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日経コンピュータ(2020.2.6) 特集「ドローンテック ~空飛ぶ魔法の「DXツール」が未来を変える~」を読んで
こんばんは。
ドローン道場「空道(そらみち)」のくぼーんです。
日経コンピュータ(2020.2.6)の特集は、「ドローンテック ~空飛ぶ魔法の
「DX(デジタルトランスフォーメーション)ツール」が未来を変える~」
でした。「あれ?日経コンピュータって、大企業のコンピュータに関する情報誌じゃなかったけ?」と思いつつ、ドローンに関する情報は希少なので、思わず手にとって見てしまいました。
まず、アウトラインは下記のとおりです。
1.広がるドローン活用、規制緩和も追い風に
1.1.個人利用からビジネス利用へ
1.2.規制やコスト、電池などの4課題
1.3.規制緩和など課題が解決へ
2.点検・調査・測定・・・、空からデジタル変革
2.1.山間部と発電所でも活用
2.2.海上の電波を測る
2.3.上空の絶景を観光資源に
3.避難誘導・不審者追跡、非常時にも活躍
3.1.富士山上空で避難者捜索
3.2.不審者が敷地を出るまで追跡
4.商品配・農業支援、社会課題の解決に貢献
4.1.ドローンを遠隔地から管制
1.広がるドローン活用
「1.広がるドローン活用」では、関西電力のドローンを使った電柱への道糸敷設の事例が取り上げられ、次のような用途と事業化している主な企業(開発中を含む)が紹介されていました。
・農業
農薬散布、農作物の発育監視など(クボタ、ヤンマーなど)
・点検
映像の目視やAI解析による異常検知(JSR、関西電力など)
・測定
都市部上空の風の測定、土木工事の進捗管理、公共測量など(日本気象協会、コマツなど)
・配送
過疎地や離島などでの商品配送(岡山県和気町、ANAホールディングなど)
・監視、捜索
施設の警備、災害時の被災状況の確認など(セコム、御殿場消防署など)
野村総合研究所(NRI)による国内ドローン関連市場の推計値では、2018年12月時点では年平均成長率30%でしたが、課題解決に時間がかかり、2019年12月には28%に下方修正されました。ドローン普及に向けた4課題は下記のとおりです。日経コンピュータでは、これらの課題の解決に向けた動きを図にまとめています。
・行政
10営業日前までの飛行申請が必要。4G対応ドローンについては実用化試験局申請の義務がある。ドローン活用に関するルールの整備が進んでいない。
・経済
業務用ドローン本体やシステム構築のコストが高い。
・社会
事故や犯罪利用の懸念があるのに加え、事故時の責任の所在が不明確。
・技術
ドローンの飛行時間が短い。GPSが使えない場所では飛行に制約がある。
個々の用途に適した画像認識AIなどが未整備。
ルール整備や規制緩和が急ピッチで進んでいます。ドローンの商業運航に関係する、最近の政府のルール整備や規制緩和の動きは下記のとおりです。
・内閣官房
レベル4(都市部での目視外飛行)の解禁見通しを2022年度と官民協議会で明示(2019年6月)
・農林水産省
ドローンによる農薬散布について定めた技術指導指針を廃止し、農薬散布目的の飛行申請を容易に(2019年7月)
・NEDO
異なるドローン管制システム間で運航データを共有できるシステムを整備(2019年10月に実証実験)
・規制改革推進会議
インフラ施設の目視点検・打音検査の代わりにドローンなどの新技術の活用を推進(2019年12月に重点項目へ記載)
・総務省
4G/5G搭載のドローン飛行時に必要な実用化試験局を実用局に移行、申請手続きを簡単に(2020年度に実施、19年度にも一部実施)
・国土交通省
