嫌なんでしょ?

M:そう、「でも、あいつの家にあった…許さない!」って。やべぇな、こんなに無印で怒ることってあるんだという感じだよ(笑)。

R:でも、別れてからも無印良品には来てるんでしょ?

M:いや、来るよ。なんだったら一昨日くらいも行ったよ。

R:でも普段はそんなに怒んないでしょ。

M:たまに思い出してイラッとなることはあるかな。

R:不意打ちで「あ、これ、あいつのところに…!」って?

M:そう、不意打ち。思い返すとあいつ、無印の上質な暮らしをしてたんだな。

R:本当に無印で揃えてたんだね。

M:ディスペンサーも多分そうだった気がする。ちなみにうちのディスペンサーも無印だから。被ってるけど。

R:「ムカつく」より「欲しい」が勝ったときだけ買うわけだ。

M:そう。なぜかというと無印のデザインが優れているから。あいつはよくわかってたんだなぁ。やっぱり、おしゃれだよ。正直、私もああいう家に住みたいと思ってたもん。悔しいから絶対に無印みたいな家にはしないと思ってるけど。で、結果ヴィレバンみたいな部屋になってる。

R:何なの、ヴィレバンみたいな部屋って。物がめっちゃあるの?

M:量もあるし、結局「好きなものを好きなだけ」ってコンセプトでやってるから、セーラームーンの変身ステッキみたいなのが並んでるところがあって、その横の棚を見ると綾野剛の本がバーッと並んでるところがあって、違うところを見るとコスメがいっぱい並んでるところがあって、本棚を見るとすごい真面目な仕事関係の本が並んでるコーナーもあれば、漫画とかが置いてあるところもあるし、大学の時の研究書が置いてあるところもあるし、さらに見るとサタミシュウの「私の奴隷になりなさい」シリーズが大量に置いてあるところもあるし。すごいカオスだよね。

R:それに比べると相手の部屋は整っているというか、まとまってたんだ。

M:まとまってたね、あれは。見えるところには寺山修司と糸井重里だけが置いてある、って感じ。その並びにそぐわないものはちゃんとカラーボックスに入れて、見えないところに収納してある。

R:見せるものと見せないもののコンセプトが自分の中できっちりしてるんだ。

M:そう、しっかり分けてきれいに整頓してある感じ。で、無印の茶色いタオルを使ってる。

R:細かいな(笑)。やっぱり覚えてるもんだなぁ。

M:覚えてるよ、だって好きだったんだもん。最近開き直ってるね(笑)。

R:「あの頃は好きだった!」って。

M:そう、「好き!」って。

R:「それは認めるから!」って。

M:そう、認める!

R:でもムカつく?

M:ムカつく! ほんとムカつく! 何が愛する人じゃ!(笑)

R:面白いなぁ(笑)。

5年前の破局を噛み締める

R:さぁ、無印良品を出て、東京駅方面に向かいますよ。

M:東京駅ねぇ。彼は飯田橋で、当時は私もJRを使ってたから、東京駅で待ち合わせすることも多かったんですよ。で、指輪を買ってもらったときに、東京駅ではめてですね、手を重ねて写真を撮ったりしてたわけですよ。

R:それ、東京駅でやったの?

M:東京駅でもやってる。指輪買って、はめてもらって、買った記念にパシャっと撮るみたいな感じかな。あ~。

R:「あ~」ってそれ、何が出てるの(笑)?

M:いや、そんなこともしていたのに、人はいつか別れるものでありましてね。

R:なるほど「別れたなぁ~」ってなってるんだ、今。

M:別れたなぁ~。あれだけいちゃいちゃしてたのに別れたなぁ~。

R:噛み締めてるんだね。

M:別れた、しかも若かった…。

R:5年前だもんね。

M:帰り際に「また当分会えないね」「そうだね」って言いながら、今考えたら超迷惑だったと思うけど、電車に乗ろうとした寸前で引き留められて、軽くキスして「じゃあね」って別れるとかやってたなぁ~。

