【窪田町商店会紹介④】木のある暮らしを未来へ繋ぐ「荒川材木店」
環境にも人にも優しい「木」との暮らし。「いわきの木材」を活用して、そんなライフスタイルを提案しているのが「荒川材木店」です。
荒川材木店は、勿来地区で100年以上にわたって材木に関わり続けてきた老舗です。4代目にあたる荒川敦郎(あらかわあつろう)さんは、「木の持つ温もりや可能性を伝えていきたい」と話します。
木の製材・加工を行う荒川材木店
「株式会社荒川材木店」は昭和5年創業。初代は、敦郎さんの曽祖父にあたる荒川民弥さんですが、曽祖父の父の時代から山に入って木を伐ることを業としてきたそうです。長い間、木材の製材・加工に携わり、地元の建築を支え続けてきました。
「東北の木は木目の美しさと材質の強さで評価が高いんですよ。九州の方からわざわざ買いに来る人がいるほどなんです」
荒川材木店では、木材を切り出すだけだけではなく、地域の山づくりにも努めてこられたそうです。「木を活用することは、地球環境を守ることにもつながるんですよ」と敦郎さん。
原木丸太からの一貫生産工場
製材は勿来町にある「協同組合いわき材加工センター」で行っています。いわき材加工センターは、市内の木材業者、製材業者が連携し設立されたそうです。工場を見学させてもらうと、その規模の大きさに驚きました!
こちらの工場では、原木から製材、乾燥、加工まで一貫して行っています。製材する際に出るウッドチップやおがくずなどの木くずは、製紙用や木質ペレット用に出荷していて、環境にやさしいエコな取り組みもされていました。
内装材・造作材などの規格製品を中心に扱っていますが、お客さんの要望に合わせて木材加工にも対応してくれるそうです。「木を使ってこんなことがしたいなど、気軽に相談に来てほしいです」と敦郎さん。
子どもたちに木の温もりを伝えたい
荒川材木店は、福島県木材協同組合連合会の一員でもあり、木材の利用推進活動にも力を入れてきました。敦郎さんは福島県児童・生徒木工工作コンクールで審査員を努め「子どもたちが木に興味を持つ機会を増やしていきたい」と話します。
自身も木でモノづくりをするのが大好きな子ども時代を過ごしてきたそう。だからこそ、木に触れる機会を子どもたちに与えたいといいます。
「子どものころの夢が大工さんだったんですよ。家業を継ぐためにその夢は叶いませんでしたが、自分が選んだ木を採用してもらえ、それが建物になったところを見るとうれしいですね」と童心に戻ったような笑顔で話してくれました。
現在は機械化が進み、大工が手間をかけて作る建物が減ってきているそうですが、昔ながらの建築の良さ、木の風合いを感じる建物を残していきたいと敦郎さんは語ります。
「木はジーンズと一緒で、メンテナンスをすればするほど味が出てくるんです。年月と共に飴色になったり、艶が出てきたり、そういった変化を楽しんでもらえる文化を広げていきたいですね」
今後は、地元の子どもたちに向けたワークショップなども開催していきたいと展望を教えてくれました。木の温もりとつくる楽しさを伝える活動は、子どもたちの未来へも繋がっていきそうです。