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人気資格とその実態とのギャップ

以前、ビジネスパーソンを対象とした「新たに取得したい資格」の調査結果にて中小企業診断士がトップになったという記事が日経新聞に掲載されたことを、皆さんはご存知でしょうか。

こんにちは、中小企業診断士の久保です。

前回は3年目(現時点では晴れて4年目を迎えました)の企業内診断士としての悩みを書かせていただきましたが、今回は人気資格としての中小企業診断士資格とその実態とのギャップに少しふれてみたいと思います。

■合格後あれこれ

一般的に中小企業診断士に登録されるには、大きく2つの経路があります。※実際には実務補習を実務従事で代用される方もいらっしゃいます。

 A 一次試験合格後、二次試験を合格して実務補習を受けて国に登録する
 B 一次試験合格後、認定養成課程を修了し国に登録する

Aの実務補習に関しては先日投稿された宮崎さんの記事をご覧いただきたいと思いますが、私も同様にAのケースで登録しております。特定の金融機関などに所属されている方など専門性の高い方を除いては、企業内診断士の多くの方もAのケースで登録されていると思います。

宮崎さんの記事でも書かれておりますが実務補習は合計15日間行われます。全て平日ではありませんが、通常土日を挟んだ5日間を1セットで行われますので指定された日程で平日2、3日間のスケジュールを確保する必要があります。
企業に勤めている人間であれば、当然有給休暇などを取得して実務補習に臨むことになります。

最近は有給休暇も取りやすくはなっていると思いますが、企業によっては実務補習の特定のスケジュールを狙って有給休暇を取得することが難しい人もいるようです。

■合格しても登録できなかった(しなかった)友人

受験生時代に一緒に勉強会を開いていた勉強仲間と毎年新年会を開いて近況を語り合うようにしておりますが、今年の会にて同期合格した友人と久しぶりに話をする機会がありました。聞くところによると彼は診断士試験に合格したにも関わらず、私のように診断士に登録することなく今に至っているとのことでした。

診断士試験のルール上、二次試験合格後3年以内に登録を行わないと試験合格の権利が失効してしまいます。すなわち彼は、診断士試験に合格したものの診断士になることを選択しなかったということになります。

理由を尋ねたところ、仕事が忙しすぎて有給休暇が取得できず実務補習を受けることができなかったそうです。

企業に勤めながら診断士を目指すのであれば、登録に向けたハードルを乗り越えるために多少なりとも本業との調整が必要になるのですが、環境によってはそれが難しい方もいるということです。

前回も記載いたしましたが、企業内診断士であるということは本業との合間を縫って時間を有効に使うことが重要であるということになります。

■人気資格とのギャップ

ここで挙げた友人の例ですが、もし本気で(独立してでも)診断士として活躍したいという意気込みがあれば会社を辞めてでも登録する努力を惜しまないと思います。そこまでできなかったということは、試験に合格する実力の持ち主であっても、人気資格とはいえ診断士になること自体を本気で考えている方ばかりではないということではないでしょうか。

ある研究会の場で、一次試験合格の実績を何らかの形で認定資格としてはどうかという話を聞く機会がありました。

診断士試験の一次試験は主に経営全般の知識を問う試験であり、二次試験はその知識をベースに実際の助言としてのアウトプットを問う試験となります。先ほどの発言は、一次試験合格ということは知識ベースでは既定のレベルまで達しているということの証明となりますので、一定の評価を受けられるのではないかという発想からくるものです。

冒頭でお話しした人気資格としての診断士資格ですが、一次試験合格が評価されるようになれば一次試験のレベルで満足してしまう人がかなりの数でてくるのではないかと推測されます。友人の例でも、彼は実は資格試験に合格することで満足してしまったのではないでしょうか。

中小企業診断士の本来の役割は企業の成長戦略の策定について専門的知識をもってアドバイスを行うことですが、一般企業に努めているビジネスマンがとらえる資格のイメージとのギャップがそこにあるように思われたエピソードでした。

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