ドローンの機体・所有者情報の登録を義務付け(2021~22年度にも実施)。違法なドローンか判別できるように飛行時に事前登録したID番号の発信を義務つける動きも。
2.空からデジタル変革
「2.空からデジタル変革」では、空からのデジタル変革に挑む5つの事例が紹介されていました。日経コンピュータには、それぞれの様子が写真で載っていますので、ぜひ手に取ってみてください。
・高所から撮影し設備点検の効率を向上
JSRと関西電力でのドローンによる設備点検の様子
・テール付きドローンで鉄管内を点検
関西電力による、テール付きドローンを使った点検の様子
・水中ドローンで鉄管を水が入ったまま点検
関西電力が試験中の水中ドローンによる点検の様子
・海上の電波調査の手間を軽減
固定翼型ドローンを使った携帯電話電波調査の様子
・複雑なビル風ドローンで計測し「風予測」
日本気象協会による風向風速予測の例
・上空からの眺めを体験
KDDIなどによる、5G対応ドローンを使った映像配信実験の様子
くぼーんが気になったのは、上空の絶景を観光資源に取り入れる取り組みです。KDDIは2019年12月、熊本県南阿蘇村などと阿蘇山周辺の上空からの眺望を観光客が楽しめるサービスを試行したそうです。KDDIが出資するドローンベンチャーのプロドローンが開発する第5世代移動通信システム(5G)対応ドローン2機に4Kカメラを取り付けて上空の眺望を撮影し、現地を訪れた環境客が装着したVR(仮想現実)ゴーグルに映像を配信したそうです。
南阿蘇村の現場周辺には熊本地震の遺構保存や希少植物の保護などで立ち入り禁止の区域がありますが、ドローンなら規制を受けずに絶景を楽しめるそうです。なるほど、立ち入り禁止の危険な場所に、ドローンを使って冒険する方法は応用が利きそうです。
かつては同じヘリコプターで観光客を乗せ遊覧飛行していたそうです。(料金は4人で3万円)人気だったそうですが、騒音がひどく取りやめたそうです。ドローンなら騒音が小さいし、真下の風景も体験できるので好評らしいです。
3.非常時にも活躍
「3.非常時にも活躍」では、災害の時の避難誘導、遭難者の捜索、不審者追跡など、非常時や緊急時にドローンを使いこなす動きについて紹介されていました。
ドローンで音声による避難誘導では、東京都新宿区の実証実験の事例が紹介されていました。スピーカー搭載ドローン(中国DJI社)を使って、音声で避難誘導を行ったそうです。
富士山上上空の遭難者捜索の事例では、御殿場消防署による4G対応ドローンを使った様子が紹介されていました。機体はプロドローン製の4G対応ドローンで、時速40キロで25分間飛行でき、飛行ルートを事前に指定すれば自動で目視外飛行ができるそうです。
敷地内に入った不審者を追跡するセコムの警備用ドローンも紹介されていました。不審者が敷地から出るまで追跡・撮影するそうです。これは怖いですね(笑)
4.社会課題の解決に貢献
「4.社会課題の解決に貢献」では、社会課題の解決にドローンで挑む自治体や企業の取り組みが紹介されていました。
岡山県和気町の事例では、ガソリン併用(ハイブリッド)ドローンで山間部に荷物を配送する実験の様子が紹介されていました。ドローンベンチャーのエアロジーラボが開発した機体で、5キログラムまでの物品を30キロメートル以上運搬できるそうです。長崎県五島市のANAホールディングスの遠隔管制の実証実験の様子も紹介されていました。
クボタの農薬散布ドローンも紹介されていました。2017年にモニター販売を始め、2018年から本格展開しているそうです。GPSを補正するRTK(リアルタイムキネマティック)で位置を高精度に測り、事前に指定した農地に農薬を散布するそうで、1ヘクタールまでなら一度の飛行で可能らしいです。将来的には、映像の解析機能を追加し、作物の生育が悪い箇所や害虫がいる箇所に絞って農薬を散布する機能を追加したいそうです。