R:それが今ではもう…。

M:今なら、そんなカップル見るたびに舌打ちだよね。

R:ははは(笑)。あのまま夢を見れたらよかったのにね。

M:もしも関係が続いてたら、19歳からだから、6年くらい付き合っている計算になるわけでしょ。そうなったら今頃、あの人ともう結婚してると思うもん。

R:あの頃のもりたに教えてあげたいね。

M:教えてあげたい! 「お前それ夢見てるからな!」って。

R:「そいつと別れた上に、そのつらい思い出の場所を回る企画やるぞお前!」って(笑)。

M:「しかも、そのあともお前、まぁまぁ痛い目見るからな! 今だけだから楽しみな!」って(笑)。

R:基本的に満身創痍だからな、もりた。

M:「お前の愛のある感じ、最終的に毒になって返ってくるから!」って言ってやりたいね。

R:でも若き日のもりたは彼氏を待ってるわけですな、東京駅で。

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3時間待ちぼうけまでの布石

M:例の東京駅で待ちぼうけ事案は、20歳のクリスマス直前くらいかな。

R:待ちぼうけ事件が起きてから、別れるまでの期間はどれくらい?

M:4か月後くらいに別れてます。

R:じゃあ、待ちぼうけの時点で、別れる予兆がちょっと出始めてたのかな?

M:まず、待ちぼうけ事件の前に、色々あったんだよ。彼は結構な飲みサーに入ってて、「お酒嫌い」とか言ってる割に、幹事長だからっていうのもあって、よく飲み会してたの。それである日の深夜に、ベロベロに酔っぱらった彼から電話がかかってきて、「ちょっと今日、サークルで色々あって少人数で飲んでたんだけど、女の子が一人、飲みすぎて泣いちゃって泥酔してどうしようもなくて…」って言うのね。何だかよくわかんないんだけど、その子の家の方向に帰る人が一人もいないと。でもこの状況で帰すのはまずいから、俺の家に泊めることになってしまったと。彼とその子と2人きりなわけですよ。「本当申し訳なくて…」って普段全く泣かない彼がグスグス泣いてるわけですよ。

R:彼は平謝りだ。

M:だけど、彼は飯田橋で、私の家は八王子じゃないですか。時間は深夜12時近いわけですよ。当たり前に「今から行けないじゃん!」ってなるよね。でも「その女の子、放り出して」とも言えないし。「良いと思って無いのはわかってるけど、言わないとまずいなと思って」とか彼は言うんだけどさ、「そこまでなんだったら逆に言わないでよ!」って思ったね。後から知られてこじれるのが嫌だっていうのもわかるけどさ、夜中に言われたところで私にはどうにもできないし、心配するし、信じてるとはいっても、さすがにめちゃめちゃお酒飲んだ状態で2人っきりだったら何があるかわかんないしさ。「今からそっち行くから」って言いたいけど、もう終電もないし。

R:八王子から行くってなると、それだけ相手も待たせることになるもんな。

M:それで、「仕方ないね」って話をして。正直嫌だけどどうしようもないから、「じゃあ、その女の子を泊めてあげて」っていい顔したんですよ。そしたら奴は泣いてるし酔っぱらってるし、調子乗ったのかわかんないけど、「引っ越ししてから一番最初に家に上げたのは君だよ、って言ってたけど、ごめん。君の前に他の女の子を呼んでる」ってなぜか暴露をしてきやがって。

R:え、その流れで!?

M:そう、だから「もうそういうこと言うなよ! お前が泣いてるから泣かないけど、私だって今泣きたいんだぞ!」って思って。

R:それはなんで言っちゃったんだろう。

M:罪悪感のついでで言いたかったんでしょ。自分は楽になりたいから。

R:もりたに報告したことで、女の子を連れ込むという後ろめたさから解放されたついでに、全ての後ろめたさから解放されたいってなっちゃったのかな。

M:お酒も入ってるし、たぶん正常な判断ができなかったんだろうけど。そんなこと言われても何もできないし、過去の話だし、いまさら怒るのも筋違いだと思うし、負けた気がするし…。

R:いまさら言っても何ともなりませんわな。

M:だから「はぁ~、そっちの子もヤバそうだし、とりあえず今日は寝なよ。私も何にもできないし、いろいろ思うこともあるから、ごめん」って電話切って。でも、さすがに次の日、色々とすごいモヤモヤしたんだよ。

R:そりゃモヤモヤするよね。

M:でも、言い方を考えないとまずいなと思って、考えた結果「やっぱり、昨日のは嫌だった。どうしてもそういうことがあるんだったら、本当は男の人のほうがいいけど、もう一人女の子でもいいし、とにかく3人にして泊めて」って言ったの。

R:2人きりは納得がいかんと。

M:「何もないとは信じてるけど、疑っちゃう気持ちはあるから、ちょっとつらい」って。相手は「ごめんね、ごめんね」って謝って、その件はいったん終わらせたけど…、終わらせたけどですよ…!

