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やさしいドローン入門

皆さん、こんにちは。
家族のためのドローン道場『空道黎明館』のくぼーんです。

本日は、『やさしいドローン入門』というテーマでお話をしたいと思います。テレビやニュースで話題になっている『ドローン』について、わかりやすく説明したいと思います。ちなみに、久保家はテレビをほとんど見る習慣がないラジオ派ですので、テレビで話題になっているという噂を聞きました、というのが正しい表現です(笑)

# なぜドローンと呼ばれるの?

まずは、『ドローン』と呼ばれる由来についてお話をします。

ドローンは、『オスの蜂』のことを指す英語です。ドローンは、複数のプロペラを高回転させてブンブン飛びます。まるで、大きな蜂の羽音のように聞こえるので、なかなか的を得た命名ですよね。

世界で最初にドローンを開発した国はイギリスです。1930年代に無線技術が発展しまして、遠隔で飛行機を飛ばせるようになりました。当時は戦時中でしたので、銃の標的としてドローンを使ったんですね。英国の標的無人機は女王蜂(Queen Bee)と呼ばれていました。

この見学に来ていた米国高官が帰国後にドローンの開発を命じました。米国で最初の採用された機体は、1940年代に開発されたRadioplane社の無人機でターゲット・ドローンと命名されました。女王蜂に敬意を表し、オス蜂のドローンと呼ぶようになったそうです。

# どんな種類があるの?

ドローンは「無人航空機」であり、広い意味では「航空機」の一種なんですね。航空機は、空気よりも軽い軽飛行機と、空気よりも重い重飛行機に分類されます。

軽飛行機型のドローンとして遠隔操作の飛行船があります。下図は、どう見ても飛行船にしか見えませんがが、このPlimpは電気で動く垂直離着陸機(VTOL)で、翼を2つ備え、それぞれに電動モーターとプロペラを搭載しています。

引用:海外・国内のベンチャー系ニュースサイト | TECHABLE

重飛行機は『固定翼機』と『回転翼機』に分類され、固定翼機はさらに『滑空機(グライダー)』と『飛行機』に分類されます。ドローンでは滑空機はあまり使用されていません。

よく見かけるドローンのイメージは、この『回転翼機』ですよね。プロペラが4つあるので、『クアッドコプター』と呼ばれます。6枚だと『ヘキサコプター』、8枚だと『オクトコプター』になります。

プロペラを回すエンジンは、電動モーター式が一般的です。それ以外に、レシプロエンジン式、ロータリーエンジン式、ジェットエンジン式があります。

# いつできたの?

ドローンの原型ができたのは1930年代のイギリスです。それから、アメリカに渡ってドローンと呼ばれるようになりました。当時のおもしろい写真が残っています。ドローンを作っている工場で、作業員として働いていた女性の写真です。なんと、あの有名なマリリンモンローの若き頃の姿なんですね。

元ネタは、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の会長をされている鈴木真二先生(東京大学)のドローン本です。おもしろいので、ぜひ読んで見てください。

実は、世界で初めて今のドローンとほぼ同じような形状のマルチコプターを開発したのは、日本の『キーエンス』という会社なんです。日本一年収が高い会社として有名ですよね。

日本では1980年代から農業散布ヘリが活躍していましたが、1989年に姿勢制御用のジャイロセンサーを搭載した世界初のドローン「ジャイロソーサー E-170」が開発・販売されました。日本は、実はドローン先進国なんですね。

その後、携帯電話、GPS、デジカメ、スマホの登場の流れを組みまして、2010年にフランスのParrot社がホビー向けのドローン『AR Drone』を発売してブレークしました。このときにパロット社が利用したテクノロジーは、スマホのテクノロジーなんですね。この頃から、ドローンは『空飛ぶロボット(スマホ)』と呼ばれるようになりました。

ドローンのお師匠さんの一人に、ドイツでドローンに出会ったというオジサンがいらっしゃいます。フランスのパロット社は有名なのですが、ドイツって何だろ?と思っていたら、2005年にドイツで設立された『Microdrones』世界で初めて商用クアッドコプタを開発していたんですね。教科書にも載っていない情報で、たいへん勉強になりました。

さらに、2015年9月に開催された米国InterDrone展の基調講演で、Wiredの編集長だったクリス・アンダーソン(Chris Anderson)氏が、ドローンの未来について語りました。「空の産業革命」「現実社会の検索エンジン」「ドローンは箱に過ぎない」など、数々の名言を残して、「3Dロボティクス社」というスタートアップ起業を立ち上げました。

同じ時期に、アマゾンが「ドローン宅配便を始める」という衝撃的なニュースを発表しました。『空の産業革命』と言葉が広がり、世界の巨大企業がこの分野に参入してきました。

○どこで作られているの?

