『noters』に寄せて/久保マシン(Y)
明石 白さんと久保マシンのコラボ作品「noters 」が終了しました。
ということで「あとがき」… でもないのですが、作品のことや
コラボについて<裏話>も含めて少し書いてみようと思います。
noteをやっている人だけが『noter』ではない。
書き記す人はすべて『noter』である。
そう定義した上で、様々なnoterたちを描いていく
という「noters」の設定に心惹かれた。
その企画に刺激されたボクは
<頭に湧いたnotersのイメージ>を絵に描いた。
絵に被せて「noters」のロゴも入れた。
今度は、その絵を見て
刺激を受けた白さんが絵に<言葉>を加えた。
時代を超え、場所を超え
栄光の山と黒歴史の死屍累々を乗り越えていく
それが我々…
こうして「noters」のプロジェクトは始まった。
それは ボクたち三人(明石 白、くぼちー、ボク)を
非常にワクワクさせたのだった。
書き記すという行為は人間しかしない。
あるいは
書き記すことをやめられないのが人間である。
だから「noters」の中で様々な <書き記す人>を描くことは
<人間>を描くことでもある。
そう思ったからこそ
ボクにとって「noters」の企画に参加することは
意味のあることであり、面白いことだった。
ただ、それはボク個人が思っていただけなのかもしれない。
三人(明石 白+久保マシンの二人)の
コラボ企画として始まった「noters」
三人が意気投合して「同じ方向を見て」
走り出したコラボ企画のはず…だった。
しかし、
作品に対する考え方も方向性も
それぞれ違っていたのだと思う。
表現したい「もの」も。
ただ、そのズレは、当初は分からなかった。
そんな状態での作品制作なだけに制作途中でボツにした作品も数多く、中には絵まで描き終えていたのに不採用にした作品もある。描いた絵が勿体ないので、その絵を使って別の作品にしたことも。(↓下の作品は元々はnotersの話として描かれた絵を使っている)
そして
それぞれがズレを感じるようになってからも作品制作の試行錯誤は続いた。だが、その状態で制作を継続することは、やはり難しいことだった。なんとか形にしようとした「noters」だったが、最終的には わずか数本を作っただけで(notersは長いシリーズ作品として考えられていたので)作品制作は中断することに。
せめて作った作品だけでも発表しようと思ったけれど、ここでも問題が。途中で内容の路線変更もしているため、そのままの状態では発表も出来ず、部分的な修正や削除を余儀なくされた。実際に『noters(1)序章』も内容の後半(半分)を削除している。その削除部分には発表していないキャラクターのエピソードもあった。それを捨てざるを得なかったことは、正直、残念でならなかった。
削除した画像の一部(武将「今杉 奏弦」のエピソードに続くマンガの導入部分)
同じく削除した画像の一部(未発表 noterのエピソード)
それでも今回、発表できた作品に登場した
notersのキャラクターたちに対しては
ボクなりに愛着もあるし、本気で作ったつもりだ。
そこで最後に「noters」に登場した数少ないnoter(書き記す人)たちに
揃って登場してもらおう(それぞれのキャラクターの製作秘話付き)↓↓↓
<noterたちの詳細データ&制作秘話>
1、『松尾 芭蕉』 noters(1)に登場
明石 白さんの発想した芭蕉ダジャレを『絵的にカッコ良く表現する』ということを意識して、芭蕉のキャラクタービジュアルと登場シーン(池のシーン)を考えました。ダジャレ部分も単なるギャグに思われないような説得力のある見せ方を工夫しました。それらの演出は、結構、成功してると思います。
2、『今杉 奏弦』 noters(1)に登場
戦国武将、今杉 奏弦のキャラクター&ストーリー(マンガ)は、歴史が得意分野である明石 白さんに合わせて、ボクが創作したものです。ラストの「辞世の句」は、マンガの完成後に 明石 白さんに依頼しました。そして、あのようなカッコイイ辞世を作ってもらえました!
