仮想杯ヒストリーvol.3【VRMANSCG02】
仮想杯の歴史をセットごとに振り返る『仮想杯ヒストリー』第三回。前回はこちらから。1セットあたりの大会数が増えたため、2大会ずつまとめて紹介します。
第六弾追加~第八回仮想杯
第六弾追加カードは、「◆・△を制限するかわりに効果を発揮するユニット」サイクルが追加されました。後に制限が緩和され制限は△のみになります。このサイクルでは《遮断するゾウ》がかなり強力ですが、活躍させられる構築が生まれるまでにはそれなりの期間が必要でした。
第七回、第八回の仮想杯は4人規模でした。これといって環境と呼べるものもなく、各々使いたいデッキを持ち込んだという印象です。
第九回、第十回
この時期は、第五弾環境に引き続きリソース→打点変換効率の高いデッキが優勝しています。デッキコンセプトがミッドレンジからコンボ気味になったのも特徴です。
第九回優勝の【リヴァイアサン×ステゴ】はVRMANSCG02における代表的なコンボデッキです(コンボ内容はこちらからどうぞ)。コンボ自体は初弾のカードで構築できますが、仮想杯で結果を残したのは第十回が初めてです。水棲の3レベル除去のかわりに《猛り燃えるファフニール》《緑葉の生命体》などGS(グッドスタッフ)を採用するようになり、やや要求値が高いコンボを最大限活かせるようになりました。
第十回優勝の【アイヴィワーム×ファフニール】は、分かりやすく除去連発を意識した構築です。コンセプト的には【リヴァイアサン×ステゴ】と近く、高打点が出るコンボをGSで運用しています。歴代優勝デッキの中でも活躍時の勝率が圧倒的で、当時は「マジでこれが最強デッキじゃん」と感じていました。
第十一回、第十二回
これらのコンボビートデッキが圧倒的な活躍を見せたことで、環境に変化が起こります。
第十一回で優勝したのは【天使】。ほぼ全ての中速・低速デッキは墓地からリソース補充を行うため、《死門の司天 アズラエル》一枚でかなり困らされます。比較的速い《猛り燃えるファフニール》や【水棲】に対しても《視神の司天 カマエル》《如神の司天 ミカエル》で対応できるようになっており、直近優勝した構築への意識が感じられます。
第十二回で優勝したのは【マルフェニ】。従来の殴り合い環境では打点効率がものを言うため、相手にとどめを刺すタイミングでリソースを使い切るような展開が少なくありません。そこに対して、《序列の五 マルバス》→《序列の三十七 フェニックス》→ウォール効果仕込みによる2打点以上ストップが強烈に効きました。実際決勝戦では第十回優勝の【アイヴィワーム×ファフニール】に勝って優勝を決めており、「あのデッキがやられるのか」と驚いたのを今でも覚えています。
【マルフェニ】のコンボは第三弾から存在していましたが、多くのプレイヤーが【悪魔】をコンセプトにして組もうとしたためにパワー不足となっていました。GSや《光臨せしカンナカムイ》を採用することでデッキとして完成しました。
これら2デッキ共通の特徴として、ライブラリアウト「も」狙えるという点が挙げられます。リソース・打点に振ったデッキ相手であれば自然に殴り合っているうちにデッキ枚数差が付きますし、ロングゲームになれば《光臨せしカンナカムイ》を使ってデッキ回復しつつ《古代海のシーラカンス》によって数ターン相手のライブラリアウトを早めることが出来ます。このような打点とライブラリアウトを両天秤で狙う戦法は、以降プレイヤー間の研究によってどんどん洗練されていきます。
総括
第六弾環境では新カードの活躍こそ多くなかったものの、プレイヤー間のメタゲームが大きく進展しました。ひたすらにドローと除去を繰り返すビートデッキに対して、【天使】のメタや【マルフェニ】の受けギミックがカウンター的なコンセプトを主張できるようになりました。これらのデッキが活躍できるようになった背景には、環境にビートが多かった影響もありますが、プレイヤーの練度が上がったことで長期的なリソースゲームを繰り広げられるようになったという側面もあります。
また、九・十回、十一・十二回の構築を見比べると分かりますが、コンセプトが近いデッキは採用カードが被るようになりました。デッキ構築のノウハウが完成しつつあると見て取れます。
メタゲームが動き出し、殴り合いから一転してコントロール合戦となった第六弾環境。プレイヤーの研究はまだまだ続きます。次回をお楽しみに。
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