東京のつらい場所 Part5 御茶ノ水~東京ドームシティ
もりたが恋愛絡み・男絡みで手痛い思いをした場所を実際に巡りながら、つらい思い出を振り返っていく企画「東京のつらい場所」。今回のルートは御茶ノ水から東京ドームシティです。御茶ノ水では高校時代の恋愛について、東京ドームシティでは“飯田橋の彼”の次に付き合った3番目の彼氏について振り返っていきます。
(2018年2月19日収録)
吹奏楽部の思い出
Ryota(以下R):明治大学の前を横切って、東京医科歯科大学が目の前に見える通りを歩いてます。御茶ノ水名物の楽器店街だね。
もりた(以下M):御茶ノ水は高校生のときによく来ていた場所。吹奏楽部だったから、楽器のメンテナンスとかによく来てたんですよ。
R:おぉ、今回は高校の話が始まるわけだ。
M:もりたの初カレ編ですよ。
R:“飯田橋の彼”の、1つ前の彼氏?
M:そう、一番最初の彼氏。御茶ノ水は、恋愛的に元カレがつらいというのもあるけど、どちらかというと吹奏楽部で精神ボコボコにされた方のつらさが…。
R:あー(笑)、部活がつらかった?
M:私は直接言われてないけど、部活内で「あいつは音楽的には必要だけど、人間的には要らねぇ」って言われてたヤツはいっぱいいる。
R:そんなにメンタル攻めてくる部活だったの?
M:吹奏楽ってゆるいイメージがあるかもしれないけど、うちはコンクールで上位入賞を狙ってたから結構ガチな部活だったの。しかも、大会の規約で編成上何人まで出られるっていうのが決まっていて、レギュラー争いがあるんですよ。もちろん、100%実力主義だからオーディションで落とされちゃうと、3年生だろうとコンクールに出られない。
R:なるほど、厳しいなぁ。
M:で、その元カレは部活の先輩で、担当パートも同じで、席も隣だったんですよ。部活は土日もあるから、四六時中一緒にいる状況だったんだよね。でも、付き合ってたけど全然好きになれなくて…。その元カレとどうして付き合ったかっていう話からした方がいいかな?
R:そうだね。
もりた、告白する前に失恋する
M:えーっと…ふっふっふ(笑)。
R:何(笑)!?
M:心の傷口が開いちゃって笑うしかない(笑)。
R:いきなりそんなにつらい話になるの…。
M:私、今では初対面の人にでもべらべらしゃべれるけど、高校生の頃って結構人見知りするタイプだったんだよね。で、高校1年生の時、同じクラスに好きだった男の子がいたんだけど、好きすぎて彼には何も話しかけられない、みたいな状態だったの。
R:もりたにもそんな時代が…(笑)。
M:その当時、部活の親友に「〇〇君が好きなんだけど、上手くしゃべれない」とか「~に誘いたいけど誘えない」って恋愛相談してたんだけど、冬休み明けくらいから、その親友が急によそよそしくなったんですよ。普段からよく話してたのに、何故か距離を置かれるようになって。別の友達に「私、何かやっちゃったかな? 嫌われたかな?」って相談したんだけど、「いや、もりたが何かやったわけじゃないと思うよ」みたいな話をされて、結構モヤモヤしてたんだよね。ある日、その親友から急に「今日一緒に帰ろう」って部活終わりに言われて。
R:お、きたな。
M:忘れもしない、ほっともっとの弁当屋の前で。
R:ははは(笑)、描写が細かいな。
M:高校の近くの、坂のふもとのほっともっとの前で、その親友から「〇〇君のこと、ずっと相談してくれてたけど、実は私も彼が好きで…。このままじゃ心からもりたのことも応援できないし、良くないなと思って、彼に告白したら付き合うことになった」ということを言われまして…。
R:うわー、出た! 先に告白しちゃった上に、OKも出ちゃったんだ!
M:それを泣きながら話されて。
R:出た! もりたあるある! 「向こうが先に泣くからこっちが泣けない」パターンのやつだ!
