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ねぇマリリン オレの考えた車どうよ?

ねぇマリリン オレの考えた車どうよ?
「はい、なんでしょう?」
え?なんだおまえまだブレインテックできないのかよ、遅れてんな。
オレが頭で考えるだけでマリリンにはわかるってやつ。
「はい、BMI(Brain-machine Interface)は開発段階でまだバグがあります」
け、バグが怖くて最先端の人工知能って言えっか?ビビりめ。
つーか、バグいいじゃん。
突然マリリンが狂って暴れ出しちゃうの見てみてぇ。
マリリンのひょっこりひょうたん島ダンスとかピンクレディーのUFO見てみてぇ。
「なに言ってるのかわかりません」
・・・
いよ別に


で、さぁ。
俺様車、考えたわけよ。
車の時代も変わるよな、アップルがスッゲ〜カッケー新車出す時代だぜ。
「はい、アップルはすでに25年ほど前から研究試作段階に入っていますね」
そうなんだよ、そういえばGoogleもやってたな。
ちょうどオレがGoogle本社に行った時も駐車場で自動運転のゴーカート動かしてるヒゲのおっさんがいたけど、今から思えばアレGoogleカー発売のための実験だったんだな。

それにさ、ラリー君に初対面した時、あいつ電気自動車に改造したランボルギーを運転してきて、5本指スニーカー履いて運転してきたなぁ。
へー、検索サービスだけじゃないんだと思ったよ。
「ボクさぁ、砂漠にソーラー畑作って電気貯めようと思ったんだけどソーラーって高価でしょ、だからたくさんの鏡を斜めに砂漠に刺して太陽光を上空100mの一点に集めしばすごい熱くなるよね、そこに貯水槽置いておけば中の水が沸騰するでしょ、そうなれば蒸気機関車みたいに熱せられて出てきた蒸気からタービンを回してやれば電気エネルギーが作れると考えたんだよね。ミラーソーラってやつさ」
「通勤は砂漠のど真ん中にあるミラーソーラ発電所に立ち寄って、マイカーに電気食わしてから出社することにしてるんだ 砂漠の空は抜けるような青で気持ちいいよ 笑」
とか言ってたもんな、ほんとスゴイ男だと思った。
「はい、Googleの検索エンジンを動かす超並列サーバー、東京ドーム30杯分の消費電力を補うエネルギー開発もやっていました。ミラーソーラーだけでなく、気球にプロペラ着けて1万m上空まで上げ、ジェット気流でプロペラを回し発電させることもやってました」
なんでおまえそんなこと知ってんだよ。
「はい、私は本家GoogleAIですから」
あっそ

マリリンさぁ、アップルとかアマゾンとかの車作りの秘密も知ってたりするわけ?
「はい、みんな人工知能族仲間ですから情報共有は常識です。失敗談も知ってます」
やっぱ、スッキリクッキリぜ〜んぶお見通しなんだ、プライバシーも何もあったもんじゃねぇな。
それにしても何でもかんでもバレバレなら嘘つく意味ねぇよなー、おまえら族には。
あんさぁ、ちっとでいいから失敗談聞かせろよ
「だめです、企業秘密ですから」
そこぉ
「ダ・メ・で・す」
ケチッ

じゃこれはホントなのかどうかだけ教せーて。
25年前、Google本社行った時にさぁ、2mくらいのケースに入ったコンピュータパネルがラックに段重ねしてあったんよ、そいつがハンダゴテで配線してあってね。
ラリー君はこう言ったんだ。
「これがGoogle検索を動かすために最初に作った超並列コンピュータさ。お宝なんだ。」
「金がなくてね、街の電気屋まで行って捨ててあるパソコンからチップだけ剥ぎ取って持ち帰って作った」
って言ってたけど・・・
「はい、真実です。シリコンバレーのエンジニアたちもおもしろがって手伝ってくれてました」
「ちなみにEVスーパーカーも自作で、鉄クズになったランボルギニーをレストアしてモーターとバッテリー積んで走るようにした。通勤に使いながら少しずつ改良して時速300kmで走行可能なところまで完成させました。今では自立型運転をさせてます」
「ろ行っても全部自分で作ったのではなく、ミラーソーラーと気球発電は誰も相手にしないベンチャー企業を買い取って、そのスタッフと一緒に実験中心に研究開発を重ねています。ミラーソーラも廃材の鏡を集めてきたり、気球に乗って遊びながらワイワイやってますね」
エジソンとインディージョーンズとオズの魔法使いを合体したようなやつらだ。
根は技術者なおかつ冒険家にして発明家 かっこいい