R:そのあたりから彼氏に対してモヤモヤし始めたんだ。

M:モヤっとはするでしょ! 女の子を泊めた事件の翌々日くらいにデートの約束をしてたんだけど、その日も「ごめん、サークル長引いてて」って1時間半待たされたんですよ。連絡は貰ってたけど「サークルが終わる時間はわからない」って。それはそういうこともあるのは分かるけどさぁ、「サークルのことで揉めた後にそういうことするの!?」って思った。そりゃ私も予定あるし、お金もそんなに無いからあんまり会えなかったのもあるけど…、でも私とは会わないのに、「その日はサークルがあるから会えない」とか言うんだよ。今思うと嫌な女だったなって思うけど、デートしてる時に「この後サークルがあるから」って言われて、一度だけサークルについていったことがあるんだよ。

R:うわぁ~っ! それはちょっと困るねぇ。

M:向こうに「来る?」って言われたからなんだけど、それにしても嫌なやつだったと思う。

R:それは男側もそうだし、サークルの人もちょっと困るわなぁ。

M:そういうこともしちゃったりしてた。だって久々のデートなのに「ごめん、このあとサークルが」って言われたら、「だってこの前だって、サークルの女とそういうことあったんだから、何あるかわかんないじゃん!」ってなるよ。「どっちが大切なの!?」とまでは言わないけど、さすがに嫌だよってなるじゃん。

R:まぁ、もりたよりサークルの優先順位が上だよね、という感じではあるな。

M:「私のこと本当に好きなの?」ってところに行っちゃったんだよな。

R:サークルについていってどうだったんですか?

M:いや別に何も。

R:ただ自分が来たことで若干気まずくなってる感じ?

M:そう、誰も幸せにならない感じ(笑)。

R:ははは(笑)。そういうこともあって彼氏に対してモヤついてたところがあったわけだ。

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3時間待ちぼうけ事件の顛末

M:私、塾講師のアルバイトをやってたから、冬期講習があって。うちの塾の先生って全員大学生で、しかも地方出身の人が多かったから、その時期は帰省してる人も多いんですよ。そうすると地元組の先生が出なきゃいけない。お金も稼ぎたかったし、その当時は担当の生徒も結構持ってたから、休もうと思えばクリスマスも休めるんだけど、バイトにガンガン入ってたわけ。

R:そうなるとクリスマスとか、カップル的にアツい時期も割と逃しちゃうよね。

M:日曜日にもバイト入ってたし、クリスマス当日もフルのコマ数入れて授業予定だから、早めのクリスマスデートをしようってことで、ディスニーシーに行く約束をしてたんですよ。チケットは彼が先にネット予約で取ってくれて、「当日お金渡すね」って言ってたんだけど、そのデートの前日がサークルの飲み会だって話になって。「でも予定あるし、そんなに飲まないし、お酒も好きじゃないし」って彼は言うわけですよ。

R:早めに切り上げてくるよと。

M:「朝から行こうね」って話をしてたから、朝7時に東京駅に集合にしてたんですよ。でも、案の定、彼は朝までオールで飲み会してたらしくて…。

R:おっ!?

M:しかも、オールするっていう連絡なかったんだよ。前日に「明日大丈夫?」「大丈夫、ちゃんと帰る」ってやり取りしてたのに、待ち合わせ時間に着いても居なくて、30分くらい待っても連絡来ないの。事故とかに遭ってたら困るなと思って、電話を何回かけてもつながらないし。「どうしたのかな…」って1時間半くらい待ってたのかな。その上、天気も悪くて、雪が降ってたんだよ。

R:もう駅のホームには上がってるの? 駅前で待ってるんじゃなくて乗り換え待ち?