M:そのパターンに入ったから「あー、そっか、ごめんね、こっちも気付かなくて」みたいに言うしかないじゃん。相手は、「もりたとはこれからも友達でいたいから、このままじゃ良くないと思って話した」と言うわけですよ。
R:先に泣いて謝られるやつ、前回の飯田橋の彼のエピソードで聞いたことあるパターンだよ(笑)!
M:だからそれを何年か前にもうやられてたんですよ、実は!
R:そういう人生なんじゃん(笑)。
M:そういう人生なんですよ…。それで、とてつもなく好きだった彼に告白する前に失恋したわけです。
R:思いを伝えないまま失恋かぁ。
初カレはできたけど…
M:その親友と別れた後に、「つらいな…」って思いながら部活のたまり場になってたマクドナルドに行ったわけですよ。そしたら仲のいい男の先輩たちがいて、「あれ、今日は一人なの? 顔色も悪いし、何かあった?」って言われてさ、私も一瞬回ってテンション高くなってたから…。
R:一周回ったんだ(笑)。
M:ハイになっちゃってたから「なんかー、よくわかんないんですけど、私、失恋したっぽいんですよね~」って言って。「え!? どういうこと!?」「よくわかんないんですけど、気付いたら失恋してた的な…」とか話したんだよ。で、先輩たちは「そうかそうか、今日はおごってやるよ! 何が食べたい?」って言ってくれて。
R:いい先輩じゃん。
M:マックシェイクと、ポテトと、そんなに好きじゃないアップルパイをおごってもらった(笑)。その後、初の彼氏になる人もその場にいて「お前大丈夫か? あんなこと言ってたけど相当つらいだろ? 何かあったらいつでも電話しろ」って言ってくれたんだ。毎日電話なりメールなりで連絡しあって話を聞いてもらってたんだけど、ある日、告白されまして。
R:それは失恋事件からどれくらいのタイミングで?
M:2~3週間くらいかな。
R:元々、その先輩はもりたのことが好きだったの?
M:かわいい後輩っていう感じだったんじゃないかな。「でも、付き合うのは無理かな~」と思っていたけど、失恋で弱った私の様子を見て「これ、押したら付き合えそうじゃね?」って考えたんだろうね。
R:で、押された結果付き合うことになったわけだ。その時のもりたの心情としてはどんな感じだった?
M:「好きって言ってくれてるし、優しくしてくれるなら幸せになれるかもしれない」とは思ったかな。「もう傷つきたくない!」って感じ。
R:自分の恋心は叶わなかったけど、優しくしてくれるんならこの人でもいいかなってことか。
M:「人は見た目じゃねぇよ!」と自分に言い聞かせた。正直、その初カレが全然かっこよくない上になかなかの巨漢だったんですよ。ポケットモンスターで例えるならカビゴンみたいな(笑)。
R:あー、カビゴンかぁ(笑)。とはいえ、ルックスには目をつぶって付き合い始めたわけだ。
M:そこからがまぁ…、地獄だったよね。
R:お、何があった(笑)?
M:まず指輪もらって…。
R:出た、指輪!
M:それが人生初の指輪ですよ。
R:それは彼氏から渡してきたの?
M:1月に付き合い始めて、バレンタインデーのときにチョコレートを渡したら、ホワイトデーのお返しが指輪だったの。お互い初カレ初カノなわけですから、浮かれてるんですよ。向こうは指も太いから、指輪のサイズが21号だったんだけど(笑)。「私の親指に付けてもブカブカなんですけど~」って言ったりして。まぁ、その指輪、付き合ってる間に5回くらい失くしたけど。
R:おいおい(笑)。
M:でも5回失くして、もう出てこないなって思ってたころに見つかるから不思議だよね。高校の落とし物ボックスに入ってたり、学校の駐輪場の溝のところに落ちてたり。
R:まともなところに落ちてないな(笑)。
M:そもそも彼って、女っ気もないし「お前は彼女できない」とか散々言われている上、部活の中での態度も悪かったんだよね。そんなヤツが左手に指輪をしているということで「相手は誰だ!?」って部活内が騒然としたから、即行で指輪を外したりもして(笑)。
R:付き合ってることは周りに隠してたの?
