特許庁、「チキンラーメン」のパッケージの色彩商標を登録
特許庁は、即席麺の「チキンラーメン」のパッケージの色彩商標について、2022年3月25日付で商標登録しました。
(日清食品ホールディングス株式会社のプレスリリース)
「チキンラーメン」のパッケージの色彩商標(商標登録第6534071号)
出願人(日清食品ホールディングス株式会社)は、2018年7月12日に上記商標について商標出願をしました。
しかしながら、特許庁の審査官は、商品または商標の包装に使用される色彩は、商品の魅力向上などのために選択されるものであって、商品の出所を表示し自他商品を識別するための標識として認識し得ないとして、商標法第3条1項3号に基づく拒絶理由を通知しました。
これに対し、出願人は、1958年に「チキンラーメン」が発売されて以来、発売45周年に当たる2004年の時点では累計販売数が45億食に達したことや、「チキンラーメン」の即席麺における市場シェアが6~10%の範囲内で推移していることを主張しました。
また、出願人は、NERAエコノミックコンサルティングに依頼して実施したアンケート調査の結果を提出しました。それによると、商品・役務を「即席麺」に定めて上記商標を提示したグループでは、87.23%の回答者が商標の出所を正しく想起し、商品・役務を定めずに上記商標を提示したグループでも65.69%の回答者が商標の出所を正しく想起した、との結果が得られました。
その後、審査官と出願人との間で、上記アンケート調査の結果について何度かやり取りが行われ、出願人は、最終的に、上記アンケート調査における商標の認知度を82.54%であると主張しました。
審査官は、2022年3月17日付で登録査定をし、その後、2022年3月25日付で上記商標が商標登録されました。
色彩商標(正確には「色彩のみからなる商標」)は、平成26年の商標法改正によって商標登録が受けられるようになった、「新しいタイプの商標」の一つです。
他方で、色彩商標については、商品の出所を識別する標識として機能しないとして、商標登録を拒絶される例が多く、通常、色彩商標を登録するためには、色彩商標を使用したことによって、その商標が出所識別機能を獲得したことを立証することが必要となります。
本件においては、長年にわたり「チキンラーメン」のパッケージとして色彩が使用されていたことに加え、アンケート調査において、82%超という高い認知度を示す結果が得られたことが、審査段階での登録査定に繋がったものと考えられます。
なお、今回のアンケート調査を実施したNERAエコノミックコンサルティングは、色彩商標の登録第1号である、セブンイレブンの店頭看板の色彩商標(登録第5933289号)についても、アンケート調査を実施しています。
(文責:乾 裕介)