M:そうそう。私は八王子から来てて、向こうも東京行きの電車で来るから、駅のホームで待ち合わせて埼京線に乗り換えて行くことになってたの。でも来ないから、1時間半待つじゃないですか、雪の降る寒い中で。

R:ホームってことはほとんど外ですわな。

M:風も強いから雪も吹き込んできますわ。

R:駅の中に入ろうとか思わなかったの?

M:でも、いつ来るかわかんないし。

R:そうか、連絡とれないからすれ違うと困るもんね。

M:だから、とりあえず待ってたら、待ち合わせ時間から1時間半後くらいに電話がかかってきて、「ごめん、朝までオールしてて今起きた」と言うわけですよ。「今から急いで支度するから待っててくれ」って言われて電話を切られたんだけど、支度中は電話で話せないじゃないですか。「お前、何時に来るんだよ!」っていう感じで、さらに1時間半追加で待って、結果3時間待ちぼうけ。

R:うわ~っ、それで3時間待ちぼうけなんだ! それまでにサークルのことで揉めに揉めてからの、サークルのせいでディズニーシーデート待ちぼうけなんだ!

M:そう。

R:彼氏もきっと、最初は「帰んなきゃな~」とか思ってたんだけど、段々飲み会が盛り上がってきちゃって、終電無くなっちゃったんだな。でも、もりたに今連絡すると、多分怒られちゃうから。「ここまできたら飲んじゃえ!」になっちゃったんだ。

M:時間忘れて気付いたら1時とか2時とかで、「ヤバい!」ってなっちゃったのかもしれないし、それはわかんないけど。そのまま寝ずに行けばいいやくらいの気持ちだったのかもしれないけどね。

怒れなかったデート

M:それで、お互い不機嫌なままでディズニーシーに行ったわけだけど。

R:まぁ、チケットがもったいないからな。

M:早起きしたから眠くてボーっとしてたら、間違えてディズニーシーのチケットなのにディズニーランドに入ってしまい、「再入場できないじゃん!」ってなって。本当はチケットが違ったら受付のところで言われるんだろうけど、混んでたからそれもなくって、ランドに入っちゃって「あれ!? お城ある!?」って気付いた。それで私のテンションがさらに下がってしまって。彼が気を遣って「俺、お金半分出してあげるから、シー入ろう?」って途中でシーには入ったんだけど。まぁ、デート中に色々と思うところはあったよね。でも、私もそんなにガツンと言わなかったな。今思うと、あそこで私がもっと怒ればよかったのかもしれない。

R:「今までサークルのことで揉めたよね? で、昨日も遅れないように早く帰ると言ってたのに3時間遅刻して、しかもサークルでオールしてたって何なんだ!」ってことだよね。

M:「ありえない!」って。

R:まぁ、そうだよな。

M:「サークルのことも大切なのはわかるけど、そんなにないがしろにされて私も何も思わないわけじゃないし、そういうの本当に嫌だから、サークル辞めてとはいわないけど、もうちょっと考えてよ!」って、言えばよかったのに…。

R:言えなかった?

M:良い顔しちゃってですね…(笑)。「サークルのこともわかるけど、連絡つかないと心配だし…。やっぱりそんなに会えないから、会える時くらいはちゃんと会いたいよ」くらいしか言えなかった。

R:相手を気遣ってるモードにしちゃったんだ。

M:「私は心底怒ってるぞコラ!」っていうテンションで言えば、向こうも「俺も思うところあって」ってぶつかりあえたのかもしれないけど、その当時は嫌われたくなかったから。ぶつかることもせず、喧嘩もせず。ちょっとやんわり「嫌だよ」って言って終わる。

R:それは、シーに行くときに言ったの?

M:そうそう。合流できたときに「大丈夫だった? 心配したよ。さすがにちょっと連絡ないのは困るよ」って。帰りのときにも、「楽しかったけど、こういうのはあんまり、嫌だな」みたいなことは言ったかな。向こうは「ごめんね、ごめんね」って謝って、私は「今日は会えたからとりあえずよかった。また会ってくれる?」って。

R:その後、彼はサークルの件とか改善してくれたの?