M:すごく隠してたわけではなかったけどね。さすがにいじられるのも面倒くさいし、3月が定期演奏会だったから、そこに向かって士気を高めているところで、仲間の和を乱すみたいなことはしたくなかったから。まぁ後々バレるんですけどね…。で、部活で毎日カビゴンに会ってるわけなんだけど、性格が全然合わなくてですね…。
R:何が嫌だったの?
M:向こうがすごく束縛してくるタイプで、重かったんだよね。
R:まぁ、カビゴンからしたら、見た目のコンプレックスもある中、初めて年下の彼女ができたということで過剰に束縛しちゃったのかもしれないな。
M:カビゴンは夜にアルバイトをしてて、毎回23時くらいに終わるんだけど、いつも帰り道から電話をかけてくるんですよ。それに出ないとめちゃめちゃ不在着信が入ってて。寝落ちしたら文句も言われるし。
R:それは確かに面倒だなぁ。
もりた二股疑惑事件
M:うちの高校って山の上の方にあって、坂を上って学校に行かなきゃいけないし、帰りも坂を降りなきゃいけないから、登下校が結構面倒くさいのよ。その当時、部活内にシン君っていう仲のいい男友達がいて、彼は自転車通学だったのね。で、たまに駐輪場とかで会ったら「乗せて下まで降ろして」って感じで、よく2ケツしていたわけ。
R:友達のノリとしてね。
M:そうそう、二人きりってわけでもないし。シン君は他の男友達と一緒にいて、その人たちも私とシン君が仲いいのを知ってるの。それで、シン君を見つけたら「あ、シン君! 乗せてよ!」「え~、だって面倒くさいじゃん」「いいじゃん、乗せてよ」みたいな話をして、いつも乗せてってくれる。そのまま坂の下までザーッと降りて「じゃあねー、お疲れ様でーす」みたいな感じで帰っていくわけですよ。部活の後輩たちは、私に彼氏がいるっていうのは知ってたんだけど、同じパートの子以外は私が誰と付き合ってるかまでは知らない子もいたのね。で、私とシン君は結構一緒にいたから、シン君と付き合ってると思ってた後輩もいて。
R:はいはい、二人は友達のノリだったけど、周りから見るとそういう風に勘違いしちゃってもおかしくなかったわけだ。もりたは、自分とシン君が付き合ってるって噂になってると知ってたの?
M:それは知らなかったんだよね…。ちょっとした事件があってね、その日は霧雨が降ってたんだけど、駅まで10分くらいで到着できるから、面倒くさくて傘をさしてなかったの。そしたらシン君がいて、「お前、傘ささねぇの?」って言われたから「いちいち傘さすの面倒くさいじゃん、シン君の傘に入れてよ~」って感じで、傘に入れてもらって一緒に駅まで行ったんですよ。
R:友達のノリだけど、形だけ見れば相合傘だよな。
M:そう、二人にとってはいつものノリでも、他の人から見たら「あの二人、超イチャついてる」って見えるわけじゃないですか。しかも、たまたまその日に限って、シン君と私だけで帰ったんだよね。
R:一緒に帰る友達が他にいなかったんだ。確かに構図としては相合傘のカップルが、イチャイチャしているように見えるわな。
M:それから何日か経った後に、部活で同じパートの後輩から「先輩、話あるんですけど」って言われたの。私もパートリーダーだったから。「部活で何か心配事あるの?」って聞いて。
R:何か悩みがあるのかなと。
M:そしたらさ、後輩が「もりた先輩とカビゴン先輩って付き合ってるんですよね?」って聞いてくるんだよね。「まぁ、一応そうだね。それが何?」って答えたら、「シン先輩とは何かあるんですか?」って言われて本当にびっくりした。寝耳に水だから。
R:とうとうシン君と付き合ってる説がもりたの耳にも入ってきたんだ。
M:「いや、シン君とはめっちゃ仲いいし、一緒に帰ったりはするけど別に…」って答えるじゃん。そしたら「それなんですけど、シン先輩とよく帰ってるから、もりた先輩が二股してるって噂流れてますよ」って言われて。
R:うわぁ…。
M:「待って、それってカビゴンの耳には?」「もちろん入ってます」って言われて。
R:めんどくさい事態や…。
M:「だから最近不機嫌なのかあいつ…」と腑に落ちたけど。
R:機嫌はちょっと前から悪かったんだ。
M:シン君と二人で仲良くしてるのが、前から気に食わなかったらしいのね。「俺だって一緒にいたいのに…」と思ってたらしい。
R:で、いよいよ二股しているという噂になって、改めてカビゴンの耳に入ったと。…怖っ!
