10年後…2030年の物流を考える。
こんにちは。クボタと申します。
大和グループ総合研究所主催の懸賞論文のテーマは
『2030年の物流 -持続可能な社会に資する物流のニューノーマル-』
だそうです。
10年後の物流がどうなっているのか。それについて語るアイデア・論文を募集しています。
私クボタはデバンニング・人材派遣業を行っております。
なのでこのテーマはとても身近なものです。
私たちが日々考えていかねばならない事でもあります。
そこで、今回は実際に物流の10年後を私なりに考えてみました。
ロボット化は免れない10年後
近年、AIやロボット技術の発達により労働者は人からロボットに置き換わりつつあります。
その加速は物流業界でも止まらないと思います。
なぜなら今でも人手不足解消の目処が立たないからです。
「人手不足だ~!」と、何年も前から言われ続けていますよね。
解決しそうにもないのでロボットを作り、今はやっと実用化がされはじめた…という頃にあたります。
このペースでいくと10年後の物流業界のロボット化はかなり進んだものになるんじゃないでしょうか。
ロボットは物流業界で何をするの?
物流業界におけるロボットはどのようなことをするロボットなのかをご説明していきたいと思います。
物流で欠かせない作業と言えば、
倉庫内作業(フォークリフト運搬、ピッキング、検品、梱包作業等)や
トラックでの運送かと思います。
実はもう、そのほとんどにロボットが実用化されようとしています。
現状、無人のフォークリフトやピッキングをしてくれるロボットなどを導入する物流倉庫は増えつつあります。
YouTubeで『無人フォークリフト』等のワードで検索すればどのようなものか見ることができます。
【三井不動産、千葉・船橋で「フルオートメーション物流」のショールーム開設①(無人フォークリフト)】
今でも省力化、省人化は進められてきましたが、
このようなロボット技術の発展により実用化の取り組みが飛躍的に進歩すると思います。
このロボットの発展は1920年代に開発されたフォークリフトや
1956年に初めて使用された海上コンテナに匹敵する物流革命になると考えています。
ドライバーの無人化は10年後実現するのか?
人手不足が深刻とされている輸送についてですが、
完全な無人化は2030年では実現はしていないと思います。
現時点で運転支援システムを搭載したトラックはありますので、
そういった部分が進化していけばよりドライバーの負担を軽減させることができます。
そうすると高齢のドライバーでも仕事を続けられるようになり、
ドライバーの減少に歯止めをかけることが望めます。
また、完全無人化は無理でも、
ドライバーの運転する車両を無人のトラックが追従するシステムは
間もなく実用化されると言われています。
これが実現すれば一人のドライバーで3~4台分の荷物を同時に運ぶことが可能になり、
人手不足の解消に大きく貢献してくれるでしょう。
どんな倉庫でロボットは活用されるのか?
近年、AmazonやZOZOTOWN、ユニクロや無印良品などの
モール型サイトや自社ECサイトの市場が年々増加していて、
その規模は2019年で18兆円を超えています。
EC化率も毎年5~6%増加していますし、5Gの普及によりさらなる増加が予想されます。
ECサイトの倉庫のロボット化は市場拡大に比例してどんどん実現されると思います。
倉庫内作業を人の手だけでやっていると業務が間に合わなくなってしまうのが実情です。
2030年にはロボットだけが働く"無人倉庫"なるものが生まれるかもしれません。
ロボットに置き換えられる業務としては、
ピッキング、検品、梱包、フォークリフト作業や運送など、
物流の仕事ほぼ全部です。
そうなると、ECサイトの物流倉庫で働いている方の仕事がなくなってしまうのでは?となりますよね。
ですが、それはそうでもないんです。
人がしていた作業をロボットがすることで、人はまた別の作業ができるようになるのです。
BtoCで販売をしているECサイトであれば、
より高度なカスタマーサービスを提供できるようになると私は予想しています。
例えば、家具を購入したら組み立てて再梱包して送ったり、
服であれば希望の寸法に仕立て直したりと、
今まで手間で積極的には行わなかったことを無料でできるようになるかもしれません。
人の手が空いたおかげで顧客一人ひとりの希望に沿った流通加工ができるようになるわけです。
ロボットに仕事が奪われるのではなく、単純な作業をロボットに任せることで
本来のやるべき仕事ができるとも考えられます。
さらに、ECサイトは数多くありますので、顧客の囲い込みや他社との差別化を狙っての
カスタマーサービスの充実は必須になってくるでしょう。
企業にとってもロボットを導入することで自社のより良い発展が見込めるというわけです。
デバンニングはロボットにできる?
デバンニングにもロボットはありますがまだまだ実用的なものではありません。
【ニトリの物流センターに導入されたデバンニングアシストマシーン】
上記の動画を見てもわかる通りかなり大掛かりな装置ですし、
作業速度も人力の方がまだ早く、使用できる環境もなかなかないと思います。
2030年のデバンニング業も人の手によって行われているところがほとんどでしょう。
結局人はロボットに仕事を奪われるのか?
今、ニュースなどではよくロボット・AIの実用化で
人の働き口がなくなるのではないか?と危惧する話題が取り上げられます。
しかし、物流業界においてはその心配はないと考えて良いと思います。
というのも、ロボットを導入するとなればかなり高額な費用がかかります。
メンテナンスなどのランニングコストもかかりますし、
倉庫の設計段階からロボットの導入を視野に入れている倉庫でもなければ
そもそも導入自体が不可能なこともあります。
貸し倉庫でロボット導入のために大規模な改修をして、
出ていくときに原状回復をするのはあまりにも非現実的です。
ロボットによる物流革命が起こる範囲はあくまで限定的なものになるだろうと予想しています。
まとめ
ピッキング・検品・梱包 …ECサイトの大型物流倉庫などはロボットに置き換わる。一般的な倉庫では変わらず人の手によって行われる。
トラック運転手 …無人運転化はまだまだかかるが、人手不足は解消する兆しがある。
フォークリフト運転手 …無人運転のフォークリフトが増える。入庫業務はロボット、ピッキングは人と分業制になりそう。
デバンニング …まだまだ人がやった方が安い&早い。
2030年の物流はこんな感じになると思います。
ロボットによって仕事が奪われると心配している方が多いですが、
ロボットは得手不得手がはっきりしていますし、マニュアル通りの正確な仕事はできますが臨機応変な対応は出来ません。
人は不得意なことがあっても努力でカバーできますし、
仕事上想定外の事態が起きても即座に判断を下して行動に移すこともできます。
逆に、努力を惜しんでしまうような人や企業は
別にロボットでも構わないということで、仕事が奪われていくと思います。
「人だからできる仕事」というのは、どれ程科学が発展した時代にも確かにあるのだと思います。