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企業内診断士の「働き方改革」とは?


「働き方改革」という言葉が騒がれ始めて久しいのですが、わかっているつもりでよくわかっていない「働き方改革」の意味を、私、久保が改めて考えてみたいと思います。

政府の掲げる「働き方改革」とは

首相官邸のメッセージを引用すると、「働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。」とのことです。

 ここで語られている3つのキーワード「多様な働き方」「中間層の厚み」「格差の固定化の回避」に関して個別に考えてみましょう。

「多様な働き方」

 厚生労働省「「働き方改革」の実現に向けて」のページを確認すると、「働き方改革」の目指す背景として、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況をあげています。このような状況に対してテレワーク、副業、兼業を推進することで、出産、育児で退職した主婦層や働く気力はあふれているものの定年退職した高齢者層など埋もれている潜在的な労働力の活用を促しています。その結果、「多様な働き方」では労働力の掘り起しによる生産性の向上が図られ、結果として「成長と分配の好循環」を実現しようとしているものと思われます。

「中間層の厚み」

 また政府はアベノミクスにより雇用情勢の改善を訴えておりますが、雇用が改善することで消費活動が促され、結果としていわゆる「中間層」の人生が厚みのある豊かなものになることを狙っていると思われます。

「格差の固定化の回避」

 さらに、「働き方改革」で語られることの多くなった非正規労働者の処遇改善や、同一労働、同一賃金の実現を促進することで、労働者の「格差の固定化」を回避することも目指していると思われます。

 つまり私なりにまとめてみると、団塊世代の引退、少子高齢化による生産年齢人口(労働力人口)の減少が引き起こす国全体の生産力低下を恐れている政府が「働き方改革」を訴えることで、労働力の掘り起こしのために一億総活躍社会の実現を謳い多様な働き方の可能性を探ることが求められる世知辛い時代になってきているということが言えるのだと思います。

企業内診断士の「働き方改革」

 さてそのような状況の中で自身の周りに目を向けてみると、「働き方改革」の意味として語られる時は副業の解禁とワークライフバランスの両面で取り上げられることが多いようです。つまり、本業に従事しながら空いた時間を有効に使って収入を増やす努力をする方向と、空いた時間を自身の趣味や家族との時間に充てる方向の二面で語られることが多いのですが、企業内診断士として「働き方改革」が話題に上がる場合は前者の意味で語られることが多いのではないでしょうか。

 しかしながら「働き方改革」という言葉が語られるようになって副業に注目が集まった結果、労務管理の複雑さや競業避止義務違反等コンプライアンス問題が挙げられるなどその弊害にも注目されるようになりました。つまり政府が推し進める「働き方改革」ですが、きちんと考えて推進しない限り、雇用する側とされる側双方で理解を深めないとお互い不幸になる可能性を秘めた諸刃の剣となるということです。

 私事で恐縮ですが、私は最近本業で休日出勤が続き少々バーンアウト気味なのですが、同じような状況の人たちが「働き方改革」という言葉に踊らされることなく、ONとOFFをうまく使い分けて自分に合った働き方を模索することが重要なのだと改めて考えるきっかけとなりました。

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今回は少々真面目な話題でまとめてみました。それではこの後のメンバーのブログもご期待ください。

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