世界のドローンメーカーは、1,000社を超えると言われていますが、そのシェアの7割を占めるという寡占企業が存在します。中国広東省深センにあるDJI社です。豊富な資金力と圧倒的なコストパフォマンスで世界の王者に駆け上がりました。

世界シェア2割を占めるフランスのParrot社は、AR Droneを作ったドローンの老舗です。「鳥のように美しいドローンをつくる」というコンセプトに共感する日本人が多く、根強いファンを持つメーカーです。さすが、超音速民間旅客機コンコルドを作った国は違いますね(イギリスと協力で作ったらしいです)。

そして3位は、格安戦略で有名な中国のスマートフォンメーカーXiaomi。米国3Dロボティックスを抜き、中国メーカーが上位を占めるという位置づけにあります。

日本では、産業用ドローンに焦点を絞り、ヤマハ発動機、セコム、パナソニックなどの老舗メーカー、エンルート、プロドローン、テラドローンなどの振興メーカーがしのぎを削ってがんばっています。

出所:DRONEII.com(DRONE INDUSTRY INSIGHTS)2016.10発表資料より。

# 何に使うの?

ドローンと言えば『空撮』ですね。こちらの素敵な写真は、くぼーんの大学時代の後輩が『Mavic Pro 2(DJI社のコンシューマ向け空撮用ドローン)』 で撮影した宮古島(沖縄県)の写真です。Mavicは、折りたたみ式のドローンで、飛行機の手荷物で運べるのですね。一眼レフのカメラが、空を飛んでいる感じです。

最近では、ドローンレースも人気ですね。ドバイで開催された国際ドローンレース「World Drone Prix」の優勝賞金は、なんと総額100万ドル(約1億1000万円)でした。英国から参加した Tornado X-Blades Banni-UK チームが優勝したのですが、そのパイロットは当時15歳のLuke Bannister 君です。若い人が大活躍している世界です。

ドローンの業務活用も進んでおり、すでに市場が形成されつつあるものは、農薬散布や空撮、土木測量、ソーラーパネル等の設備点検などがあります。災害調査では、公共だけでなく、損害保険会社の損害査定で活用もはじまっています。

こちらは、ブルーイノベーション株式会社の熊野貴之さんの考察になりますが、ドローンは、どこでもなんでもできるイメージを持たれていると思いますが、実は、ドローンというのは非常にローカル性が強いんですね。つまり、狭い都会でドローンを使う場合と、広大な場所で使うドローンは利活用がまったく異なってきます。

例えば、狭い都会では、構造物点検とか警備とか、不動産の撮影に使われたりする一方で、広大な地方では、送電線とか鉄道とかパイプラインの点検などに使うことができます。

経済産業省が、「空の産業革命に向けたロードマップ2018」を取りまとめています。本年度は、無人地帯(離島や山間部)での荷物配送の実証実験にフォーカスしています。先月は、長野県の白馬村で山腹から、約1キロ離れ標高が約350メートル高い場所にある山荘まで、コメや生きているイワナなどの食料品を運び上げ、復路は空き瓶などのごみを下ろす実験が行われました。

# どうやって飛ぶの?

ドローンが飛ぶための仕組みは、とてもシンプルです。

プロペラが4枚、モーターについていますね。このモーターのうち、2つはモーターは時計回転(ClockWise)方向に回ります。もう2つは反時計回線 CCW(CounterClockWise) に回ります。あとはバランスです。想像していたより、シンプルでしょう(笑)

上昇するには、すべてのモーターをフル回転させます。前進するには、前の2つのモーターの回転を少しゆるめてあげれば、ググッと前のめりになって前に進めます。本当に単純な仕組みでしょうw

とても簡単に作れるので、世界に1,000社以上のドローンメーカーがあるんですね。いまは3Dプリンターが格安(約1万円~)で買えますから、誰でも簡単にドローンを作れる時代になりました。ガレージすら必要なくて、机の上でドローンが作れてしまう時代なのですね。

ところが、実際に作ってみるとわかるのですが、空を飛ぶのは想像以上に難しいんですよ(笑)要するに、『バランス』の問題なのですが、そのバランスを取るのがめちゃくちゃ難しいのです。

そこで、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unitの略)という、3次元の動きを計測するセンサーを装着したり、気圧センサーやビジョンセンサーなど搭載したりして、うまくバランスを取りながら飛ぶ工夫をしているのです。この飛ぶための工夫や知恵が各メーカーの機密情報になっています。コカ・コーラの原液みたいなものです(笑)