M:いやー、怖ろしかったよ。そのときもまぁまぁ揉めたんだけど。
R:それはその後どうなったの。
M:「すいませんでした」って謝ったよ(笑)。
R:カビゴンはなんて言ってたの?
M:「俺はそこまで強く言いたくないけど、わかるでしょ?」みたいな感じで言われたから「はい、自分の傘は自分でさします!」って(笑)。
R:ははは(笑)。
カビゴンとの別れ
M:カビゴンとは合わないなと思って別れたかったんだけど、同じパートだし、席も隣だし気まずくなるじゃん。音楽は精神状態がだいぶ影響されるから、別れるタイミングを見計らってたんだよね。向こうが高校を卒業したときに別れても良かったんだけど、卒業1年目の人ってOBとして働きに来るから、しばらく顔を合わせるんだよ。だから、私が卒業するまでは別れられないなと思って、だらだらと3年くらい付き合ったね。
R:「別れたいわ~」と思いながらも付き合い続けている間の関係ってどんな感じなの? 向こうはどんな感じだった?
M:カビゴンはめっちゃ私のこと好きだよ。
R:怒りはしたけれど、それでその件は収めたというか、落ち着きはしたんだ。
M:まぁ泣かれたけどね。
R:泣かしてるなぁ(笑)。
M:いっぱい泣かしてるねぇ。で、そのあとも紆余曲折いろいろあるんですけど割愛して…。
R:言えねぇんだ(笑)。書けないことが結構ある?
M:書けないし、話すと後2時間くらいかかるから。
R:マジか…。じゃあ割愛して、結局高校時代のほとんど付き合ったあとで、カビゴンとは別れたわけだね。ちなみに、シン君とはそのあとも普通に友達として付き合っていくんですか。
M:シン君はその後ねぇ、歌手を目指してねぇ…。
R:おぉ!?
M:1回ヨーロッパでデビューしてるんだけど…。
R:おぉっ(笑)!? 思わぬ展開だ!
M:なんかねー、マルチっぽいノリの人になっちゃいましてねぇ。「もちろん応援してくれるよね?」みたいな。
R:あー、あの頃のシン君じゃなくなっちゃったんだ。
M:「俺は夢に向かって頑張るから! そのためにはこういうこともしていくし…」って感じで目をキラキラさせてさぁ…、私と同じように、いい感じに腐ってたシン君じゃなくなっちゃったんだよね。きれいなシン君になっちゃったんだよ。
R:きれいなジャイアンみたいな(笑)。
M:そこからちょっと疎遠になっちゃった。
R:なるほど…。で、話を戻すと紆余曲折あって、最終的に卒業して大学に入るタイミングで別れたの?
M:私が高校卒業して大学入った年って3.11があったから、演奏会が3月から5月に延期になっちゃったんだよね。その5月の演奏会が終わった一週間後くらいに別れたはず。
R:別れ話をしたとき、相手がインフルエンザだったんでしょ?
M:それは後から知ったんだけどね。その時も体調悪いとは言ってて、「別れたい」って話したら泣くし、鼻がグスグスしてるし、今思うと本当に申し訳なかったなという気持ちはある。で、それからずいぶん経って、部活の同期が結婚をしまして、そこでカビゴンとは久々に再会しました。
R:そのときはどんな感じだった?
