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決意はふと、真夜中に。vol.4

急いで家に帰る。
もう吐き気はおさまっていた。
なんだって言うんだ一体。
あの時、僕は見ている。
唯一、あの中で見ている。
向かってくる人の影を。
その影がどれほどの気迫で、
勢いを持っていたか。
心臓の鼓動が倍の速さで打たれる。
スマホを見る。
昨日の事を書いたブログだ。

真琴は目を疑った。
『なんだこれ、増えすぎだろ、、、。』
閲覧数が数十万を超えていた。
LINEニュースを見てみると、そこには僕のブログを取り上げた記事があった。
『こんなの、あり得るのか』
ハッとした。
鏡の自分にだ。
恐くて、未だ得たことない感情を覚えて、
真琴は笑っていた。
ニヤついてるとかではない。
ハッキリとその目に、口に
溢れんばかりの嬉しさが滲み出ている。

心の火花がぶつかり合う。
大きな大きな渦になる。
火の渦は何もかもを飲み込むように、僕の中を焼き尽くす。
悔しさ、恐怖、慈悲、憧れ。
こんな快感に身を委ねたら、どれだけの苦しい思いが救われるだろうか、とぼんやりしながら感じている。
僕は世界ただ1人の僕だ。
誰もが見る気にかける世界の住人だ。
それと同時に、リミッターじみたものは外れている。
もっと、もっとだ。
より1人しかない、特別な存在になるのだ。

その夜はいつにも増して、文字を打ち込む作業が手早く進む。
あれがいいこれがいい、
あんな奴は隠れろ、こんな奴はダメだ。
思いつくままに作っては載せる。
するとすぐに僕が知るコミュニティの何倍も大きな反応がある。
たまらない。
僕はここにいていいんだと思う。

02:10
夜も更けて静けさが街に籠もっている。
また思い出すとゾクゾクする。
『そうだ、もっと、もっとだ』
火の渦が舞い上がるそれは大きな大きな球体になって、爆発する。
体が焼け飛んだ。
もう僕はそこにはいない。
あの人は無くなってしまったらしい。
可哀想に、そんな人生か。
『、、、よし。』
ニヤリとしてしまう。
顔の筋肉はもう、僕が意識できる所じゃない。
足は向かう。
外は雨だ。
この様子じゃ災害警報ぐらい出ているだろう。
走り出す。
世界はもう、僕を置き去りになんて出来やしない。
世界よこんにちは。
あなたが今まで相手にしなかったのに、急に向き直るから戸惑っています。
どうですか?ご気分は。
さぞかし退屈でしょう。
昨日の今日のあのニュースももう、飽きてしまっているのでしょう。
僕は笑う。
外は雨。目線の先は何も見えない。
警告音が鳴り響く。
立ち入り禁止は関係ない。
さぁ、次の唯一の僕の居場所は、ここかな?
鉄と鉄がかじり合う轟音。
光が眼前に迫っている。
世界よどうだ。
これがいいのか。
あぁ、思い出した。
あの時、赤い星の顔。

『真琴っ、、、!!』

綺麗な笑顔だった。

続く

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