# どこで飛ばしたらいいの?

航空法によると、以下の3パターンに該当する場合は、原則ドローンの飛行は禁止で、飛行させたい場合は国土交通省への手続きを経て許可を受ける必要があります。

1.空港周辺
2.150m以上の上空
3.人家の集中地域(通称:DID)

ここで、1.と2.は、なんとなくイメージできるのですが、3.の人家の集中地域(通称:DID)がイメージできないですよね。一応定義としては、人口密度が4,000人/km2以上らしいですが、いまいちピンときません。

そこで、国土交通省やDJI社が飛行禁止区域をわかりやすく表示してくれるアプリを出しています。ドローン道場の参加者の方が「これ、使いやすいですよ!」とiOSアプリを教えてくれました。評価も 4.6/5 と高いですね。

例えば、神戸を俯瞰的に見ると、六甲山より南側はほぼ全滅ですね。

ところが、知る人ぞ知る穴場スポットがありまして、実は芦屋浜が飛ばすことができます。確かに、マップ上も人口集中地区(DID)になっていませんね。

淡路島も飛行スポットになっているそうですよ。飛ばす際には、『安全第一』でお願いしますね。ご安全に!なお、航空法には、上記の3パターン以上にも、下記のようなルールもありますので、注意してください。基本的に、人混みで飛ばすのはNGです。


ルールを守って、安全な飛行を心がけてくださいね。また、最新テクノロジーを搭載しているとはいえ、ドローンは落ちるものですから、墜落に備えて損害保険にも入ってくださいね。

# プログラミングで飛ばせるの?

2017年3月に発表された新学習指導要領で、2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されることが明示されました。

数年前からプログラミング教育への関心は高まっていたものの、必修化後には小学校でどのような授業が展開されるか気になっている親御さんは多いと思います。

ドローン業界にも白羽の矢が立ちまして、ドローンを使ってプログラミングを学んでみようという教室が増えています。『レゴブロック』みたいに命令文を組み合わせるビジュアルプログラミング言語「Scratch」を使ったり、TELLO専用の「DroneBlock」などを使って、初心者でもドローンを簡単に飛ばすことができます。

この記事を書いているときに、教育者には嬉しいニュースが飛び込んできました。Telloミニドローンを製造するRyze Techが、プログラミング教育用ドローン「Tello EDU」を11月14日 に発表しました。この製品は、プログラミング言語がさらに追加され、ドローンの編隊飛行も可能となっていて、教育の機会を拡大するきっかけになると思います。

ここで、子供にプログラミングを学ばせるにはどうすればいいか、簡単な方法を一つご紹介しましょう。まずは、こちらの教育用に作られた『TELLO-EDU』をポチッと購入してください。税込み16,800円です。

そして、自宅にドローンが届いたら、それを子供に渡してください。
これは何?って聞いてきますので、こう言ってください。

「ググれ、カス!」

そんな汚い言葉は使えないわ、という品格のあるご家族の場合は、こう言ってください。

「Google is your friend.」

あとは放っておくだけで勝手に深層学習してくれます(笑)
問題は、放っておくことがいかに難しいか、ということですが(笑)

子供は、空を飛ぶドローンが大好きです。好きなことなら、自然と知識が身につきます。プログラミングは手段です。プログラミングに苦手意識を持つと、プログラミングそのものが目的化しやすいので注意してください。子供の頃にドローンがあったら、かなり人生変わったと思います。

# これからどうなるの?

「空の産業革命」と呼ばれるドローンによって、未来は、より豊かに、楽しく、美しい世界になると信じます。信じる者は救われるではなく、救われる者は信じる者です。

ドローンファンドさんが、マンガでドローンの未来を描いています。これは良いアプローチだと思います。攻殻機動隊のような世界観ですが、イメージは伝わるのではないかと思います。日本人は、昔からイメージの文化ですから、こうやってイメージで未来を伝えていく教育が大切ではないかと思います。

最後は、ドラッカーの言葉で締めたいと思います。

「未来について言えることは、二つしかない。
 第一に未来は分からない、第二に、未来は現在とは違う」(『創造する経営者』)
「政治、社会、経済、企業のいずれにせよ、およそ人間に関わることについては、 
  未来を予想してもあまり意味がない。だが、すでに起こり、後戻りのないこと
 であって、一〇年後、二〇年後に影響をもたらすことについて知ることには
 重大な意味がある。しかも、そのような『すでに起こった未来』を明らかにし
 備えることは可能である。」(『P.F.ドラッカー経営論集』)

追伸
『WIRED』日本版が復活しました。「ドローンは箱に過ぎない」と言い切ったのは、当時の編集長だったクリス・アンダーソンです。復活版もおすすめですので、ぜひ読んでください。あ、こちらのケヴィン・ケリーの話もおすすめです!


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