M:恨みつらみを言われた。会うたびに言われるんだよねぇ。
R:ははは(笑)、まだ引きずってるんだ。
M:「お前よりいい女も知ってるし、お前がゴミみたいな女なのも知ってるけど、俺は結局お前が忘れられなくて、誰とも付き合えないから慰謝料払え!」って言われる。で、私は「タバコ一本くれねぇ?」って言ってやった。
R:もりたがいい女として評価される感じなの、すげぇ気に食わねぇ…。
M:私もいい女だとは思わないんだけど、忘れられない女なんだって。
R:それがなんかいい女っぽいわ。ムカつくな(笑)。
M:でもまぁ、高校の一番おいしい3年間をカビゴンでドブに捨てたよね。
R:そしていい感じに腐ってた友達のシン君も夢に向かってしまい、残されたのはもりただけ…(笑)。
M:そう、時が止まってるのは私だけ(笑)。
R:そんな時によく楽器にメンテナンスに行ってた御茶ノ水だったわけだな。で、気付いたら東京ドームシティ着いちゃったけどね。
3番目にできた彼氏
R:さぁ、東京ドームシティですよ。
M:ここは3番目の彼氏絡みのエピソードがあるんだよね。カビゴンと別れてから、飯田橋の彼と付き合うようになり、「君とは惰性で付き合っていた」と言われて振られちゃうわけだけど、その次の日に大学の男友達と遊びに行く約束をしていまして。
R:振られた次の日に?
M:そうそう、ちょうどゴールデンウィーク中で、表参道にある岡本太郎記念館に行こうって前から約束してたんだよ。
R:その友達はもりたが振られたっていうことを、そのときは知ってたの?
M:合流した時点では知らないけど、彼氏とめちゃめちゃラブラブだったのは知ってたし、「ちょっと最近、彼氏との関係が危うい感じなんだよね」っていうことは話してた。遊びに行く前日は彼氏と演劇を見に行くっていうのも言ってたから「昨日のデートどうだったの? 『彼氏とはもうダメかも』とか言ってたけど、どうにかなった?」みたいな感じで聞かれて、「いや…、振られた…」って答えて(笑)。「嘘!? あんなにラブラブだったじゃん、お前ら」「『お前とは惰性で付き合ってた』とか言われたんだけど~」みたいな会話をしましたね。
R:悲しいなぁ(笑)。でも、翌日に友達と会う約束があってよかったよね。翌日に何も予定がなくて一人で過ごすほうがつらいもんね。
M:もし一人だったら、本当にただ泣くだけだったと思う(笑)。でも、その友達と話して、あとクレープもおごってもらって(笑)、割と気が晴れたんだよね。それから数日経って仲間内のグループLINEで「みんな、ゴールデンウィークにどこか出かけました?」って話題になったときに、その友達が「俺は家でゴロゴロしてるだけでした」って書いてたんだよね。「あれ? お前、私と遊んだよね?」とは思ったけど、「これ、なんか言わないほうがいいやつなのかな…?」って空気を読んで、そのことには触れなかったんですよ。
R:「なんか変だな」とは思ったもののスルーしたんだな。
M:その後も彼とはお昼ご飯を食べたり、一緒にちょこちょこ遊んだり、連絡も取りあってて…、向こうもちょっと悩んでたんだろうね。私が振られて傷ついてるのもわかってるから。
R:あー、じゃあ、前からその男友達はもりたのことが好きだったんだ。
M:そうそう。そのうち、いくら勘が鈍い私でも「この人、私のこと好きなんだろうな」とは気づいたんだけど…。ある日、「俺さ、実はさ、最初に会ったときからいいなと思ってて…。一目ぼれだったんだけど、そのときはもりたに彼氏いたから、『彼氏いるしなぁ…。でも好きだなぁ…』ってずっと思ってたんだよね」と言われまして。「最初に会ったときから」って言うけど、それって入学式のことなんですよ。「今、私たち大学3年生だけど、お前2年以上そんなこと思ってたの!?」ってちょっと動揺したよね。彼には「今、彼氏とこんな感じなんだけど、男の人からしたらそういう場合ってどう思うのかな?」とか、恋愛相談もしてたから。
R:そいつもその恋愛相談、よく耐えられたなぁ(笑)。
M:まぁ、彼も一瞬彼女作ったりはしてたんだよ。でもそれもすぐに別れて。
R:もりたも別れて、自分も彼女と別れてたから、これはいくしかないと思ったんだ。
M:それで、「好きだから付き合いたい」と言われまして、付き合ったはいいものの、そこからは地獄でしたよね~。
R:ははは、地獄のデジャブだ(笑)! 似たような話だなぁ。また束縛系?
