ハルコの恋(22)
咲希ちゃんとハルコ。
ここから先の話が、じつは私がもっとも描きたかったエピソードの一つです。今後の二人をじっくり丁寧に(サクサクとは行きませんが)大切に描いて行きますので、皆様も、ゆっくりとお付き合い下さい。
さて、
ハルコを描いていて、私は自分の経験や感情をこの作品に投入(注入?)しているせいか、自分の「負」の感情と向き合うことが多いのですが、例えば【哀しみ】だったり【寂しさ】だったり【喪失感】だったりと、、、とにかく私の中にある消えない「負」の感情がハルコの作品には合っていて、ただ絵を描いてるというのではなく、そこには目に見えない私の中から出て来た「負」である感情がハルコとリンクして形に表れてるような気がします。
最近、通院先のクリニックで処方された薬を毎日飲んでメンタルを安定させているのですが、このところは家族の問題からも遠ざかって生活を送っているので、わりと穏やかな気持ちで過ごしています。まだまだ完全ではないものの、絵を描く時間も取り戻して安定した時間を過ごしていますが、ふと、私の「負」の感情も、このまま消え失せてしまうのでは?と、妙な焦りに近い感情を持ったりもするのです。
それはそれで大歓迎なのですが
だが待てよ?本当に大丈夫?
ハルコに投入させてた独特な「負」の感情というか感覚というのか、そんなものまで失ってしまうような気がして少し焦りのようなものを感じたりして何とも複雑なのでした。おそらくハルコという作品は私の中にある絶望感に近い「負」の部分がパワフルに作品を描く原動力のような働きをしているのだと思います。吐き出さないといられない溢れるような「負」の感情が漫画を描かせている。みたいな。
ハルコに限らず、ずっとそんな感覚で
漫画を描いて来たような気がします。
処方された薬はじつに良く効いているようで
眠れるようになって食欲も増えて
そして哀しみも消えてしまったような。
私、それで大丈夫なのかな?
このままハルコに自分の感情をきちんと乗せて描けるかな?
ふと、そんなことを心配してしまうのでした(苦笑い)
で、目を閉じて、じっと考えてみる。
………………………
あ、大丈夫だ。
私の過去は消えてない。考えたら泣けて来た。
そんなに簡単に癒えるものではないんだなと自覚する。
同時にハルコを描く力も失ってないことにホッとする。
そんなに簡単に傷は癒えないんだな。
そりゃそーだ(笑)
次回は少し間が空きます。
他のスケジュールをコツコツこなしながら
またハルコの日常に戻ってきます。
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漫画と写真と文:久保マシン(C)