決意はふと、真夜中に。vol.1
23:59
一日の終わりギリギリだ。
僕は急いで、ブログを書く。
24:00
一日の終わり、そして始まりだ。
なんとか更新を終え一息をつく。
今日もやってやった。
世界に、僕を届けてやった。
達成感を噛み締め真琴は、安堵の思いと共にベッドに倒れる。
『なんとかセーフ、、、。』
毎日、誰が見ているでも無いが、つい2ヶ月前から日々の日常を文字にして、調子が良いと写真なんかも付けておおよそ100文字程度でこしらえて、サイトに貼り付ける。
世間は梅雨だ。
雨が降っている。
そもそもなんでこんなことをしているか?
有名人だからでも無い。
友達が居ないか?と言われても全くそんな訳では無い。
満足感。
学校も友達もアルバイトも何もかも、その中に空白をはらんでいる。
ぽっかりとしているそんな穴を埋めてやりたくて、毎日文をしたため始めた。
そこにはじわっと広がるアロマが香っていた。
満たされていく気分を味わえる。
僕はあれが好きこれが好き、あれが嫌いこれが無理。この事はこう思う、あれはああだ。
あいつは良くて、こいつはてんでダメなやつで。。。
自分の感情論を大々的に語ってやっている。
そんな事、誰が見るかなんて関係ないし誰も見なくていい。
発信しているのは自分で、僕がやっている。
些細なことかもしれないが、あまりにも心地が良かった。
毎日世間に対して自分を置いて見せる行為がスゴイ力があると、本気で感じている。
友人達にも見てもらいたいと思って、周りのメンツには既に伝えている。
こんな雨の日が続いていても、何かしら書くことがあるし、見てもらえたら最高だ。
ポツポツと深夜でも降り続ける雨を見ながら、もうこれからの1日に想いを馳せる。
何をしてやろうか。そしてどう文字にしようか。アイツらに見せてやろうか。
思いの外、真琴のブログは友人に好評だ。
面白い、流石だ、下らないけど最高、と口々に言ってくれる。
有り難い関係だ。
だったら僕もより頑張らなきゃいけないと思う。
そうして生活はブログ無しでは回らなくなる。
外はずっと雨だ。
最長記録に向かっているらしい。
01:45
講義は昼からだ。まだまだ余裕。
レポートを書かなきゃいけない、と思い立ち思索を巡らせながら、ペンを取る。
そうして気付かないうちに眠りに落ちる。
日が昇る頃に起きて、慌てふためく。
変わり映えなんてしない、普通な生活だ。
02:10
雨足が強くなる。
窓を思いっきり打ち付けるそれは、さながら取り立て屋だ。出せ!出せ!と言わんばかりの轟音だ。
意に介さず、真琴は眠りに就いたまま。
世界は、ずっと雨だ。
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