M:うん、その束縛エピソードの一つがこの東京ドームシティの話なんですけど。
彼氏からの鬼電地獄
M:私、高校生のときからブログをやってて、そこで知り合った友達が地方で結構いるんですよ。
R:ネット上で知り合った人ね。
M:そのブログ界隈では結構オフ会をしまくってて、そのメンバーの中で一人、私が神様と崇めてる愛知県在住のお兄さんがいるんですよ。ブログも面白いし、お兄さん自身がすごくいい人で、そのブログ界隈だと一番古い知り合い。ラブの意味じゃないけど、すごく好きな人なのね。
R:リスペクトだな。
M:そう、そういう感じ。その人から急に「俺、今、東京にいるんだけど」って連絡が来て。普段は愛知にいてなかなか会えないから、久しぶりに会いに行ったんだけど、男と2人で会ってるってことで彼氏からガンガン連絡がきまして。
R:彼氏には、そういう人に会いに行くとは言ってたの?
M:友達と遊ぶとは。
R:男友達だって言った?
M:最初は「遊びに行ってくる」「誰と?」「友達と」って感じで話してたんだけど「誰?」ってしつこく聞いてくるし、やましいことはないからいいやと思って、「知り合いのお兄さんだけど」って言ったら、「は? なんで男と遊ぶの?」って反応されたね。「二人っきりなんて、何があるかわかんないじゃん!」って。
R:あれ、「二人っきりなんて何があるかわかんない」って言い回し前回聞いたな(笑)。もりたが飯田橋の彼に言ってなかったっけ。
M:いやいや、だってあれは夜中に泊まりだったから! 今回は日中だよ! お昼!
R:まぁ、普通に遊びに行くだけだもんなぁ。
M:そう、こっちとしてはお茶しに行ってくるって感じだったんだけど、彼氏から「ありえない!」ってガミガミ言われて、電話もかかってくるけどうるさいから、「私は何言われても会うし、そんなこと言っても知らないよ」って言って電話切ったんだ。その日、そのお兄さんはライブを観に東京に来てたのね。で、「一緒に来るはずの人が都合悪くなって来れなくなっちゃったから、チケット一枚余ってるんだけど…、良かったら一緒に見ない?」って言われて。その場所も東京ドームシティだったんだけど、さすがにライブ終わりだと夜も遅くなっちゃうし、また文句を言われそうだなと思ったから、「私、今日この後ライブ観に行ってくるから」って言って。
R:急にそうなったら相手もちょっと気にするよね。
M:それで、その後も泣かれて喧嘩して。
R:えー(笑)。カビゴンも泣かせてるし、今回の彼氏も泣いてるし、みんな泣いてるじゃん。
M:そう! なんか、みんな泣く!
R:もりたの話の登場人物、みんな、もりたより先に泣くなぁ。
M:まぁ、結局は私も泣くんだけどね。で、そんなやりとりをした東京ドームであんまりいい記憶がなかったわけですよ。
R:結構しつこく電話かかってきたんだ?
M:そうそう、だから全然楽しめなかったんだもん。一旦、電話の電源切ったんだよ。
R:まぁ、彼氏からしたら気になるよね。
M:お兄さんから「大丈夫? 何か言われてない?」って言われて、「いや、いいよ、あいつよりも私はあなたと会ってるんだから、あなたと話したいの!」って答えて、「そういうこと言ったら、また相手の男が面倒臭くなるからやめなよ」って怒られるっていう。
R:あー、愛知のお兄さんはいい人だな。その人とは今も会うの?
M:2年に1回くらいは会うかな。
R:普通に仲良くしてる?
M:仲いい。超好きだもん。その人に「会おうよ」って言われたらその日仕事が立て込んでても定時で帰るからね(笑)。
R:おー、仲良しじゃん。
M:まぁ、そのお兄さんはそのお兄さんでつらい恋愛してるらしいんだけど…。
R:もりたの話に出てくる人、全員つらい感じなのやめてくれない(笑)?
