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WEBTOON「男性向け」と「女性向け」ジャンルの原点を解明
こんにちは!
株式会社LOCKER ROOMでWEBTOONのプロデューサーをしている久保田大地です。
現在LOCKER ROOMは女性向けのWEBTOON作品の制作に注力しています。
当たり前ですが、あらゆるコンテンツには女性向け・男性向けといった、性差によるターゲットの区別があります。そしてWEBTOONをにおける性差によるコンテンツの違いはかなり顕著です。
そこでふと根幹的な疑問を抱きました。いったいこの差はどこから湧いてくるのか、と。
今回はWEBTOON、ひいてはコンテンツに生まれる性差の原理について考察します。
WEBTOONにおける性差
まずはWEBTOONにおける男性向け作品と女性向け作品の傾向の違いを見てみましょう。
男性向け人気作の傾向
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LINEマンガの少年・青年向け作品のランキングを見てみましょう。
一目瞭然ですが、バトルアクション系の作品が上位を席巻しています。
さらに言えば、各作品の主人公に共通するのは「めちゃくちゃ強い」ということです。最初から強いのか、努力やきっかけがあって強くなるかの差異は作品によってありますが、読者は敵を薙ぎ倒していく強い主人公を見てスカッとする体験を得ることができます。
男性向け作品では暴力的で超人的なモチーフが好まれると言えます。
女性向け人気作の傾向
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次にLINEマンガの少女・女性向け作品のランキングを見てみましょう。
こちらはロマンスファンタジーや復讐系が上位を占めています。
各作品のプロット的共通点としては、虐げられた主人公が「最後には幸せになる」というハッピーエンド要素が挙げられます。
また絵柄を見てみると、特にロマファン作品には花やキラキラとした光がモチーフとして好まれています。
子どもの絵の発達段階
さて、WTにおける性差の傾向を掴んだところで原点に戻ってみましょう。我々が子どもの頃どんな絵を描いてきたかというお話です。
子どもの描く絵には、子どもの成長や発達に伴って年齢と段階によって変化が生じます。そして実は、6才くらいまでの子どもが描く絵の発達段階は万国共通であるという研究結果があります。
この発達段階を追っていくと、どこから描くモチーフに性差が出るのかがわかります。
1~5才
絵の出発点と言われる擦画期は、1~2才の子どもに見られます。
この時期は絵を描いているという認識はなく、手の運動による快感や色によって白いものを汚すという興味によって、色を擦り付けるようなものが描かれます。
![](https://assets.st-note.com/img/1712884627668-dbKu7cd7CI.png)
出典 : https://www.geijyutuniyoru.com/blog/?p=662
続いて1才6ヶ月〜3才頃になると、錯画期という線の殴り書きを行うようになります。これもただ汚しているだけにしか見えませんが、実は絵の発達段階では重要な段階。ここから徐々に曲線や円など、絵を描く上で必要不可欠な要素が現れ始めます。
![](https://assets.st-note.com/img/1712884741588-cRuHc1EkWu.png)
出典 : https://www.geijyutuniyoru.com/blog/?p=662
3~4才は象徴期と言われ、円などの記号的なものを描けるようになります。
実は、円を意図して描けるのは全生物の中でも人間だけと言われています。
これによって紙の上に内と外という概念が生まれ、「顔」「りんご」「太陽」など象徴的なモチーフを描けるようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1712884787087-GB6C4WJcpO.png)
出典 : https://www.geijyutuniyoru.com/blog/?p=662
3~5才ではいよいよ誰が見ても何を描いているかがわかるような絵を描き始めます。この時期をカタログ期といい、記憶力・思考力の発達に伴い、物の形を簡単な線で描写することができるようになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1712885200151-RWms47euqH.png)
出典 : https://www.geijyutuniyoru.com/blog/?p=662
そしてここまでは性別による絵の違いは認められません。
万国共通で性別関係なく同様の発達段階を踏んでいくとされています。
5~6才
図式前期と呼ばれるこの時期に、明確に描くモチーフに性差が現れ始めます。性別については色々な考え方がありますが、ここではあえて男の子と女の子に大別します。
この性差による絵の傾向も万国共通で現れるそうです。
まずは男の子の描く絵の傾向を見てみましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1713165524417-fDsjpxwJ9f.png?width=1200)
出典 : https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/1166
男の子は描画のモチーフに、車などの人工物を選ぶことが多いとされています。数字で見るとその結果は顕著で、乗り物がモチーフとして出現する確率は女の子がわずか4.5%なのに対し、男の子は92.4%というデータがあります。
男の子が描くモチーフには乗り物などの人工物の他に、超人的な力を持った存在・キャラクターや戦闘、武器兵器なども挙げられます。これは自分よりも遥かに力をもった存在に憧れ、またその対象と自己を同一化しようとする心理の現れなのです。
一方で女の子の描く絵はどうでしょうか。
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出典 : https://haruaki.shunjusha.co.jp/posts/1166
女の子は描画のモチーフに「自然と人」を選ぶことが多いと言われています。
女の子の描く絵の多くは平面的に描かれ、そこには晴れた空・笑顔の少女・花や蝶といったモチーフが頻出します。特に人間を描く確率の男女比は、女の子93.6%、男の子26.5%とこちらも顕著な偏りがあります。
女の子の描く世界はカラフルな草花に溢れ、光が差し、そして笑顔の少女のいる世界であり、そこには女の子が思い描く「幸せ」が表象されているのです。
WEBTOONとの一致
翻って、図式前期に現れる子どもの描画の性差と、最初に挙げたWEBTOONの人気作の傾向を比べてみましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1713177706963-BBPYktXNEe.png?width=1200)
いかがでしょうか。
見事に男性向け人気作では見事に超人的なパワーを持った主人公が描かれ、女性向け人気作では花や主人公が幸せになる結末が描かれています。
5~6才で現れるモチーフの選択から一貫しているということがわかります。またこれらの作品が海外でも人気なのも、子供の絵の発達段階が国や地域を超えて共通していることを踏まえると納得感があります。
WEBTOONの作品ジャンルは、人間の原生的であり根幹的な欲求や特性に紐づく構造になっているのです。
この視点はコンテンツの作り手としては大事な視点なのではないでしょうか。
それではまた!
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