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📝 黒澤明の文藝映画 🎬

日本映画黄金時代の巨匠といえば黒澤明ですが、彼の作品には、小説や戯曲を原作とした、あるいは下敷きにしたものが数多くあります。
今回は特に目立つカテゴリーを整理してみました。


図説

🧐 黒澤明とミステリ趣味

黒澤作品と文学といえば、『羅生門』を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、実際の原作は『羅生門』ではなく『藪の中』です。この作品は、謎を解明する構成になっており、黒澤のミステリ趣味が強く表れています。
実際に彼の映画には、謎が提示され、考察を重ねる構造がしばしば見られます。たとえば、

  • 『生きる』 …… 物語の導入部から謎が提示され、回想を通じて真相が明かされる。

  • 『悪い奴ほどよく眠る』 …… 陰謀と復讐が絡み合う構成。

  • 『影武者』 …… 武田信玄の生死をめぐる謎と捜査がある。

このように、黒澤作品には探偵小説的な手法が巧みに取り入れられています。


🎭 シェイクスピアとの親和性

黒澤作品の文学的な相性を考えると、やはり最も親和性が高いのは シェイクスピア でしょう。
彼の戯曲は強固な構成を持ち、黒澤のダイナミックな演出と見事に融合しています。
一方で、 ロシア文学とは相性がやや悪い ように思えます。 たとえば、『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』を黒澤が映画化していたとしても、彼の作風と完全に合致するかは疑問です。
ただし、 『デルス・スザーラ』 というロシアを舞台にした映画は、文藝映画ではないものの、彼の名作のひとつに数えられます。


📌 最も重要な文藝映画『どですかでん』

黒澤と文藝というテーマで外せないのが、 『どですかでん』 です。
山本周五郎は一般的には 大衆文藝 の作家とされています。しかし、 『季節のない街』純文学 の側面が強く、黒澤作品に適した題材でした。
ちなみに、新潮社が 「芥川賞(純文学)」「直木賞(大衆文学)」 に対抗して設立した賞は、

  • 「三島由紀夫賞(純文学)」

  • 「山本周五郎賞(大衆文学)」

このように、山本周五郎は大衆文学の旗手とされていますが、『季節のない街』のように純文学的な作品もあるのです。
また、黒澤は 『まあだだよ』内田百閒 を題材にしましたが、個人的には 山本周五郎の『青べか物語』 を映像化してほしかったと思います。


🏯 『椿三十郎』の意外な背景

『椿三十郎』の原作クレジットには 山本周五郎『日日平安』 が入っていますが、実は映画化の過程で『用心棒』の続編のような形になりました。
『用心棒』の骨組みはダシール・ハメットの『血の収穫』を無断で翻案したもの ですが、それがさらにイタリア人の目に留まり、 👉 『荒野の用心棒』(クリント・イーストウッド主演) になったのです。
『用心棒』のオマージュ元には 伊丹万作『赤西蠣太』 があり、この原作は 志賀直哉 の原作でした。
そして、 伊丹万作 → 『赤西蠣太』 → 伊達騒動 と連想を広げると、 👉 山本周五郎の 『樅ノ木は残った』 にたどり着きます。
山本周五郎は歴史の悪役とされている人物を 異なる視点で描く ことに長けており、

  • 『樅ノ木は残った』 … 原田甲斐を再評価

  • 『正雪記』 … 由井正雪を題材

  • 『栄花物語』 … 田沼意次を再評価

などがありました。

いずれにしても、、黒澤明と山本周五郎の組み合わせは非常に魅力的であり、 彼こそが山本周五郎作品を最も映画化するべき監督 だったと言えるでしょう。


🎥 まとめ
黒澤明の作品は、シェイクスピアや山本周五郎と特に相性が良く、彼のミステリ趣味が随所に見られます。
もしも黒澤が 『リチャード三世』 を映画化していたら? 『青べか物語』 を手掛けていたら?
そんな想像をするのも楽しいですね。 🎬✨

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