M:ちなみにそれからしばらく経って、また別の、ちょっといいなと思ってた男の人とも東京ドームシティに一回来たんだけど、押してみようかなと思って「観覧車乗る?」って言ったら「え、なんで?」って真顔で返されたつらさもある(笑)。
R:ははは(笑)、それもつらいっすねぇ。
やさぐれた3番目の彼氏
M:3番目の彼のことは一緒にいて本当に嫌いになりそうだと思ったから、「これ以上あなたを嫌いになる前に別れたい」って言って別れた。その彼は煙草も嫌いでお酒も全然飲めない、ギャンブルなんてもってのほかな人だったのに、別れたのがきっかけで、タバコ吸ってお酒浴びるように飲んでギャンブルで全財産失うような状態になってしまって…。
R:マジで!? 転落していったのか。
M:今はもう落ち着いたらしいんだけど、一時期そういうヤバい状態になってたね。「これ以上嫌いになりたくない、別れても友達ではいたい」って思ってんだけど、ある日、大学の階段ですれ違ったときに「あ、おつかれ」って手を振ったらムッて顔をされたのね。「何怒ってるのこいつ? 私何もしてないのに」って思ってたら、彼がTwitterで「こんなことだろうと思ったよ。どうせ二番になってて」みたいなことを書いてて。どうやら、手を振った時に私が彼の嫌いそうなゴツい指輪を付けてるのが見えて、それを他の男からもらったものだと勘違いしたらしい。自分で買ったやつだったんだけど…(笑)。それから大学にいる間、ずっと口をきいてもらえなくなっちゃった。
R:しんどいですなぁ。
M:ただ、彼とは去年再会して、やさぐれた感じではなくなってたね。彼女と結婚に向けて現在同棲中らしいので、そのまま結婚して幸せになってほしい。けど、帰り際に「その彼女のことはそれなりに好きだけど、あのときほど誰かのことを好きになれないと思うんだよね」って言われまして…。
R:すごいな、またもや過去最高の女になってる(笑)。
M:それを聞いて「やべぇ、もう二度と会わないようにしよう!」って思った。
R:過去最高の女になりがちなもりた。なんでそんなことに…。
M:うーん、多分、いい別れ方をしてないからじゃないかな。私が飯田橋の彼のことにしがみついてるのも、私が納得できてないからだって思うのね。カビゴンにしろ3番目の彼にしろ、納得できてないから引きずるんじゃないかな。
R:なるほどなぁ。この企画では飯田橋の彼に触れがちだけど、前後も割とつらい思い出になってるわけだ。
M:まぁ、飯田橋前後はつらいというよりも、人格を曲げてしまって申し訳ありませんでしたっていう気持ちだけどね…(笑)。
思い出がフラッシュバック!
R:一旦収録を終えて東京ドームシティをうろうろしてたんですけど、もりたが急に何かを思い出したっぽいので収録再開します!
M:愛知のお兄さんと遊びに来てた件で、3番目の彼と揉めたじゃないですか。揉めた年のクリスマス、彼とここにイルミネーション見に来てたわ…。唐突に思い出した…! うわっ、ぞわぞわしてきたっ!
R:彼と来たときは揉めたりしなかったの?
M:うん、大丈夫だったはず。夜にきれいなイルミネーション見て回って、このアーチをくぐって、そのあと品川プリンスホテルに泊まって、クリスマスプレゼントに指輪もらったんだ!
R:また指輪もらってんのかよ(笑)!
M:ちゃんと付き合った彼氏はみんな指輪くれる~(笑)。でも、それはペアリングじゃなかったな。「薬指にはめてね」ってもらったんだ。「俺はつけるのちょっと恥ずかしいし、バイトのときに外しちゃうから失くしちゃうのも嫌だし…。でも君のことは大切だからつけてほしい」ってはめてもらったのを今、思い出した! ダイアモンド付いてるやつだった。小っちゃいやつだったけどね。
R:おー、ちゃんとジュエリーじゃん。それにしてもここに他の男と来て揉めたのに、二人で来たのはすごいな。
M:まぁ揉めてから一応半年くらいは経ってたからね。でも、向こうは途中で思い出してちょっとムッとはしてた。「俺が最初に来たかったのにな~」って言ってたよ。いや~、私自身すっかり忘れてたよ! 東京ドームシティに対してのつらい度が増したかもしれない(笑)。
R:傷口が広がってるな(笑)。
M:…あ! そのときだけじゃないわ! ここ、あいつと何回か来てるぞ! 思い出してきた!