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3、『夢みん』 noters(2)に登場
元々は「北海道出身のポエム好きの可愛い系の女子」という明石 白さんが考えたキャラクターだったのですが(具体的なエピソードが無かったので)ボクがバックボーンとなる過去の初恋ストーリーまで作ってしまいました。また、「夢みん」の普段の生活スタイルや関西弁、「夢みん」が作ったポエムもボクの創作です。
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基本、ボクが考えた「夢みん」は「アホだけど愛すべき女の子」です。白さんが考えていた夢みんのイメージは「人の注目を集める為には女を使う」といった、したたかなキャラクターだったようで、それが混ぜこぜになってしまったかも(笑)
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4、『KIRA丸』 noters(3)に登場
自称イラストレーターという、居そうなだけに痛い設定のnoter『KIRA丸』はボクのオリジナルキャラ。なぜか KIRA丸のビジュアルが、ボクが描いたコミックエッセイ『パニック障害の妻に 夫のボクが出来ること』や『あの日 俺はミサコを泣かせた』の自分キャラに、偶然、似ている(笑)
さらに KIRA丸の名前はボクの相方の昔のペンネームに似ている(笑)
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ちなみに、この『KIRA丸』の4コマはボクのオリジナル作品ではあるけれど、明石 白さんからの「noters」で『毒がある noteあるある4コマをやりたい(見たい)』とのリクエストに応えて、ボクが描いたものです。
『パニック障害の妻に 夫のボクが出来ること』(右)
『あの日 俺はミサコを泣かせた』(左)の自分キャラ
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5、『 松田 重純』 noters(4)に登場
明石 白さんの文章からイメージしてビジュアル化。実はボクの手持ちのキャラクターを参考にアレンジして創作しました。それから中世ヨーロッパの宮殿を思わせる重純の書斎もボクのイメージである。イラスト内の「シゲちゃんの書評講座」というタイトルや講座の文章もボクの創作で「シゲちゃん」という呼び方もボクが勝手に親しみを込めて考えました(笑)
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コラボとしては、ほとんど うまく行かなかった「noters」ですが、この 「松田 重純」のエピソードは成功例だと思ってる。実は、この作品は『白さんのストーリーを原作として普通に漫画にする』ということが想定されていました。
しかし、白さんの文章が すでに完成されていて、よく出来ているので、文章をそのまま生かした方が良いと判断。漫画ではなく挿絵という形でのコラボを選びました。白さんの良くできた作品に、ボクの「挿絵」を入れることによって「さらに面白い作品にしたい!」そういう思いで絵を描きました。
そして、それは実際に成功したと自負している。
これが『松田 重純』の参考にしたキャラクター。
自作「素敵なクルマばか」(TOYOTAのWebサイトでの連載作品)より
6、『山崎くん』 noters(4)に登場
ボクの知り合いの編集者を何となくイメージしてビジュアル化。
7、『けろんぱ』 noters(4)に登場
「けろんぱ」はビジュアルとしては作品には登場していない。つまり「けろんぱ」の顔は描いていない。その代わりに「けろんぱ」がシゲちゃんの為に描いたとする美少女キャラを(勝手に)描きました。ヨミナちゃんという名前までつけて(笑)
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8、『明智 警部と越波 警部補』 noters(5)に登場
明智と越波のビジュアルはTVの明智 小五郎の美女シリーズの天知 茂、荒井 注(波越)を意識している。また、イラスト内のナレーション及び noterlins(ノータリンズ)のオチ(ダジャレ)はボクの創作です。
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この作品、白さん自身は前作(松田 重純のエピソード)のように文章と挿絵というスタイルを意識していたそうですが、ボクが同じことをしたくないという、ひねくれ者なので、こんな形になりました(笑)
9、『山川 次郎』 noters(5)に登場
本人の実際のビジュアルは登場しない上に、さらに殺害されて、この世にいないという可哀想なnoter。ちなみに投稿記事の中で使われている殺害現場の絵に関しては、ボクは明石 白さんの「参考図イラスト」を清書しただけである。
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10、『恵美ちゃん』 noters(6)に登場
明石 白+久保マシン(C)の作品。ボクは創作に加わっていない(笑)
ちなみに ↑「noters 図鑑」部分の恵美ちゃんの絵は、実作品「おばあちゃんのノート」の相方の『下書きの絵』(笑)を意識して「模写」しときました。
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<追加> 『宣教師ペドロ・モレホン』 noters(7)に登場
実はnoters(7)は投稿日の前日に、急遽、描き上げた作品です(明石白さんの原作自体は制作中止を決める前に頂いていた)その為、この文章も追加で慌てて書いています。
そういった事情で、上のnoters 勢揃いの集合イラストに『noter ペドロ・モレホン』は入っていません。その姿は下リンクの本編から確認してください。ただし、そのペドロ・モレホンは実在の人物であるにも関わらず、ボクが適当にイメージして描いているので、ご本人とは全く違う姿かもしれません(笑汗)
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ところで、noters(7)の主役は、実質、石川五右衛門です。
ボクは白さんの原作を読んで「架空の義賊」と思われていた五右衛門の顔が現実の人間となっていく様を絵で表現したいと思いました。神をも恐れぬ極悪非道な所業を繰り返し鬼のごとく人々に恐れられ、ひたすら闇を見つめ己の欲望の深さに破滅していく男の顔。
それが美しいイケメンなわけがない。その顔には、人が人である限りは捨て去ることが出来ない人間の<本性>が刻まれているのではないのか。
綺麗事じゃない。善悪じゃない。
ただ、自分の生を貪欲に生きようとした男の顔。
それを描きたかった。
この記事の最初に書いたように、ボクにとって「noters」は人間を描くこと(それは人の善の部分とは限らない)そういう意味でも、最後の締めが この五右衛門の顔だというのは、ある意味、正しいのかもしれない。悪鬼の所業で己の生き様を人々の心に刻みつけたという意味では、五右衛門もまた【noter(書き記す人)】なのだから。
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ああ、こうやって改めてnotersのキャラクターを
並べてみて思うことは、やはり、どのキャラも悪くない。
というか、結構スキだ(笑)
noters(2)のストーリーの中で「夢みん」は「ポエムは自分の子供だ」と言っているけれど、同じように、ここで紹介したキャラクターたちは、みんなボクが世に送り出した子供たちでもあるのだ。だから「noters」のコラボは成功したとは言えないけれど、一緒に これらのキャラクターたちを生み出してくれた明石 白さん、相方の久保マシン(C)くぼちーの二人には感謝したいと思う。
ありがとう。サンキュー。ご苦労さま!
* * *
そして、いつかまた
「noters」で出会える日まで…
『noters』に寄せて/久保マシン(Y)