事業承継、また経営者を目指すことについて考える。 (No.1)
事業承継起業塾に関わる投稿については、3,000以上のビュー、それから200を超えるスキ❤️をいただきまして、記事を介して様々な方との交流が生まれ、SNSの偉大さをしみじみと感じている所でございます。
諸事情あって、起業塾に関しての記事は閲覧できない状態にしていますが、年末にかけて、次のステップ(事業承継)について2件の重要な面談が入ることとなりました。それにあたって、自分の考えを改めて、整理することにしました。
ちなみに起業塾はこのマッチングには一切関わっていません。自分で行動していたら機会を得ました。そんなもんですよね。というくらい、身近に後継者がいない問題は、ある。
事業承継起業塾に入塾して、良かったこと
良かったことを挙げるとすると。やはり、重要なことを考える切欠にはなったんですよね。それを共有します。塾生で読んでくださっている方は一緒に考えましょう。一度、企業内起業を経験し、惨敗し、大企業の看板に生かされていた自分を知り、そのプレッシャーやストレスを経験したものとして、重要なことはやはり覚悟なんだとは思うのです。
その覚悟を形成するプロセスとして、以下のことは絶対に問われるし、深掘りができていないと、おそらく100%逃げ出すことになると思います。それでは、大前提の誰が事業承継を顕在化させるか?という話から入ります。
そもそも、誰が事業承継を「顕在化」させるか?また、優先順位は?
社長って孤独なんですよ。嫌われ役を敢えて買わなければいけない。独裁的だと言われようが、必ずしも人材が粒揃いでない中小企業で従業員の思いのベクトルを合わせて前に進んで行かなければならない。
M&Aって、大前提として「潜在的」なものなんです。誰だって「まだできる」と思いたい。その潜在的な状態を顕在ニーズに変えられる人は、社長と頻繁にコミュニケーションを取っていて、経営状態や市況、社長の家族構成、その辺りを把握しながら、直言をしても失礼にならない距離感で、社長に「そろそろ承継をお考えになった方が良いですよ」と言える人です。
おそらく、士業の方でしょう、大きめの税理士法人等で、事務所に行政書士や社労士がいればベター。では、承継はどの順番で検討されるか?
おそらくこうです。
1. 身内(ご子息・仲の良い商才のある親戚)
2. 優秀で社長への忠誠心が強く、持分についてとやかく言わない部下
この1、2、でポジションが埋まらなかった場合に士業の方に社長から相談が入り、ちゃんとしたM&Aの仲介会社に照会が入るのでしょう。では、M&Aの仲介がどう提案をするか?
3. 親和性のある上場企業へのExit
4. 親和性のある非上場企業で信頼のおける企業へのExit
と、ここまではめちゃくちゃ高い手数料を取るM&A仲介が取り扱える規模の案件です。仲介会社に2,000万円支払える会社と言い換えても良いです。ではそれよりも小規模の案件は?
5. BATONZなどのマッチングサービスを活用
BATONZ やTRANBIでも決まらない様な案件は、本当に人海戦術で引取先を探す他無いでしょう。そもそもですが、完全な外様として会社を承継しようとするポジションは、相当劣後した不利なポジションであることは認識した方が良い。
仮に上場企業が新規事業を行うための器を作って、社長が必要だったとしても、100%実績が求められます。なので、知識も、人脈も、資金も、実績もない人材が、ただの紹介で、BS/PLが傷んでいない、良い会社を良い形で承継するという可能性は限りなく、低い。そこを先ずは前提として置くべきです。
では、まず。なぜ経営者になりたいのか?
年収2,500万稼ぎたいからですか?いい車に乗って、素敵な女性と付き合いたいから?それを、承継先の企業、我が子の様な会社と社員のことを思う社長に言えますか?
M&Aに関わっていると「売り物」としての企業を表現する資料に目を通す機会が多々あり、生々しく経営者と社員の報酬の差を目にすることも多いです。おそらくそれは「覚悟の対価」です。どんなトラブルや嫌なことでも、辛いことでも逃げずに自分が最後の砦になる。そういった覚悟の対価が報酬に現れている。そう考えます。
ところで。「なぜ、経営者になりたいのか?」深掘りできていますか?