R:もりたの記憶のふたが開いてる!
M:うわー! 急に思い出したことによってパニックだよ(笑)! 彼が割引券を持ってて、結構東京ドームシティに遊びに来てたんだった! その時に彼とめっちゃハマってたところがあるからそこ行こう!
R:実際の場所を歩くという、この企画の醍醐味が発揮されている!
M:「東京ドームシティのつらさ、こんなに軽いもんだったっけ?」って思ってたけど、あったよ! 忘れてたよ! びっくりしちゃったよ、自分でも!
R:テンション上がってるな(笑)。
M:上がってきてるよ! 何回も来てるじゃねぇか、あいつと! 3番目の彼との結構なデートスポットだったわ!
R:結構来てたんだね(笑)。
M:すっぽり記憶から抜けてたわ! ドームシティ内に、杖を使って魔法を使えるようになる疑似体験ができるアトラクションがあるんですけど、杖を買って二人でやりこんでたんだよ! 別れてから一回もやってないから、やりたいんだよ!
R:それって期間限定的なやつじゃないの?
M:あ、あそこだよな? あぁ…、クローズしてる。終わっちゃったんだ…。「マジクエスト」っていうすごくダサい名前のアトラクションだったんだよ。略してマジクエ。しかも1時間しか魔法が使えなくて、それを過ぎると杖を振っても「魔法の時間はもう終わりだよ」って言われるだけの。それがめちゃくちゃ悲しい気持ちになるの。
R:マジクエストの跡地は「ギャラリー・アーモ」っていう展示スペースになってるね。
M:ギャラリー・アーモとか言われても知らねぇ…。ここはマジクエストだったよ…。
R:検索してみたけど、マジクエストは2016年の9月30日で営業終了してるね。
M:うー、切ない。やりこんでたのに…。
R:もともとアメリカ生まれのアトラクションみたいですよ。
M:そうそう、テイストがアメリカっぽかったもん。
R:あっ、マジクエスト、今は愛知県蒲郡にあるらしいよ。
M:じゃあ愛知に行くしかねぇ!
R:ははは(笑)。じゃあ、彼と何回も来てたんじゃん。
M:来てたけど、その時はマジクエストに直行してたからなぁ。遊園地には全然行かなくて、入ってすぐマジクエ。でも初回のとき杖を買ってるから、お互い集合するときには杖持参だったね(笑)。
R:それは全部、愛知のお兄さんの件より後の話?
M:後だね。
R:じゃあ「最初に来たかったな~」って彼氏に言われた後に「また行こうよ」って話になって、マジクエストにハマったんだな。でもそんなマジクエも今はもうないと。蒲郡だから。むしろ愛知のお兄さんの方が近いっていう。
M:確かに! お兄さんに会いに行くついでにマジクエしてこようかな~(笑)。たぶん実家にまだ杖があるよ。セーブデータが引き継がれてるならまだできる。
R:杖とセーブデータが紐づけされてるの?
M:そうそう、そのままデータがセーブされてるから杖一本あればできるんですよ。しかも呪文を覚えるために集めなきゃいけないものがあるんだけど、まずその作業に時間がかかるわけですよ。で、呪文をいくつか使えないと、ボス戦にいけないんだけど、呪文を1つ覚えるのに1時間経っちゃう。
R:じゃあ何回も通わないといけないんだ(笑)。
M:最初のボス戦には行ってるはずだから、3~4回は通ってるんじゃないかな。
R:なるほどな~、で、話したいことは全部話した?
M:OK! なんかつらさは増した気がするけど(笑)!
R:いやぁ、やっぱり実際の場所を歩くと思いだすもんだね。
インタビュイー
もりた(Twitter:@minic410)
逆流性胃腸炎気味なのにビールと煙草中毒なOL。
クーチェキでは「情事の後は、必ず金マル。」を連載中。
短期集中演劇創作イベント『第一回DramaJam』では、「短歌病」で脚本賞を受賞。
インディーズ小説「あなたは砂場でマルボロを」「許してよ、ダーリン」がKindleをはじめ各種電子書店にて発売中です。
インタビュアー・記事構成
Ryota(Twitter:@Funatoku_ryota)
クーチェキの企画・運営・編集をやっています。