決意はふと、真夜中に。vol.5

おかしいと思った。
今日の真琴は、普通じゃない。
嫌な、嫌な予感しかしない。
夜中に浩太朗は急いで家に向かう。
もちろん、真琴が心配だから、だ。
夕方に来た一つの通知。
それは真琴が日々書いているブログの内容だった。
普段は、もう少し自分の中の不甲斐なさとか、前向きな未来を面白おかしく綴っているブログ。
不器用で多数からの支持なんて得られたものじゃないが、そんな自分の満たしたい気持ちに真っ直ぐな真琴は本当に素敵だと思っていた。

だが、昨日のブログ。
僕も同じ電車だった。
乗る時に真琴とは離れてしまい、僕はギュウギュウに押されてしまい、苦しいなかで耐えていた。
そうしたら、あの衝撃だ。
みんな唖然としていた。
周りの窮屈さばかり気にしていて、状況なんて飲み込めなかった。
多くの人が転んだ。でもその中でしっかり目に焼き付いている。
真琴はずっと目線の先、窓の向こう側を
まるで大切な宝を見つけたかのように見つめて、そして。
笑っていた。
後になって思い返すと、恐くて肌がひりついてしまう。
なんなんだ、あれはどんな気持ちだったんだ。
確かにそこに、僕の知らない姿があった。
こんなこともわからないなんて僕は友達でもなんでもなかった。
もっと、教えて伝えてあげられたらよかった。
世界は雨の中だ。
さらに今日は、災害レベル。
そんなこと構うもんか。
浩太朗は走り続ける。
どれだけ泥だらけでも、全て転んで擦りむいても。
懸念していることがあるのだ。
浩太朗は頭がいい。
勉強が出来る、さらによくキレる。気が回る。
一つだけ、次の行動で、真琴のアクションで最悪の事態が思い浮かんでいる。
スマホに通知が続いている。
全部真琴のブログからだ。
支離滅裂な上に、否定的。
こんなの、真琴じゃない。真琴であって欲しくない。
死に物狂いで駆け上がる2:15。
カンカンカンと鳴り響く。
轟音が、ブレーキ音が耳に刺さる。

踏切の向こうに人影が。
よく笑った、見覚えのある顔が。
『真琴っ、、、!!』

振り向いた顔は、笑って、泣いていた。


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