光のお父さん(2019)
これはやられた。
邦画では久しぶりに当たり。
泣きました。泣きました。
CMで観た予告編はなんとなく覚えていたのだが、タイトルのもっちゃり感・配給会社の力の入れ方であまり世間の方には届かなかったようだ。
タイトル頭に「FINAL FANTASY XIV」と付いてるのもストライクゾーンを狭めてしまってる。
公開時期は後だが『DRAGON QUEST YOUR STORY』(2019)並にゲームユーザー向けのおっさん映画と勘違いされてしまう。
物語は割と王道でシンプル。
父と息子の絆を描いたお話。
主人公・岩本アキオ(坂口健太郎さん)はオンラインRPGゲーム「ファイナルファンタジーXIV」を夜な夜な楽しむ実家暮らしの社会人。
寡黙な父親(吉田鋼太郎さん)と上手くコミュニケーションが取れない状況を打破するため、父親の退職祝いという建前でPS4と「ファイナルファンタジーXIV」のソフトをプレゼントする。
素性を隠してネット上で
父親と対面し、冒険の旅へと繰り出す。
父という人間を知るため。
そして、父を「光の戦士」にするために。
題して、「光のお父さん作戦」が始まった。
この物語、『電車男』と同じく実際にあった話のブログを映像化してるんですけど、事実ってすごいですね。
面と向かうと話せないが、
ゲームキャラクターの仮面を被れば
本音を語れる。
ネットの匿名性には光と影があるが、
この映画のように正しい使い方をすれば
本当に素敵なツールだと思える。
本来のネットの良さを
再確認させてくれるメッセージ性も
良かったです。
まさに邦画規模で描く
『レディ・プレイヤー1』(2018)です。
コメディとしても質が高かったと思います。
オンライン上では素性を隠してるので
バレるバレないのシーンとか、
あとは吉田鋼太郎さんの愛嬌たっぷり演技。
厳格な親父が徐々にゲームに
のめり込んでいく感じとか、
ゲーム内では別人なくらい
底抜けに明るいとことか、
愛くるしい。
終盤、実に映画的な展開を迎えるんですけど
原作未読なのでどこまで事実かは
分かりません。すみません。
しかし、オンライン上で
隠していた素性を明かすシーン。
分かってても泣けてしまいます。
お父さん本気でびっくりしてましたね!
もしかしたら何となく気付いてるのかなぁ
と思ってたので、
なんか笑ってしまいました。
あと、話の性質上、半分くらいのシーンが
ゲーム画面なんですけど
これ意外といいですね。
あの分かりやすいジェスチャーとか、
誇張した表情とか、
ただただ意味もなく動き回ったりだとか。
めちゃくちゃ安っぽい映像なのに、
本音を拡大して見せる革命的表現として
成立していました。
これは発明じゃないでしょうか?
キャラクターの奥に、
不器用ながら一生懸命プレイする
お父さんの姿が透けて見えるんです。
ちゃんとおっさんがプレイしてるんだなって。
注意してるのに何回も焼け死んだり、
フレンド申請できずに
主人公の周りを
クルクル回り続けるとことか
可愛くて笑ってしまった。
あの不器用感を映像化した
ゲーム製作者さんも凄いです。
この表現技法を観るだけでも
一見の価値ありです。
それと、序盤に手際良く説明される
父親との思い出と確執。
物語が実話なので、
中盤少し間延びしてる感もあるけど
この序盤のシーンが
最後に上手く効いてくる。
ゲームの映像と実写の映像が
綺麗にリンクして
素晴らしいカタルシスに導いてくれる。
欲を言うと、
たまに出てくるTVドラマみたいな演出が
ちょっと気になりました。
挿入歌に歌詞まみれのJPOPって!
もともとがTVドラマだからなのか?
でも、最後のシーンと
吉田鋼太郎さんのコメディアン振りで
全部帳消し。
良い映画観たなぁって
純粋に思わせてくれます。
食わず嫌いせずにご鑑賞ください。
おすすめです。
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