M:ううん。もりたの優先順位は下のまま。

R:そこで彼氏は許された気になっちゃったんだろうな。許されたから「いいや、このまんまで」ってなったんだよ。

M:そう、「ちゃんと連絡すればいいんでしょ」って。まぁ、連絡するのは前提なんだけどって感じだよね…。

最初から惰性だった?

M:いぇーい、東京駅に着いたぜ!

R:今日はホームには上がらないけれども。

M:東京駅で、天井が奇麗なところあるじゃん。あそこが竣工したときにも2人で来てるなぁ…。でも当時のことを思い出すと、「自分も悪かったな」と思いつつ「でも、向こうも悪いだろ」ってね、怒りが勝っちゃう。

R:根本は彼氏だけど、もりたも怒れなかったなっていう後悔はあるわけだよね。そこを長引かしちゃった分、傷口がより開いちゃってる感じはある。今回の収録が始まる前にさ、彼と付き合ってる時期が被ってる女がいたって話をしてたじゃん。彼はその女と今も付き合ってるんでしょ? そっちと飯田橋の彼はいつ頃からの関係なんですか。

M:わかんないけど、3時間遅刻事件の頃じゃないかな。その頃にうまく行ってなかったから、たぶん向こうの女に「今の彼女と最近うまく行ってなくて」みたいな話をするところから始まって…、どの女かわかんないけど、いまだに私はサークル関係の女だろって思ってる。

R:俺もそんな感じがするな。飲み会とかでしゃべったんだろうなって気がする。

M:そう、「あいつ、うるさいんだよ」とか。しかも、彼の好みはどう考えても私じゃないんだよ。かわいい系というか、女子アナ系が好きなタイプだったから、それも相まって。だって、サークルもそんな感じの子多かったし。

R:彼の好みじゃないんなら、なんでもりたと付き合うことになったの?

M:うーん、もりたが「今付き合ってるみたいな状態だけど、私はちゃんと好きだし付き合いたいけど、どうするの?」って言ったから。

R:あー、じゃあそれこそ、最終的に彼から「惰性で付き合ってた」って言われて振られるわけだけど、やっぱり最初から惰性だったって可能性高いよな。もりたがそうきたからOKしたけど。

M:そうだよ、でも指輪くれたじゃん~。

R:(笑)。

M:最初に知り合ったときは向こうに彼女がいて、「でも別れたい」って言ってて、そのあと何回か遊びに行ったけど、「これもうデートだよな」って感じだったし…。「本当に彼女と会ってなくて、次会ったら別れ話するんだ」ってタイミングで、一緒に鎌倉に行ったんですけど、そのときに私の方をチラチラ見てるから、「どうしたの、何かあった?」って聞いたら、「いや、いつ手をつなごうかなと思って。デートだし」って彼が言ったりとかしてさ…。

R:向こうからも仕掛けてるんだよな。

M:そんな感じだったから、「やっぱりちゃんと付き合うなら付き合いたいし、そうじゃないんだったらつらくなるから、普通の友達でいたい」って言って、それで付き合ったんですよ。

R:そのとき、彼としても「いけるもんならいっとけ」になっちゃったのかな。

M:そうかもしれない。たぶん今の彼女とも私とうまく行ってない時に、同じような感じで「彼女とうまくいってなくて」って言った可能性は往々にしてある。

R:で、年末に彼のFacebook覗いて、まだその彼女とうまく行ってるのを発見してジタバタしてたんだっけ。

M:そう、「5年もまだ付き合ってんの!? ステータス変えてないだけじゃないの!? ヤダヤダヤダヤダ~!」ってジタバタしちゃってる(笑)。

好きのパワーバランス

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R:ディズニーに行くには、どの改札から行くのかな。

M:うーん、実際にはホームで待ち合わせてたわけだけど、私は八重洲中央口を使ってたから強いて言うなら、ここかな。

R:お、ここか!

M:もうやだ~。つらいよ~。でも、今あの場面になっても怒れるかって言ったら、正直自信ないかも(笑)。

R:そっかー。でも、俺が思ってたより彼氏も悪いなー(笑)。

M:私も私でメンヘラだったから、ちょっと重かったとは思う…。

R:彼氏としても、もりたから逃げたい感じがあったんだろうね。

M:ちょっと距離置きたいみたいな。

R:もりたが重い感じできてて、それよりはサークルでわいわいやってるのが楽しいから、そっちいきたいなってなっちゃったのかも。複数人との約束がある用事ならもりたも文句言わないだろうと踏んでたんだけど、ちょっと文句が出始めたから、余計にサークルの方にいきたくなっちゃったんだろうね。

M:たぶんそうなんだろうな、とは思うけど…でも、だって会ってくれないんだもん…。

R:もっと会いたかった?