散々考えた結果、私の場合はこうです。私は海外駐在経験がありまして、海外駐在の非常に良い点は、概ね母国のポジションから2-3段階上の職位が経験できることと、国内では競合である会社が仲間になる点です。ネットワークが広がっていくんですね。行動していると。
で、そこでドブ板営業をして2億の仕事を作って、現地で採用をして小さな、でも多国籍なチームを率いることになりました。フィリピン、中国、インドネシア、タイ、日本。そんな感じ。
駐在員って基本的にキャバクラ通いとかに執心しているバカな奴が多いんですけど、僕は苦手だったので、一生懸命数字を作って、ローカルスタッフからゴッド(神)と呼ばれていました。僕しか数字を作れなかったので。ってか、英語もろくにできねーくせに海外に行きたいなんて言うんじゃねーよ。
で、チームのために仕事を取ってきて、収益を上げて、税金を納め、雇用を生み出し、メンバーの家族のことまで意識する様になり、感謝もされた。
「ああ、これがその国に貢献することなんだ」と。
その経験が心地よくて、もう一度、生きているうちに、日本企業の素晴らしいサービスや技術でもって、海外市場で戦い、経営者として日本と、相対するマーケットに貢献したい。それが、経営者になりたい理由です。
そのやりたいことは、経営者でないとできないのか?
結論、経営者でなくてもできるでしょう。ただし、時間という概念が大きい。もう40代半ば。あと何年頭と体がしっかりと動くか。自分の目の前に、海外で戦う権利が回ってくるか?また、海外に行くチャンスがある会社なのか?その際に、何人の自分よりも若くて海外に行きたい、競合社員よりも適していると評価されてチャンスを掴める可能性はどのくらいあるのか?家族帯同でもあり、若手と比較すると当然コスト高で、不利であり、また不確定なパラメータが多すぎるんです。
社員は守られているポジションですが、やはり会社の指示に抗うことは許されず「本来やるべきこと」でも、ちゃんと経営者が意思決定を行える状態に持っていくまで、非常に時間がかかります。他方、経営者には意思決定権があります。「時間」という概念を、自らの意思である程度コントロール可能で、やるべきことを素早くできて、その上でやりたいことにも取り組める立場にいるのは、経営者であると考えます。
自分で起業すれば良いじゃ無いですか?
そうかも知れません。しかしながら、私にはゼロ→イチでサービスを生み出す様な、そんな凄まじい能力はありません。そして、現在日本には127万社の後継者がいない企業があり、その各々の企業に素晴らしい技術やサービスがある。それらをしっかりと引き継ぎ、事業として伸ばしていくことにこそ意義を感じています。また、その観点で、論理的に差別化要因を導き出す手法としても、自分の知的財産アナリストの資格を活かせればと考えています。
人の心を動かせるほどの、具体的な実体験はあるか?
経営者になると一口で言っても、事業承継の場合、特殊事情があると思っていて「完全な外様」であり「お前、誰??」と言う厳しいアウェー状態から勝負が始まる訳です。従い「コミュ障で引っ込み思案なのですが、技術力が高いことはそのうち分かってもらえると思います」みたいな承継社長はありえない訳です。承継先に「この人なら大丈夫だ」とイメージさせられる、外様として組織を一から把握して運営してきた具体的な実体験を、自分の経験から棚卸しできないと厳しい。
私は、運よく地方の中小企業のM&Aにおいて、企画部長兼営業部長として、PMI(Post Merger Integration:買収後の統合作業)の経験があります。PMIといっても、地方の100名程度の企業の買収後の統合作業は、非常に地道な作業です。そもそもリソースもそれほどありませんしね。システムや財務・経理は基本的には親会社と一緒のシステムを使わせ「れ」ば良いので、担当に委ねるとして、ビジネス側のPMIにおいて行ったことを整理します。
長くなってきたので、一旦筆をおきます。続きは次のnoteで。
(続く)