縞模様のパジャマの少年(2008)
第一回目にしてこのチョイス。
もっと華やかで明るい作品を選べばよかったんだけど、観ようと思ってて観れてなかったのだからしょうがない。
観た人の中では、「胸糞映画」のジャンルに入ると言われてる一本。
舞台は第二次世界大戦下のドイツ、ヒトラー率いるナチスが仕切ってた頃。
5歳の少年ブルーノは父親の仕事の都合で、人里離れた見知らぬ土地へ家族と共に引っ越してきた。
また、ブルーノの父親はナチスの軍人であり、ホロコーストの最前線であるユダヤ人強制収容所の責任者であった。
ある日、ブルーノは家から少し離れたところに電気柵に囲まれたある施設を見つける。
柵の向こうには縞模様のパジャマを着た同い年の少年シュムエルが地面に座っていた……。
【感想】
彼ら2人の人種を越えた微笑ましいエピソードが展開するかと思いきや、事態は最悪の方向に進んでいく。
ポスターが爽やかだから騙されますよね。
確かに「なんだか泣きたいなぁ」で選んだ一本だとしたら胸糞映画って言われてもおかしくないと思います。
ハッピーエンドなんてとんでもない。
誰ひとり幸せにさせない超絶バッドエンド。
ホロコーストを描いた作品は星の数ほどありますが、ある意味最も非情で救いようのない意地悪な映画です。
こんな話思いつくなんてこの脚本家、相当性格悪いんじゃないだろうか(良い意味で)。
ラスト15分のためだけにあるようなお話で、前半は割と淡々と進むし、少年たちが出会ってからも意外とこの2人の交流は数回程度。
目を背けたくなるような世界の片隅に、大人の事情を知らない少年たち。2人でいる時だけは、ただただ平和そのもののユートピアに生きている。
みたいな描写がもっとあれば、ホロコーストとの対比構造でラストの衝撃がより強まったかなとも思った。
致命的な点がひとつ。
この2人にそこまで絆が感じないんです。
この2人が親友になる動機がすっぽり抜け落ちてる。
ブルーノは田舎暮らしで友達とも離れて退屈。
シュムエルも柵の外からやってきた少年に興味を持っているだけ。
食べ物をあげた描写くらいでは、
親友とは言えないんじゃないだろうか。
もちろんあの状況で同年代の子供同士が出会えば友達になる流れが普通なんだろうけど、ブルーノとシュムエルである必要性がない。
やっぱり最後の意地悪ラストありきで作った映画なんだろうと思った。
あとは、映画自体のメッセージ。
もちろん戦争反対のメッセージがあるんですけど、現在25歳の自分の価値観としては、戦争や虐殺があってはならないなんてもはや「当たり前」のことだし、今さらそれを言われても。という印象が残った。
もちろん低評価にする理由はないんだけど、令和の今を生きる若者目線で言うと、「当たり前」の使い古されたメッセージを大声で訴える映画、としか思えなかった。
でもそう思えている事実こそが、逆説的に、今の若者の感覚が次の平和のステージに進んでいることを自覚できるというような不思議な映画でした。
教訓的価値としては否定のしようもないけれど、一映画としての面白さと考えるとそこまでかなぁと。
でもこういう映画はこれからも無くなってはいけないと思うし、作られてほしいと思う。
でも自分はもう食傷気味かなぁ。
平和で明るいバカ映画が好き。