雲の佐賀行きゃ、雨みやげ
夕方 雨上がり
西から東へ進む空
「佐賀行く雲の雨みやげ」
祖母が 佐賀市方面に向かって
流れていく雲を見て言った
雨が降ると
傘や雨ガッパがいるし
電車やバスの中は
湿気と熱気で充満
手荷物も 目の前の空気も 私達も
いっぱい いっぱい
「雨なんて 置場所に困るお土産よ」
私が祖母に言った
昔の生活は
天からの雨を「お土産」と表現できる
今とは違った精神の豊かさがあるのだろう
そう思えないのは
私達の生活の次元が上がったせいか
それとも何かが急に欠けたせいか
「いつか 望むものをもらえるといいね」
空が 私に言った
◇◇◇
《佐賀行く雲の雨土産》
2015年
四つ切(395×546mm)
ケント紙に水彩絵具, アクリル絵具, 水干絵具
《佐賀行く雲の雨土産》
2018年
F50(1167×910mm)
キャンバスに油絵具
《佐賀行く雲の雨土産》
2019年(加筆)
F50(1167×910mm)
キャンバスに油絵具