カラーアース 7
こんなに歩いたのはいつぶりだろうか
普段はもう、歩くなんて事はほとんどない
移動する床に小型の自動二輪車、高速移動の車両
当たり前だと錯覚していた
全身の筋肉が少しずつ、また少しずつと引き裂かれる思い
健康に過ごすには体を動かした方がいいとはよく言ったものだ
こんな社会に普段の健康なんてもはや必要なかったのか
生きていけたって事は確かだ
それでも、必ず連れ帰らなきゃ行けないんだカズキを
彼はほとんど歩いた事がない
生まれた時には床は動いていた
最初はウキウキだった
だが少しするともう、体から危険信号が出て遅いなんてもんじゃない
そんな小さい男の子を引っ張り、元気付けながら、前に前に進む
あたりはもう昼下がりだ
体はどんどん汗ばんで、視界も時々霞む
大自然と呼ばれているのだろうか
そんな緑が覆い尽くす嘘みたいな景観の中で、ほんの少し休憩しよう、と話した
時々吹かれる風がなんと心地よい
一先ずはずっと、目の先にあるちょっとした街並みを目指す
あそこも過去に栄えていた場所なのだろうか
何か手掛かりと助けがあるかもしれない
そう思いながら、カズキを引っ張って鼓舞しながら向かっている
そして更にその奥、高い壁
あそこは今もみんなが暮らしている街だろう
私達の街ではない、かもしれない
いや、正直分からないのだ
自分達がどこに暮らしているのかを
同じ街 同じ景色 同じ物
何かを観に行くなら移動時間はどこも変わらない
まして、街の位置などは勉強したこともない
手探りで探すのだ
まだまだ時間がかかる
眠くなってしまう
そんなのはダメだ
自分の足をつねり、立ち上がりアカネは、
『何がなんでも、私達の街に帰ろうね』
カズキは静かに頷く
太陽の光を背に、また歩みを進め始める
続く
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