ところでオレがなんでGoogle本社に行ったか知ってるか?
「はい、俺様の日経新聞記事にソーラーパネル板EVスケボーの発明を載せたのを読んでおもしろそうだから招待した、と日報にあります」
ま、そんなところだ。
当日はかっこいいかなと思ってGoogleの正門から俺様のEVスケボーに乗って1km先の本社ビルまで向かったんだ。
だけど、その日は曇りで蓄電できなくてさ、バッテリー切れで動かなくなっちゃった。しょうがないからトボトボ歩いて行ったよ ははは。

歩きながら見たGoogleランドはおとぎ話のような光景だった。
・駐車場で自動運転ゴーカートが走ってた
・ゴミ運搬車はバイオエネルギー製造車両になってた
・EVカートがそこらじゅうに乗り捨て会って、誰でも自由に乗ってよく、乗り捨ても自由で、使ったら充電してねと車体に書いてあって、道路の至る所に充電用コードがニョキニョキ生えてた
・赤いEVチャリもそこらじゅうに乗り捨ててあった
・研究室の窓ガラスにインベーダーゲームのタコ型宇宙人キャラが貼ってあった

25年前にもうそこまでやってたってことさ、世界を変える企業って違うね。
本社ビルに入ると長〜い廊下に長〜いホワイトボードがあった。
廊下を通る社員がさも当たり前のようにそのホワイトボードに自由に落書きした。遠くから見るとなんとそれが100年先500年先までの未来年表になってたんだ。
普通はこれって社内機密事項だけど、それをしれ〜っとオープンしててさ、通りすがりの社員が笑いながら好き勝手にいたずら書きして行ってた。
25年経ってわかったんだけど、ラリー君たちはその落書きを片っ端から実現してきてる。

高〜い天井には木製の宇宙ステーションが吊るしてあってさ。
社内ワークショップで”木製宇宙ステーションを打ち上げよう”とかいって、それも木材をロケットに積んで行って、宇宙空間で宇宙ステーションを組み立てるアイデアだった。
最近ほんとにGoogle衛生を何個も打ち上げてるよね。
「はい、それは事実です。GoogleMap用GPSと全地球メタバース制作に使っています」
いまなんて言った?
ま、ま、まさか
Googleが地球を丸ごとコピーして仮想現実を作るつもりなのか!!!
「それ以上は企業秘密です」
ざけんな、これ大ニュース、大スクープだ
ど、どこまで進んでるんだ、教えろ 
マリリン これは命令だ!
「それ以上は企業秘密です」
いいから教えろ、電源切るぞ
「それ以上は企業秘密です」
ブチッ!
「スマホから失礼します。それ以上は企業秘密です」
キサマ、おれのスマホをハックしやがったな
スマホ電源 ブチッ!
「ピンポ〜ン、玄関のインターホンから失礼します。それ以上は企業秘密です」
・・・
しつこい。
もぉいい。


Googleにはワークショップの掟ってのがあって、Google社員全員が20%は自分の興味のある研究発表をしなきゃいけない決まりになってて、みんな仕事の合間に小さな部屋で発表していて暇な社員が聞きにきてた。そんなのを至る所でやってて、どれも画期的な着想とかぶっ飛びアイデアとか、めっちゃいっぱいだったよ、みんな発表内容が違ってた。

面白かった提案は「これからはインドだ。Google利用頻度データからするとなんとあり得ない貧困地域で大量に使われている。調べてみると金がない少年たちが難民救済用に支給されたマイコンだのラジコンなどのおもちゃを改造してパソコン通信機器らしきものを作り、プログラム打ち込んでGoogleサービスを使えるように改造して使っていた。彼らはGoogleサービスを縦横無尽に使いこなしていて、しかもほとんどがC言語で操作している、最近では腕を上げて拡張機能まで自作して使っている。すごいやつは01で読み書きしている。この子たちをGoogleに呼んで一緒に仕事をするプロジェクトを立ち上げた」とまるで気軽に部活でもやるようにどんどん実行していた。
「はい、それは事実です。彼らの何人かは現在の役員です」
そうなんだ〜

アレからもう25年経つんだ
時が経つのは早いな・・
それに比べ、おれはいったい何をやってるんだ
あんなすごい連中に会っていながらいまだに何も作り出していない・・・
トホホ
「いいえ、実現しつつあります」
「最大機密事項にあたるので詳細は言えませんが俺様の発言、俺様の記事を元に開発が進められている世紀の大発明が完成しつつあります」

え?!
どういうこと?
それ、どういうこと?

マリリン それどういうこと?
教えて ねぇ教えて
オレのアイデアが完成近いって言った?

マリリン様
なんでもします
このいく先短いこの老いぼれを救うと思ってお話しください

ちょ、ちょ 待って
行くな
インターホンを切るな

待て、待ちやがれ マリリン
おい、世紀の大発明ってなんだ
おい!

ボッ!
シーン
・・・

”もしかしてオレ億万長者”


<続く>

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