M:会いたいでしょ、そうじゃなくても会えないのにさ、会う時の一回一回も大切にしてもらえなくてさ。

R:そうだよね。

M:じゃあ何、私の何が悪いの? …悪いのはわかってるよ、重たいことですよ。…あ、そこから乗ってたと思う。ここは、そういう苛立ちの場所ですよ。悲しみのほうが強いけど。

R:もりたにとっては決定的に、彼に対して「私よりサークルが大事なんですね」ってなった場所だ。

M:そう、そういう場所。

R:「伝わってなかったですよね、私の気持ちは」ってことだな。

M:そうだね。好きだったのになぁ~。そこで決定的にすれ違ってたと思う。好きのパワーバランスが取れてないと、すれ違っちゃうから。パワーバランスは私の方が確実に大きくなっちゃってたから。そこでもう駄目だったんだと思う。

R:今泉力哉さんっていう、恋愛ものを多く撮ってる映画監督さんが、お互いの想いが50:50で一緒になることは絶対ない、両想いはないって話をしてたんですけど、その感じだよね。

M:そうだね、一番最初のファーストアタックは多分向こうが多くて、付き合うくらいで同じくらいになって、そこから途中で逆転しちゃって私の方が好きになっちゃったんだろうね。

R:最初は向こうからガンガン誘ってきた?

M:別にそんな遊ぶつもりとかはなかったけど、「どこか行かない?」とかさ、「鎌倉行こうよ」って言ってきたのも向こうだったから。パワーバランスで言ったら向こうの方が上だよね。

R:「そっちが最初に誘ってきたんじゃん!」感もあるよね。

M:で、彼が煮え切らないから、結局私の方から「もう彼女がいないなら、付き合いたい」って言って、で、付き合えて、そこからはしばらくハッピーな時期が続き。

R:ちなみにハッピーはどのくらいの期間なんですか?

M:1年くらいはハッピーだったんじゃない? お互い1年間は新鮮じゃん。けれど、だんだん会わなくなったりして、お互いに忙しいことも出てきてっていう感じかな。

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R:あ、ここでしょ? 天井が奇麗なところ。

M:そう。ここも2人で写真撮ったな。

R:ここ、「東京ステーションギャラリー」って美術館があるの知ってる?

M:知ってる、「一緒に行こうね」って彼と言ってて来なかったから。

R:俺、去年初めて来たんだけど、駅のついでにくっついてる雰囲気だからちっちゃいのかなと思ってたら、3階建てくらいなんですよ。

M:今、何の展示をやってるんだろう。

R:「鉄道絵画発→ピカソ行 コレクションのドア、ひらきます」だって。今日はもう時間的に入れないけど。

M:まぁ、そんな思い出の場所だったよ。オチがないけど(笑)。

R:でも、決定的に彼氏に想いが伝わってないことが分かった場所ってことだね、東京駅は。

M:だから次は、次に付き合った人には怒ろうと思います。怒りすぎも良くないけど。

R:飯田橋の彼にはあの時怒れなかったから。

M:怒れなかった。怒りたかった。

R:「私は嫌だよ」っていうのは言ったほうがいいよね。

M:うん、次こそは「そっちの気持ちもわかるけど、でも嫌だよ」って、ちゃんと言おうと思う。


インタビュイー
もりた(Twitter:@minic410)
逆流性胃腸炎気味なのにビールと煙草中毒なOL。
クーチェキでは「情事の後は、必ず金マル。」を連載中。
短期集中演劇創作イベント『第一回DramaJam』では、「短歌病」で脚本賞を受賞。
インディーズ小説「あなたは砂場でマルボロを」「許してよ、ダーリン」がKindleをはじめ各種電子書店にて発売中です。

インタビュアー・記事構成
Ryota(Twitter:@Funatoku_ryota)
クーチェキの企画・運営・編集をやっています。

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